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海外就職に関する若者の意識はいかに?(後編)

海外で働きたいと思う・思わない理由は?

昨日は、株式会社UZUZ(ウズウズ/東京都新宿区)が20代の若者を対象に行った「海外就職に関する意識調査」をご紹介。若者の過半数は「海外で働きたい」とは思っておらず、今すぐまたは将来的に海外で働きたいと「思う」人は4人に1人ほど、という結果であった。

では、なぜ海外で働きたいと思わないのか? 逆に、働きたいと「思う」人は、なぜそう思うのか? 本日はその点をチェックしてみよう。

【「海外就職に関する意識」調査概要】

調査方法 キャリア面談の予約時にアンケート実施
対象 既卒・第二新卒、新卒として就職活動中の20代男女
有効回答数 1118名(既卒者:207名、第二新卒:726名、新卒:185名)
調査実施日 2024年2月26日~4月9日

※本調査では既卒「大学卒業後、アルバイト以外の正社員や契約社員としての就業経験がない方」、第二新卒「正社員や契約社員として3年以内の就業経験がある方」、新卒「就職活動中の大学生」と定義。
※各回答結果の割合(%)は、端数処理の関係上、合計が100%にならない場合がある。

海外で働きたいと「思わない」理由

<日本への好感、安心感>
・日本が好きだから
・医療費や食事など日本が一番暮らしやすいと思う
・日本で家庭を築きたいため
・日本のエンタメや文化が好きなため

<適応面での不安感>
・英語に苦手意識があり、海外で働いていく自信がない
・海外は治安が怖いから
・言語や文化の違いに不安がある
・体調を崩しそうで不安
・海外の食が合わないと思うため

<近しい人と離れたくない>
・地元あるいはその近隣で働きたいから
・近くに友だちや家族がいる方が安心だから
・家族と離れたくないため
・将来子育てする時に海外勤務は困るから
・実家から仕事場に通いたいため
・何かあったときに家族に会える距離にいたいから
・将来的に実家で親の面倒をみたいから
・付き合っている人が日本にいるため

<そのほか>
・推しの活動拠点が日本なため
・飛行機が苦手
・行ってみたいけど働きたいとは思わないから

「日本が好き」という理由は同じ日本人として共感するし、「家族と離れたくない」「将来的に実家で親の面倒をみたい」という理由は、わが子のセリフではなくとも、親という立場から嬉しく感じる。「推し」の存在を理由にするのも非常に現代らしく、面白い。

海外で働きたいと「思う」理由

<経済的なこと>
・日本の経済が不安だから
・給料が良さそうだから
・グローバル化、日本の人口減少が進む中で国内市場に限定して働き続けることに不安を感じるため
・給与が高く、オンとオフがしっかりしている印象がある

<自己成長に関わること>
・海外経験が活かせる。国内のみならず、幅広いフィールドがあることは面白いと思うから
・自分の力が世界でも通用するか試してみたいから
・自分の視野を広げたい
・英語力を活かした仕事をしてみたいから
・将来のキャリアアップのため
・国内外で通用する人材に成長したい

<夢や憧れに関わること>
・一生に一度は海外で生活してみたいと思ったから
・違う価値観、新しい視点の人と関わってみたい
・住む場所を選ばない働き方をしたいから
・海外の方が働き方が進んでいるから
・将来、海外移住も視野に入れているため
・海外の仕事経験があればもっと自由に働けるようになると思うから

日本国内で暮らしてきた若者であれば、海外で働きたいと「思わない」人が多いことは想像に難しくないが、海外で働きたいと「思う」理由のほうが前向きで、意欲的で、より良いキャリアを築いていく人のように思えてしまうのは偏見だろうか?

海外就職には、情報収集や現地で働く人とのつながりを!

調査を行った株式会社UZUZの広報担当、専務取締役の川畑翔太郎(かわばた・しょうたろう)氏は、調査結果を振り返って次のように所感を語る。

「メディアの情報や実際にZ世代と話していると、『海外志向が強い』というイメージを持っていましたが、調査すると『そこまで高くない』という結果になりました。海外志向を口にはしているものの、実際に『海外に移住して働く』ことを想定すると、『そこまで本気で考えていない』という状態なのかもしれません。

海外就職を希望する・希望しない理由を紐解くと、『不安』『自信がない』といった感情が強いことがわかります。海外就職のメリットは明確に把握しているが、将来の不明確なデメリットがそれを上回っているのも日本人の特性を考えると納得がいきます。

海外就職の準備を進める上で最も多い『語学の勉強』ですが、海外就職のプランを整理し、必要な言語、語学レベルを明確にしてから臨んでいる場合はいいと思います。ただ、現場で求職者と話していると『とにかく語学力を上げる』ことが目的となっているケースが多く、ただ語学の学習をしてそれが海外就職とまったく繋がっていないという問題があります。海外就職を本気で考えているのであれば、まずは情報収集や現地で働く人とのつながりを作り、『手段(準備)』を明確にしてから臨むことをおすすめします」

(取材・文/大友康子)