子ども向けロボット教室やプログラミング教室についての素朴な疑問を「特定非営利活動法人東京学芸大こども未来研究所」の専門研究員・木村優里(きむら・ゆうり)氏に取材したシリーズの第3回(最終回)。第1回と第2回に続く。
今回は、木村氏が理系に進まれた理由や教室選びのポイントについてお話を伺った。
好き、楽しい、という気持ちが学びのベースにあることが大事
――ところで、木村さんはなぜ現在のお仕事に就かれたのですか?
木村氏:大学では理科を学んでいて、中学校・高等学校の教員免許を取得しました。卒業後は理科とは関係のない一般企業に就職したのですが、やはり理科教育の分野に戻りたいなと思って、現在の研究所に転職しました。
――理科が好きな女子だったのですね。珍しいですね。
木村氏:しかも物理が好きだったので、少数派でした。授業として物理があるのは高校からですが、物理の問題を解くのが面白かったのです。当時はそこまで深く考えていませんでしたが、今思えば、世の中の自然現象を解ける、というところに楽しさを感じていたんだと思います。
――物理を面白いと思えることがすごいです。私(筆者)は理科といえば朝顔やヘチマの栽培など園芸みたいなものしか興味がなくて…プログラミングとは関係ない話で失礼しました。
木村氏:いいえ、園芸はけっこう関係あるんですよ。朝顔などの植物を育てるときにも、日光が当たっている量や降水量に応じて水やりの量や肥料の量を管理するようなプログラムをつくることもできます。プログラミングは世の中を便利にするしくみづくりに応用できるんです。
――なるほど。プログラミングをこれから学んでみたいというお子さんや保護者のために、教室選びのポイントがあれば教えてください。
木村氏:体験レッスンやイベントに参加してみて「やってみたい」というのであれば、お子さんの興味の方向性とレベルに応じた内容を教えてくれる教室を探すとよいでしょう。このレベルですが、一概に年齢や学年で分けられるものではありません。小学校低学年でもプログラミングに熱心に取り組んでいる子もいれば、高校生で初めて学ぶ子もいるからです。ですから、年齢や学年にとらわれずに現在のお子さんのレベルを見極めて、適した学びを提供してくれる教室を選ぶとよいでしょう。
教室によって学びの内容や雰囲気は違いますから、やはりお子さんが「好き」「面白そう」と感じられる教室に通ってみるのがよいですね。私どもの研究所のモットーは「遊びは最高の学び」ですが、STEM教育は遊びを通じて楽しめば楽しむほど学べる分野だと思います。
(取材・文/中山恵子)