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帰国までの賢いスケジューリング④「子どもを日英バイリンガルにするには?」

不測の事態で、様々な予定の再調整が必要になることも多い昨今。受けるダメージを最小限にするにはあらかじめスケジュールをイメージしておき、いざというときに調整しなおせる範囲を把握しておくことが得策です。そこで専門家に、帰国を前提とした海外滞在のなかでよく伺う6つの希望を叶えるためのスケジューリングのコツを伺いました。今回は子どもを日本語と英語の両方を操る日英バイリンガルにするための賢いスケジューリング方法に焦点を当てます。

子どもを日英バイリンガルに育てるための3つのポイント

グローバル化に伴い、「我が子を日英バイリンガルに」と考える保護者は多くなった。帰国子女向けの英語塾、帰国子女アカデミーの竹内芽依氏によると、その思いを叶えるには「渡航年齢、滞在地、滞在期間、現地の学校、友だち、休日の過ごし方など、様々な条件の重なりが関係する」という。

「約3~4年を英語環境で過ごしてから帰国すると、読み書きも含めて自然な英語が身に付いているので、日英バイリンガルとして成長しやすいです」(竹内氏)

しかしそんな条件から外れる滞在になっても、日英バイリンガルの力を持つことは可能だという。同校校長のチャールズ・カヌーセン氏は、次のように話している。「現地で英語を日常的に使うコミュニティに属させ、帰国後は間をあけずに現地と同じような英語環境に入れることが大事です」

POINT 1

日英バイリンガルに育ちやすい例として「英語圏で3~4年ほど生活する」というケースが挙げられる。しかし、そうでなくても大丈夫。現地での努力、帰国後の努力で目指せる。

POINT 2

「(英語を)話す力」の源になるのは積極的な会話で、「読む力」と「聞く力」のアップには読書とニュース視聴、「書く力」のアップには日記を書く習慣が有効、と覚えておこう。

POINT 3

帰国後は英語力がフレッシュなうちに、英語塾や習い事、学校(インター)など、現地にいたときと同じように学年相応のレベルで勉強し続けられる環境に入ることが大事。環境の目星は、帰国の3カ月ほど前からつけておこう。

子どもを日英バイリンガルにするための賢いスケジュール

【滞在中ずっと①】英語話者の気の合う相手を見つけさせる

現地で属しているコミュニティ(学校、習い事など)の行事に積極的に参加させ、そこで仲のいい友人を見つけさせると◎。「『英語を話す力』の源になるのは、積極的な会話やディスカッションです。現地での生活に慣れてきた頃に、クラスでリーダー役を担うこと、スピーチコンテストへ参加することなどをすすめるのもいいでしょう」(カヌーセン氏)

【滞在中ずっと②】現地の本や現地のニュースにたっぷり触れさせる

「英語を読む力」と「英語を聞く力」をつけるには、様々な分野の知識を蓄えることが重要。「子どもはフィクション=物語を通して、より会話的で慣用的な英語に触れます。ノンフィクション=日々の異なるニュースとの出会いで新しい話題や語彙に触れられ、英語力を円熟させていきます。英語の本やニュースには、ぜひたくさん触れるよう促してあげてください」(カヌーセン氏)

【滞在中ずっと③】現地での日々を日記に英語で記録

現地での思い出を記録できて、「英語を書く力」もアップ。日記は一石二鳥のツールだ。「短い日記や1週間の出来事などを書くこと。これは現地にいる間だけでなく、ぜひ帰国後にも続けてほしい習慣です」(カヌーセン氏)。また、現地の本やニュースの要約を5段落程度の長さで書き、書き終わったらミスを確認することも「英語を書く力」のいい練習になるという。

【帰国1~2年前】現地でしたいことをスケジュールに組み込む

帰国時期を考えて逆算し、残り2年の大まかなスケジュールを立ててみる。「そこに組み込むことは、主に、現地で経験しておきたいこと。現地の文化や習慣により強い興味を持つことは、ナチュラルな英語力の習得につながりますし、帰国後の英語力保持にも有効です」(竹内氏)。例えばサマーキャンプや現地のお祭りへの参加、現地での国内旅行など。

【帰国3カ月前①】現地の英語話者の友人と連絡先交換

「残り少ない時間を、現地の友だちとできるだけ楽しく過ごさせてあげることはもちろん、帰国後も交流しつづけられるように準備を」(竹内氏)。友だちの保護者への挨拶や連絡先交換などは忘れずにしておきたい。帰国してからも現地の友だちと仲よくしていたいという気持ちや、いつかまたここに来たいという願いは、英語力保持・伸長の原動力に。

【帰国3カ月前②】帰国後に身を置く英語環境を探す

帰国後にインターなど英語を学内公用語とする学校に編入しない場合は、帰国後、いかに早く、現地にいたときと同じく学年相応のレベルで勉強し続けられる環境に入れられるかが重要になる。「帰国後は海外生活で落ちた日本語力や日本の他の教科のキャッチアップに集中しがちですが、そちらにばかり気を取られていると、あっという間に英語力は低下。元に戻すには倍以上の時間と努力が必要に。そのため、現地にいたときと同じように勉強し続けられる塾や習い事をこの時期から探し、必要があれば問い合わせを。読み書きだけでなく、英語でコミュニケーションをとれる塾や習い事を選ぶことが大事です」(竹内氏)

【我が家の体験談~やってよかったこと~】

  • 滞在中はずっと、日本語を忘れないように日本のアニメを見せたり日本の歌を一緒に歌ったりしていた。母語を大切にすることがバイリンガルになる秘訣だと聞いたことがあるが、今の我が子を見る限り、それは正しいと思う。(マレーシアとカナダに滞在したR・Hさん。お子さんは現地校に通い、小6で帰国)
  • 滞在中はずっと、日英バイリンガルの家庭教師に週2回、現地校の勉強でわからないところを聞ける体制を保っていた。(ニュージーランドに滞在したR・Iさん。お子さんは現地校に通い、高校卒業のタイミングで帰国)
  • 大好きな読書が、滞在中はずっと、楽しい言語学習ツールになっていた様子。『ハリー・ポッター』シリーズなどは日本語版と英語版の両方を読んでいた。本好きに育ててよかった!(アメリカに滞在したK・Eさん。お子さんは現地校に通い、高校卒業のタイミングで帰国)
  • 家族間で日本語と英語のミックスで話すことが次第に増えたため、「家庭内ではきれいな日本語を話す」というルールを設け、以降の滞在中はずっと、親も丁寧な日本語遣いを心がけた。(アメリカに滞在したT・Kさん。お子さん2人は現地校に通い、中2と中3で帰国)

 

お話を伺った方

帰国子女アカデミー

チャールズ・カヌーセン氏

竹内芽依氏

完全英語環境の塾、帰国子女アカデミーで帰国生教育に従事。

 

 

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