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小学生発案の便利グッズに賛否、共に開発した大学生に聞く(後編)

新しいものは粗探しされやすいけれど…

(前編)からの続き。
小学生が発案したランドセルの重さを軽減する便利グッズ「さんぽセル」の発売ニュースにネット上で大人から批判コメントが殺到した件を、当事者の小学生たちはどう思っているのだろうか。彼らと一緒に商品開発を行った琉球大学医学部3年生の太田旭(おおた・あさひ)氏に話を聞いた。

「実際には商品をほめていただくことの方が多くてありがたいのですが、批判的なコメントの方が心に残ってしまいがちです。小学生たちもそういうコメントを目にして、傷ついていました。僕自身はネットニュースのコメント欄は否定的な声が集まりやすい場であることを理解しているのでそれほどでもないですが、やはり少しはショックでした。新しいものは粗探しをされやすいものですが、そういう否定的な雰囲気が日本が明るくならない一因かもしれない、と思います」

長距離の歩行耐久テストを行う、太田旭氏

 

安全面にも配慮し、テストを重ねて耐久性もアップ

匿名のコメントゆえに単なる言い掛かりのような声もある一方で、安全面を危惧する声もあったが、これについては解決済みのものが多いという。

「現在の商品が100%ベストではなく改善点も出てくるとは思いますが、安全面には配慮しています。実は11月に商品が完成した後にテストを繰り返したところ、小学生たちの使い方が想像以上に乱雑で(笑)、自動車の安全部品を製造している株式会社アオキシンテックに協力していただき、構造を一から見直して耐久性をアップさせました。発売時期が4月にずれたことで予約していただいていた方々にはご迷惑をおかけしましたが、子どもたちに安心して使ってもらえる商品になりました」

アオキシンテックの職人によって耐久性を改良

 

将来を担う子どもたちに負けてほしくない

批判の声に対抗するため、太田氏たちは、利用者の友だちに「さんぽセル」を配って普及させるためのクラウドファンディングを開始した。

「小学生たちの当初の目標はゲーム機を買うことでしたが、売り上げの一部でこの夏に廃校にゲーム部屋を作ることが決まりました。今回のクラウドファンディングは、新しいものをとりあえず批判するような社会に屈しないために、社会が無視できないほどの大量のさんぽセルを友だちに配る資金にします。今の小学生は日本の将来を担っていく存在です。子どもたちには社会に負けてほしくないですし、自分も負けたくないです。応援のメッセージもたくさんいただいていますし、協力してくださる方々も多いので、そうした方々と一緒に、子どもたちが身も心も軽くなって楽しい気持ちで学校に通えるような社会を作りたいです」

穏やかな口調で和やかに、商品開発のきっかけから現在までのことを語ってくれた太田氏。21歳の大学生が、さんぽセルを考えた小学生たちを守りながら、そして日本の小学生の健康を考えながら、少しでも世の中を変えていこうとしている様子が頼もしい。

(取材・文/中山恵子)

階段ではさんぽセルを収縮して普通のランドセルのように背負える