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海外からの帰国体験記|アメリカからの帰国 東京大学文科一類1年 T・Mさん(19歳)

T・Mさん(19歳)東京大学文科一類1年

「世界の社会問題を研究し、日本に役立つ存在になりたい」

T・Mさん(19歳)東京大学文科一類1年

渡航歴

時期 場所 学校
5歳(1月)~9歳(G4/12月) アメリカ(NY州) 現地校
9歳(G4/1月)~13歳(G8/8月) CA州 現地校
13歳(G9/9月)~18歳(G12/6月) MA州 現地校
18歳(6月)~ 日本 国立大

小論文の受験対策で社会問題を様々に考察

ご両親は現在も渡米中だが、T・Mさんは日本の大学進学を選択して帰国しました。

「現地校を卒業する2年ほど前まではアメリカの大学進学も視野に入れていましたが、将来どういう仕事がしたいのかを考えたときに、自分が日本で働いている姿しか想像できなかったんです」

また、「アメリカでの生活は大好きなのだけど…」と前置きした上で、理由はほかにもあるという。

「アメリカでは、勉強に没頭していたりすると、悪気はないんですが『That’ssoAsian(すごくアジア人的)!』と言われることがあるんです。そうすると、何かをしようとするときに『これはアジア人的かな?』と過剰に反応してしまうこともあって。あと、大学によってはアジア人に厳しい合格基準を設けていたり…。アメリカの人種に対する区別の文化に右往左往する自分に対し、少し辟易していたのかもしれません」

帰国後は『駿台国際教育センター』で受験勉強に邁進しました。

「小論文講座では、色々な社会問題をとても深く考えることができました。岩波新書を少なくとも3カ月で50冊は読むように指導され、授業で多くの視点を養い、小論文を書いて出す。完璧に書けたと思っていても、根拠が薄い等々、真っ赤に添削されて戻ってきました。そのすべてが的を射ているので、大きく納得できました。受講生同士で社会問題を議論しあうのも面白かったです」

多様性あふれる地での経験を日本で生かす

東京大学でも、社会問題への探求を継続しています。

「“幸せの指標”を研究するゼミに入っているのですが、最後の滞在地であるボストンでのことを話す機会もあります。先日は、現地校で自分が先生に掛け合って実現した講演会での出来事を話しました。当時、悲惨な現状を皆が知ることこそが無条件に正義だと思っていた私は、貧しい黒人の住む地域で発生した銃事件の被害者の母親に、生徒500人ほどの前で現状を語ってもらったのです。ですが、先生や白人の生徒には好評でしたが、黒人の生徒からは自分たちの現状にむやみに関心を持たれるのが嫌だ、と言われて…。
人種や環境による考え方の違いなどを痛感しました。日本でも、これから多くの多様性・社会問題にふれていきたいです。そして、日本に貢献できる力を身につけていきたいと思います」

インタビュー時、T・Mさんは国の各省庁でのインターンシップへの参加応募を控えていました。就職、大学院の進学など進路はまだ模索中というが、自ら行動し学ぶ意欲にあふれるT・Mさんなら、必ずや日本に貢献してくれることでしょう。

帰国後の学校への入学方法

受験方法 帰国生入試
選考方法 面接、小論文、英語
受験勉強開始期間 (日本の大学に向けては)高校卒業後

想い出

NYの現地校で8歳の頃(前列右から3人目)

NYの現地校で8歳の頃(前列右から3人目)。

「皆の絵が市販のチョコの包み紙に採用されたときの写真です。人種、家族のバックグランドなどの多様性にあふれた学校でした」

親への感謝

親の職業:研究者

帰国前 帰国後
小学校時代から日本の教科書などを使って、国語・算数理科社会の勉強をほぼ毎日教えてくれました。おかげで日本語に支障はなく、漢字もしっかりと書けます。日本史も好きです。強制ではなく、自己責任でやりたくなければやらなくていい、というスタンスで教えてくれたのもありがたかったです。 今は一人暮らしで寂しさもあるのですが、こちらの就寝前向こうの出勤前にTV電話で毎日のように話を聞いてもらっています。