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高校生が身近な問いから考えるビジネスプラン、グランプリ決定(前編)

「半径5m」に目を向け自分が感じた問いからビジネスを考える高校生対象のアントレプレナーシップ・プログラム「高校生Ring 2022」の最終審査会が1月21日東京都内で開かれ、グランプリと準グランプリが決定した。主催は株式会社リクルートで、同社が提供するオンライン学習サービス「スタディサプリ」が「高校生Ring」を実施している。

グランプリは東大阪大学柏原高等学校が受賞

参加人数総勢6,186名の中からグランプリに選ばれたのは、東大阪大学柏原高等学校の生徒が考えた、県外進学者のためのホームステイマッチングサービス「S connect」。このサービスは、受賞した生徒自身が中学進学時に、地元の学校にバドミントン部がなかったことから、祖母の家から通うことでバトミントン部のある別の学校に進学できた、という経験から発案。同じような生徒がいるのではないかとSNSを活用して全国の中高生約500人にアンケート調査を実施したところ、約50%が県外進学を希望していること、寮がなくて希望の進学先を断念した経験のある生徒が10人に1人いることが分かったという。そこで、「もっと学校選びの選択肢を広げたい」という思いから、寮のない遠方の高校に進学したい中学生と、空き部屋を有効活用したい高齢者、県外からの生徒を受け入れたい高校の三者をつなぐマッチングサービスを考えたという。

審査員からは、「まさに高校生の視点でしか思いつかないようなアイデア。空き家の増加や高齢化社会といった日本社会の課題を解決したときのインパクトが大きい」などの講評があった。生徒は、受賞に驚きつつも「うれしいです。このプログラムを通じて世の中のサービスが、ある人の小さいひらめきや身近なことから生まれているということに気づきました。これから、自分が考えたこのサービスがもっと具体的になり世の中で普及していくことで、多くの中高生がさまざまな進路選択ができるようになるといいなと思います」と喜んだ。

グランプリ受賞高の生徒がスピーチ

また、先生は「ICTを活用していく技術をこのプログラムを通して生徒が考えたり、培っていけるといいと考え参加しました。ICT学習はインプットばかりになってしまいますが、このプログラムでアウトプットする経験に活用できることを学びました」とコメントした。

準グランプリは洛南高等学校に

準グランプリは、洛南高等学校の生徒が考えた、外出先にある美容院で安価に自分で髪形を直すことができるサブスクリプションサービス「Light」が受賞した。こちらも受賞した生徒自身の「崩れやすい前髪を外出先でも直したい」という強い思いから生まれたアイデアだが、自分たちの課題を解決するだけでなく、美容院側にも「広告費をかけずに店舗に顧客を呼び込むことができる」というメリットが考えられていて、この点を審査員は特に評価。「情熱が伝わってくるプレゼン。業界がここに機会を見いだせたらいいビジネスになると思う」と講評した。

受賞した生徒は、「自分が感じている課題を誰かに解決してもらうのではなく、自分で解決できる可能性があると気づくことができました」とコメント。先生は、「生徒が出した最初のアイデアからいろいろな方のサポートを受けながら、生徒のがんばりとして花開くことができ、『高校生Ring』の可能性を感じました」とプログラムに手ごたえを感じているようだった。

主催者の思いについては、明日掲載の(後編)で紹介する。

(取材・文/中山恵子)