少子化の影響で小学6年生が全国的に大きく減りつつある中で行われた2024年の入試ですが、中学受験者数は前年とさほど変わらず。私立や国立、公立中高一貫校の人気ぶりをあらためて示す結果になりました。
総括を中学受験に詳しい塾、日能研にお聞きしました。
東海エリア(愛知県・岐阜県・三重県)
愛知県の延べ受験者数は前年と変わらず
愛知県の小6児童数は前年比98.6%と前年を下回ったが、愛知県の私立中学の延べ受験者数は前年比100.0%で8年連続の増加となった。名古屋市内は小6児童数の減少率が愛知県全体よりも高く前年比97.1%で、受験者数を前年よりも減らす学校が目立ったが、清林館の開校や、中堅校の難化による一人あたり受験校数の増加もあり、前年とほぼ同じ延べ受験者数となった。
男子校は各校で人気が継続
東海は今年も1,035名もの志願者を集めており、高い人気を継続。南山男子部も志願者数786名で人気だった。名古屋は1,498名と過去2番目に多い志願者数となった。年々第一志望とする受験生が増加しており、入試難易度がさらに高まっている。また、海陽中等教育は、特別給費入試での志願者数は減少したが、入試Ⅰで大きく増加しており、全体では前年を上回った。
女子校の受験者数は前年から減少
愛知県内の女子児童数の減少に伴う影響で、女子校6校全てで受験者数がやや減少した。1月上旬入試の名古屋女子大学は7年連続で受験者数を増加させてきたが、今年は若干の減少となった。ただし、最難関の南山女子部は前年からわずか2名の減少に留まり、684名の受験者数で実質倍率は3.56倍と今年も高い数値を維持。入試難易度も変わらず高いままとなっている。
共学は愛工大名電が受験者数大幅増
愛知県共学校の中で受験者数を大幅に増加させたのは愛知工業大学名電。3回の入試で合計1,201名となり、前年から178名の増加となった。要因は、2回受験すると優遇される入試システムをとっていることなどから年々入試の難易度が上昇し、2回の受験を選択する受験生が増えていること。また、女子の受験者数が徐々に増加していることが関係していると考えられる。
愛知県1月上旬入試は今年も活発
数年前から始まり、もはやスタンダードとなっている愛知県内の1月上旬入試の導入校で活発化。新設校の清林館をはじめ、岐阜県の鶯谷、三重県の高田にも愛知県から受験者が多くチャレンジしており、名古屋経済大学高蔵や名古屋国際は過去最多の受験者数を更新するなど人気を継続している。一方で、名古屋経済大学市邨・星城・名古屋女子大学は受験者数をやや減少させた。
愛知県に清林館中学校が開校
愛知県21校目の私学として清林館が名古屋市の西側に位置する愛西市に開校された。共学校で中高一貫教育を行う。初めての入試では受験者数が124名となった。同校の近隣には2025年度に県立津島高校附属が開校されることも決まっており、今後は小学生の進路選択の幅が広がり、中高一貫教育を検討する家庭が増えていくと予想されている。
岐阜県の中学受験はやや増加
岐阜県全体の延べ受験者数は1,085名で、前年の1,019名からやや増加した。名古屋会場を設置して、愛知県からの受験者を多く集めている鶯谷の受験者数は548名で、昨年に続き過去最多となり、岐阜県全体の受験者数の増加を後押ししている。そのほかの岐阜地区の学校の受験者数はほぼ横ばい。中濃・東農地区では、入試日程を変更した多治見西高校附属が受験者数を増加させた。
三重県は5校の受験者数が増加
隣の愛知県からも多くの受験生を集める高田は昨年わずかに受験者数が減少していたが、今年は前年から50名の増加となった。また、入試会場に四日市会場を追加したセントヨゼフ女子学園も受験者数が22名増加。三重も受験者数が21名増加し、うち15名は思考型特別選考での増加だった。さらに、帰国生入試を新設した暁も受験者数を増加させた。
制作協力/日能研関東、日能研関西、日能研東海
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