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11月後半時点の就職意識調査(前編):2024年卒学生の就職戦線の見方は?

2024年卒学生の就職戦線の見方や就活準備状況は、先輩たちに比べてどのように変化しているのだろうか。『株式会社ディスコ』(本社:東京都文京区)が就職サイト「キャリタス就活」の学生モニターを対象に、11月後半時点での就職意識および就職活動の準備状況などを尋ねた。同時期に実施した過去の調査結果とも比較しながら、その特徴を分析している。

2024年卒学生の56.3%が、1学年上の先輩たちより就職戦線が「厳しくなる」と予想

自分たちの代の就職戦線が 1 学年上の先輩たち(2023 年卒者)に比べてどのようになると見ているのか、その見通しを尋ねたところ、「やや厳しくなる」という回答が約 5 割で最も多く(50.2%)、「非常に厳しくなる」(6.1%)を合わせて 56.3%が厳しくなると予想。前年調査(計 51.1%)よりやや増加した。

厳しくなると回答した学生のコメントを見ると、景気失速による採用規模の縮小を懸念する声が目立つ。世界経済の悪化、歴史的円安、物価高など多くの不安材料が挙がった。また、早期化の進行で乗り遅れを心配する学生や、オンラインから対面形式への回帰によって就活の難易度が上がると警戒する向きも少なくない。企業にアピールできる材料(経験)の不足を嘆く声も多数上がり、新型コロナ第1 波と大学入学時期が重なった「コロナ世代」ならではの悩みも寄せられた。

一方、楽になると見ている学生は、コロナ禍の行動制限緩和の動きが企業にもたらす好影響に注目し、業績回復や事業拡大による採用数増加を期待する声が目立つ。実際、インターンシップ等に参加する中で、企業の人材確保に積極的な姿勢を感じ取る学生も見られた。

■「難しくなる」と見る理由

  • コロナウイルスとの共存は進んできており、その点においてはやや楽観視できるが、ウクライナ情勢や世界的なインフレ、円安など不安定な要素が増えてきているように感じる。<文系女子>
  • 就活の早期化が進み、それに乗り遅れた者の枠がその分狭くなる。<文系男子>
  • オンライン主流から徐々に対面に戻りつつあるため、より気を配るシーンが多いように感じる。<理系男子>
  • 私達の学年は1年生の時にコロナが直撃。何かに挑戦することが難しいまま学年だけが上がってしまった学生が多く、志望動機などの点やアピールにおいて弱くなってしまうことが予測されるから。<文系女子>

■「楽になる」と見る理由

  • 円安の悪影響はあるが、コロナ対策の締め付けが緩和されたことによる経済への好影響の方が大きいと考えている。<文系男子>
  • コロナ禍は終わりつつあり、採用を制限したり見送ったりした企業の採用が増えるだろうから。<理系女子>
  • 少しずつ対面でのイベントも増え、会社をより深く知ることができるようになってきたから。<理系男子>
  • インターンシップに参加することで、企業の採用意識が高いことが分かった。<文系男子>

11月後半時点での志望業界の1位は「インターネットサービス」

志望業界の決定状況を尋ねたところ、「明確に決まっている」という学生が31.5%。前年同期調査(30.0%)を上回り、前年の学生よりもさらに早いペースで志望を固めていることがわかった。とりわけ理系において早く、「明確に決まっている」割合は男女とも4割を超えている(理系男子45.0%、理系女子40.7%)。

「なんとなく決まっている」との回答も含め、志望業界のある学生に具体的な業界を尋ねると(40業界から選択)、全体で最も多かったのは「情報・インターネットサービス」(19.4%)。ここに「情報処理・ソフトウエア」(18.3%)が続き、今期も序盤からIT人気が目立つ。3位は「銀行」(15.9%)で、前年の7位から順位を上げた。文系男子で1位、文系女子で3位と、文系学生からの支持が特に高い。

現時点で第 1 志望としている業界について、志望するに至ったきっかけを複数回答で尋ねた。

「インターンシップや仕事研究プログラムに参加して興味を持った」が今年も半数を超え、圧倒的に多い(51.8%)。2 位以下は「業界研究の結果、興味を持った」「自己分析の結果、自分に向いていると思った」「合説・WEB 合説で話を聞いて興味を持った」が 2 割台後半で続く(29.5%、28.2%、26.8%)。

具体的なコメントからも、インターンシップ等のプログラムに参加したり、業界について詳しく調べたりする中で、自分の志向や適性を確認し、第 1 志望として意識するようになった学生が多いことがうかがえる。

後編では、インターンシップ等の参加状況についてお伝えする。

(取材・文/松井さおり)