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先輩からのメッセージ 帰国体験記|逗子開成高等学校1年生  S・Kさん(15歳)


日本の受験も勉強も、まずは概念を理解するところから始めました

逗子開成高等学校 1年生  S・Kさん(15歳)

※2024年6月の取材時

渡航歴

日本 0歳~3歳、未就学
アメリカ・オレゴン州 3歳~11歳(G6・11月)、現地幼稚園→現地校(G6・11月)
日本 11歳(小6・11月)~、現地校(オンライン)→日本の私立中→私立高

9年のアメリカ生活を経てコロナ禍で中学受験

神奈川県・湘南の海に面した中高一貫校に通う高校1年生のKさんは、中学で入学するまで、日本の学校で学んだことはなかったという。Kさんが親の仕事の関係でアメリカ・オレゴン州に移住したのは3歳の頃だった。

「幼稚園は現地園、小学校も現地校に通いました。当初、アメリカ滞在予定は4~5年で、僕が小学校中学年頃に帰国するはずだったそうです。ですが父の駐在期間が延び、帰国したのは現地の小学校を卒業し、中学に上がって少し経った頃。その時はコロナ禍で通学することができなくなり、すべてオンラインで授業を受けていました」

習っていたテニススクールの仲間たちと一緒に。一番右がKさん。

この時点で、日本の学年だと小6の11月。その数カ月後に現在通う逗子開成中学校・高等学校の中学校の帰国生入試を受けた。コロナ禍で直接の学校見学はどこもできず、志望校は学校のホームページや入試サイトなどを見比べて決めた。

「アメリカで暮らしていたのはオレゴン州ポートランドで、すぐそばには壮大な山々が連なる国立公園が広がっているような場所でした。だから日本でも自然の多い環境の学校に通いたいと思っていたところ、逗子開成は海に近くてヨット実習もあるということを知り、興味を持ちました」

アメリカ滞在中は両親と弟と共に各地を旅行した。写真はアンテロープキャニオンへ行ったときのもの。

ハイレベルな算数と英語の試験をクリアし、いわゆる難関に合格したKさんだが、一度も塾には通わず、自宅学習で乗り切ったという。

「でも、受験勉強を始めた頃に試しにオンラインで模試を受けてみたら、今まで取ったことがないようなひどい成績で……。土曜日に通っていた補習校での授業は簡単だと感じていたし、現地校でも勉強にそこまで苦労したことはなかったので、『自分はこんなにできないんだ』とショックでした。それからは、親が買ってくれた受験教材を使って家で必死に勉強しました。算数は分からないところを親に教えてもらい、英語はスペルや文法をきちんと押さえるよう意識して学びました」

親しい学友の存在が勉強のモチベーションに

中学に入学してからは、理科や社会などアメリカと履修範囲が違う教科の学習に苦労した。

「日本の理科と社会については、まず、“どうやって勉強すればいい教科なのか”が分からなくて戸惑いました。そこで、勉強のできる友人に聞いてみたり、親に相談したりしながら、その教科の概念と勉強法を理解していきました」

中学校の卒業式で仲良しの友人たちと一緒に。

同校では中3から成績上位の生徒が「選抜クラス」に分けられるが、Kさんは高1で初めてそこに入ることができた。勉強のモチベーションになっているのは、親しい同級生の存在だ。

「テストの点数でどうしても超えたい友人がいるんです。その友人は常に学年10位以内に入っているのですが、中1の頃の僕はまったく届きませんでした。今はだいぶ近づいてきましたが、まだ勝てたことは1度もありません。高2になるとお互い文系と理系のコースに分かれてしまうので、今年が最後のチャンスなんです」

このほか、身近な目標として英検を挙げる。

「帰国してすぐの時に英検準1級をとったきりなので、今は1級取得を目指して勉強しています」

豊富で高品質な日本の釣り具を世界に広めていきたい

切磋琢磨する友人にも恵まれた小峰さんは、勉強だけでなく部活動や遊びも満喫し、充実した学校生活を送っている。

「やはり中学2年生で行ったヨット実習が楽しかったです。学年で5艘のヨットを作って、一人で海に出るのですが、最初はうまく操作できずに苦戦しましたが。部活は、中学からバドミントンをやっています」

中2のヨット実習では、一人で海へ漕ぎ出した。

趣味はアメリカ時代から続けている釣り。土曜日など休日に学校の友だち5~6人と逗子海岸で投げ釣りをしたり、釣り船に乗って海釣りをしたりしているとか。この釣りが、Kさんの将来の夢につながっている。

「日本の釣り具って性能がとても良く、種類もとにかく豊富なんです。ですから、将来はその良さ・豊富さを世界に広めたいと思っています。そのために自分は何ができるか、進路を検討中です」

親への感謝

幼い頃から海外で生活させてもらったことや、テニスに空手、水泳、そろばんと様々な習い事をさせてもらったことは、自分にとって貴重な体験になっています。アメリカにいた頃は父も母も勉強を教えてくれましたし、受験のときも含めて今もいつもそばで支えてくれていることに感謝しています。

取材・文/本誌編集部、竹部伸[株式会社ニイモモクリエイト]