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中学校の休日の部活動、学校を離れ地域ごとの取組みに(後編)

中学生スポーツの大会、学校の枠組み以外で参加OKに

 前編に続き、スポーツ庁「運動部活動の地域移行に関する検討会議(第6回)」の中で提言された内容の中から、大会の在り方や保護者の費用負担について見ていこう。

 まずは、大会の在り方から。現在、中学生スポーツの各種大会は参加資格が学校単位に限定され、地域のスポーツ団体等の参加は認められていないものもある。このままでは、「部活動を学校単位ではなく地域ごとに運営していくべき」とする案にフィットしない。

 そこで、こうした大会参加資格に地域のスポーツ団体等を加えていくため、公益財団法人日本中学体育連盟は地域のスポーツ団体等の中学生の全国中学校体育大会への参加を承認することを決定。現在、参加条件等について、都道府県中学校体育連盟と協議中だという。

中学生スポーツ、勝利至上主義から脱却か!?

 また、提言の中では、全国大会の在り方や適切な運営方法についても変えるべきだと明記されている。具体的には、より上を目指そうとして練習が長時間になったり、過熱しすぎてしまって怪我や故障を招いてしまったり、勝利至上主義による暴言や体罰、行き過ぎた指導等が生じる一因ににもなっている現状を指摘。さらには、トーナメント方式で約半数が1回戦で敗退するなど、試合を通じて得られる貴重な成長の機会を確保できなくなっている現状も問題視している。

 そこで、今後の対応として、「中学校等の生徒向けの全国大会は、生徒にとってどのような意義があるのかを改めて議論し、(中略)生徒にとってふさわしい全国大会の在り方や、適切な大会の運営体制などについて検討する。また、全国大会の開催回数は、生徒の心身の負担や保護者による金銭等の負担が過重にならず、学校生活との適切な両立が図られるよう、運動種目ごとに適正な回数に精選するべきである」という提言がなされた。

部活動費は行政や企業等からの支援で

 次に費用面。学校単位の部活動でも部費の徴収はあるが、教師が指導を担っているため指導料が生じず、比較的低い額となっている。だが今後、地域化する際は、所属するスポーツ団体等に会費を支払うこととなるため、学校の運動部活動の部費と比べて金額が上がることが想定される。

 そのため、費用を抑えるために、中学校等の生徒を対象とするスポーツ活動を行う団体等に対して、学校等の施設を定額で利用してもらうなど地方自治体や国からの支援を行う必要があるとしている。支援の財源については、企業版ふるさと納税を活用した金銭支援を得たり、地元の企業等の協力を得て、企業等が有する運動施設の利用やスポーツ用具の寄付等の支援を受けられる体制を整備することなども検討する、という。
 
 筆者自身は、子どもが中学・高校時代、毎日休みなく部活動に参加し頑張っていたことを評価するが、その分、顧問の先生が残業手当や休日手当もまったく出ない公立中学・高校において、毎日部活動を指導してくださっていたことを、今振り返っても心苦しく感じる。「教師の仕事はブラック」と言われて久しい。来年度から休日の部活動が段階的に地域移行し、教師の負担も段階的に減少していくのは望ましいことと感じる。

(取材・文/大友康子)

出典:スポーツ庁「運動部活動の地域移行に関する検討会議提言(案)