“10代の本気”が社会を動かすか!?

経営者が伴走する新しい起業家育成プログラム

10〜18歳の若者が社会課題解決に挑戦する起業家育成プログラム「YOUNG IMPACT(ヤング・インパクト)」の3期生募集が7月から開始されます。若者が社会課題に挑むビジネスアイデアを持ち寄りコンテストで発表、採択された事業は経営者が1年間伴走して実現を目指していくプログラムです。

小中高校生が社会課題解決事業案を発表するコンテストは間々ありますが、「発表して終わり」ではなく、リアルな事業に変えていくのが、このプログラムの特徴。具体的なアドバイスが受けられる「月1回の経営者のメンタリング」、クラウドファンディングの設計・運営支援、助成金申請といった「資金調達支援」、経営者・投資家・専門家とのつなげてもらえる「ビジネスネットワークの提供」、メディアへのアプローチ・SNS発信・プレスリリース作成といった「広報・PR支援」といったサポートが受けられるそうです。

2025年10月開催の 1期では2事業が採択、2期では5月29日にファイナル進出事業案が決定し、7月11日のファイナルシーズン開催を待つばかりとなっています。そこで本日は、1期で採択された2事業と、2期の応募案のうち本人・保護者の同意を得られた参加者の事業案をご紹介しましょう。

第1期①ロヒンギャ難民支援プロジェクト

在日ロヒンギャの約9割が暮らす群馬県館林市在住の鈴木聡真さん(17)は、小学6年生の時に母からロヒンギャのことを聞き、苦しんでいる彼らのために何かしたいと、妹の杏さん(15)と通っていた私立の小中高一貫校「ぐんま国際アカデミー」の友人、計4人でクラウドファンディングを立ち上げ300万円超を調達し、バングラデシュ国境の難民キャンプへの物資支援を実現。YOUNG IMPACTに採択された現在は、DREAM PARTNERS(若者の挑戦を支援する経営者など)の支援のもと、継続的な支援体制の構築を進めています。

鈴木聡真さんコメント 「2020年、地元で難民問題を知ったことが原点です。DREAM PARTNERSの方々から継続的なビジネス支援や助言を受け、想いを形にする視点が身につきました。新時代の支援を実現し、支援を遠いものから身近なものへ変えていきたい。迷っても行動すれば道は拓ける」

鈴木聡真さん・杏さん

第1期②地方から世界へ挑戦するゲーム制作プロジェクト

地方在住の中学生である齋藤悟・昴さん(14)はゲーム制作を通じた教育プログラムの開発に挑戦。「田舎に住んでいても世界に挑戦できる」ことを自ら証明し、同世代にインスピレーションを与える活動を展開。DREAM PARTNERSとの月1回のメンタリングを通じて、事業計画の具体化やネットワーク構築を進めています。

齋藤悟さんコメント

「ぼくがこのプロジェクトを始めたきっかけは、ぼくが住んでいる田舎で開催されたゲームクリエイター体験というイベントに参加したのがきっかけです。DREAM PARTNERSの支援をいただいたことで自分の視野になかった、どうやって資金を増やしていくかという問題に向き合いました。今後はゲームクリエイトの知識を伸ばしながら今年中にゲームクリエイター体験を開きます!」

齋藤悟さん

第2期候補①給食の残食を減らすカードゲーム開発

近所の小学校で残食の実態を調査した、神奈川県の給食好きの高校生、AYAさん(18)。食材への偏見や見た目への苦手意識が残食の原因と気づき、残されやすい食材をイラストカードで楽しく学べるオリジナルカードゲーム「残食ナンジャモンジャカードゲーム」を開発中。

AYAさんコメント

「残食ナンジャモンジャカードゲームで食材の見た目や偏見による食品ロスを減らしたい! ひと口も飲まずに捨てられる牛乳をもう見たくない」

第2期候補②提灯型携帯ゴミ箱開発

10歳で起業し、現在法人5期目を迎える東京都の中学生、細井愛茉さん(14)。提灯の内部にゴミ袋を搭載した携帯ゴミ袋を考案し、外国人観光客によるゴミのポイ捨て問題を日本らしいデザインで解決しようとしています。

