Q. 香港のインターナショナルスクールに2年ほど通う16歳の息子を持つ親です。2年後に帰国する予定ですが、(インターナショナルスクール経験者の)大学受験において親ができることは何ですか?
A. グローバル化が進む中、帰国生入試を取り入れる大学(学部・学科)は急速に増加しています。なかでも、さまざまな国や地域から生徒の集まるインターナショナルスクールで教育を受けてきたお子様は、世界を相手に自らの意見を堂々と発信できる能動的な力を備えていることが多く、これからの世界で活躍する日本人として期待されています。そのため、こうした子らを積極的に受け入れようとする日本の大学の動きは自然な流れと言えるでしょう。
以上のような理由から昨今増加している大学での帰国生入試ですが、その増加に従って受験条件や試験内容が複雑化しています。また一般入試は冬期に限定されますが帰国生入試は1年中どこかの学校が受験を受け付けているため、年間を通して情報を集めなければなりません。そのため親としては、ずっと日本で暮らしてきた高校生に対するものよりも数段踏み込んだバックアップが必要です。
さてその方法ですが、まずは学校や学部・学科選びにおいて、人生の先輩としての人生経験を生かしたアドバイスをすることをおすすめします。入学後のミスマッチを避けるためにも、将来の職業まで見据えた選択について話し合い、最後は本人に任せるスタンスで、さりげない働きかけをされたらいかがでしょうか。結果、志望理由が明確になり、お子様は強い気持ちで受験に向かうことができます。
志望校(学部・学科)が決まったら、受験対象の帰国生入試を受けるために必要な情報をリストアップし、漏れがないようにしていきます。まずは出願書類の準備ですが、必要書類や統一試験、英語の外部試験などのスコアの有無などは大学(学部・学科)によって大きく異なります。大学受験においては通常、願書などの書類は子ども自身で用意する年代とされていますが、海外在住という特殊事情を考慮して、出願書類が準備不足にならないよう手伝ってあげるべきでしょう。
また、スケジューリングにも細心の注意を払うべきでしょう。学校によってはインターナショナルスクール側に書いてもらう書類を提出する必要も出てくるため、休みや手配のペースも考慮しながら逆算して依頼する必要があります。さらに出願書類を日本から取り寄せたり、海外から提出する場合は、お住まいの地域によっては郵便事情が悪いこともあるので時間がかかることを見越して動かなければなりません。
万全の準備を手助けしたら、あとは見守るだけ。インターナショナルスクールに適応する過程で大きく成長したお子様を信じてあげましょう。
お話を伺った方
清水賢司氏
「公益財団法人 海外子女教育振興財団 教育相談員」
海外子女教育と長年関わり、イランのテヘラン日本人学校勤務時代は日本語補習授業校との交流を推進。帰国生の受験についても子どもの希望が叶うよう教科指導や学校経営を進めた。2018年から海外子女教育振興財団の教育相談員。