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モノのしくみを学ぶ「分解ワークショップ」リポート(後編)

井深大が幼少期に時計を分解したエピソードが原点

(前編)から続く。
身近な電化製品を分解して学ぶ「分解ワークショップ」が8月17日に開催された。本ワークショップは、ソニーグループ株式会社(以下、ソニー)の教育プログラム「CurioStep with Sony(キュリオステップ)」による夏休みイベント「CurioStep サマーチャレンジ」の一環として実施。後編では、本ワークショップの意図や思いを主催者に取材。お話をしてくれたのは、ソニー株式会社 サステナビリティ推進部門 コミュニケーション室の山川奈沙(やまかわ・なさ)氏だ。

今回35回目の開催となるが、そもそもどのような思いで始めたイベントなのか。

「2005年に第1回目を開催して以降、20年弱続いています。今日のワークショップの冒頭でも講師から参加者へお話をいたしましたが、ソニー創業者のひとりである井深大は幼少期に時計を分解してわくわくしたといい、それが彼にとって科学への探求の第一歩となりました。このエピソードを原点に、日頃から何気なく使っている機器を分解することで仕組みや工具の使い方を学べる機会を提供したいと考え、ワークショップを続けています。また、やはり冒頭でお話した、分解と破壊は違う、ということも当初から変わらずに伝えていることのひとつです」

分解して驚きと楽しさがある機器を選定

今回はラジカセを分解したが、これは古いモデルではなく、現行モデルだという。実際に今、使われているものを分解できるという機会はないので、なかなか贅沢な体験といえるだろう。(※感電・火災・ケガなどの原因となるため、ご家庭などでの製品の分解はしないでください)

「過去にはテレビやプロジェクターも分解しました。今回はラジカセを使いましたが、実はラジカセを知らない子どもが増えてきました。これもワークショップでお伝えしますが、レコード、カセット、CD、ダウンロードというように、音楽の聴き方も時代とともに変わってきているので。そうなると今の子どもたちにはウォークマンやヘッドホンのほうが身近でよいのでは、となりますが、小さい機器は分解しにくいのです。また、小学生が分解して面白いか、という基準で見た時、カバーがパカッと外れたときにぴかぴかした大きな基盤や、理科の授業でならったレンズが出てくると楽しいですよね。分解したときの驚きや楽しさも考えながら選んでいます」

子どもたちの社会を動かす力を養える体験を

今回のワークショップでも、各テーブルから「面白い」と言う声がたくさん聞かれたが、これまでにどのような感想があったのだろうか。

「やはり『楽しかった』という声が多いです。小学校高学年くらいのお子さまでは『仕組みに興味を持ちました』という声をいただくこともあり、我々の意図することが伝わったのだな、と嬉しく思います。機器や仕組みを面白いと感じる体験は、理科や工学などへの興味の入り口になるのではないかと思います」

分解ワークショップは、今後も継続予定という。

「ソニーは創業当時から次世代を担う子どもたちに対する理科教育に力を入れてきました。テクノロジーや商品を使って、いわゆるSTEAM領域の多様なワークショップを提供していきたいと思っています。子どもたちの好奇心や夢に寄り添い、社会を動かす力を養えるような体験を提供していきたいと考えています」

(取材・文/中山恵子)

ソニー株式会社 サステナビリティ推進部門
コミュニケーション室
山川奈沙氏