細井愛茉さんコメント

「提灯を携帯ゴミ袋とし、外国人に日本の『ゴミを持ち帰る』という文化を伝えたい。外国人によるゴミ問題を解決したいから」

第2期候補③気軽に挑戦できるボランティアの仕組みつくりを実現

茨城県の山村夏音さん(17)は、文部科学省の官民協働留学推進プログラム「トビタテ!留学JAPAN」10期生としてニュージーランドとネパールに渡航し、ボランティア意識調査や衛生教育を実施。帰国後は学生団体を立ち上げ。

山村夏音さんコメント

「帰国後、学生団体volunshareを立ち上げ、30名規模の高校生が参加する交流型ボランティア活動を実現。今後は関西拠点のガイド体験イベントを展開しながらスポンサーを募り、国内外で高校生が気軽に挑戦できるボランティアの仕組みをつくりたい」

第2期候補④学生の挑戦の裏に潜む危うさを解消

東京都の小楠源大さん(18)は、社会課題解決などに意欲的に挑戦する学生が、その一方で抱える孤独感や学業との両立問題に着目。イベント開催やコミュニティ運営を通じて、学生が安心して挑戦できる環境づくりに取り組んでいます。

小楠源大さんコメント

「学生の挑戦の裏に潜む危うさを解消したい。挑戦をしている学生の中には、学業を疎かにしてしまう、孤独感をかかえてしまうなどの問題があるから」

第2期候補⑤雑草をエネルギー資源として活用

東京都の神田芙羽さん(17)は、祖父母の家で大量の雑草を目にした原体験から、雑草のエネルギー資源としての可能性に着目。現在は論文作成に取り組みながら、専門家との連携も視野に研究を進めています。

神田芙羽さんコメント

「祖父母の家で大量に目にした雑草をエネルギー資源として活用したい。ゆくゆくは作った燃料を普及させて、雑草でエネルギー問題を解決したい」

第2期候補⑥地域の職人と若者をつなぐ仕組みづくり

東京都の中西尭さん(17)は、建築家兼大工のもとに1カ月住み込みで働き、数百年受け継がれてきた職人の技術が失われつつある現実に直面。地域の職人と若者をつなぐ仕組みづくりに挑みます。

中西尭さんコメント

「地域に根ざす職人と若者が、互いに価値を届け合う循環をつくりたい。20人近くの職人への取材で見えた課題を、仕組みで変える」

第2期候補⑦探究活動を活性化

探究活動で全国大会に出場した経験をきっかけに、母校の探究活動の活性化に挑む北川眞子さん(17)。学内アンケートで課題を把握し、学生主体のコミュニティとワークショップで後輩たちの可能性を広げることをめざしています。

北川眞子さんコメント

「母校の探究活動を、学生の手で変えたい。アンケートで見えた『行動のハードル』を下げる仕組みをつくり、後輩たちがもっと自由に挑戦できる環境をつくりたい」

YOUNG IMPACTは夢を社会に届く形に変えていく場

YOUNG IMPACT運営団体のひとつであるこども万博実行委員会 実行委員長・手塚麻里(てづか・まり)氏は第2期の開催について、次のようにコメントを寄せています。

「2期生一人ひとりが、身近な体験や原体験を起点に『自分なりの問い』や『社会に対する違和感』を持っていることに、大きな可能性を感じました。社会を動かす原点は、いつも誰かの小さな違和感や願いから始まります。その“はじまり”をすでに持っていることが、とても頼もしい。YOUNG IMPACTは『その夢を社会に届く形に変えていく場』。挑戦する若者を“特別な人”にせず、想いを持つ人が自然に挑戦できる文化を、一緒につくっていきたいと思っています。自分の想いを信じて、思い切って挑戦してください。みなさんの一歩が、これからの社会を少しずつ動かしていくことを楽しみにしています」

また、こども万博実行委員会 プロデューサー・大野裕貴(おおの・ゆうき)氏は当プログラムについて次のように述べます。

「今回、YOUNG IMPACTにエントリーしてくれた中高生たちは、本当に素晴らしい挑戦をしている若者たちばかりです。エントリーに際し、一人ひとりと対話をしてきました。それぞれが社会課題への真剣な想いを聞くたびに、胸が熱くなり、むしろ私たちのほうが大きな勇気をもらいました。

エントリー後も、日々の挑戦の進捗を積極的に発信し、勉強会にも前向きに参加してくれている彼ら。その姿に、心から背中を押したいという気持ちが溢れています。彼らの挑戦を全力で応援するとともに、私自身も彼らと共に成長していきたいと、強く思っています」

(取材・文/大友康子)