大学生が選ぶ「採用活動が上手な企業ランキング」第1位は…
ちょっと気になる「採用力ランキング」
就職人気ランキングは調査会社によっても違うものの、伊藤忠商事が何年連続1位だなどと聞いた記憶がありますが、いずれにしろ就職活動中の学生でなくても、ちょっと気になりますね。「就職したい企業のランキング」ではなく、大学生が就職活動をしていて採用活動が上手だと感じた企業、つまり「採用力が優れた企業」を選んだランキングなるものもあるそうです。本日はそれをチェックしてみましょう。
【「2025年大学生が選んだ第19回新卒採用力ランキング」調査概要】
◆調査主催:株式会社ダイヤモンド・ヒューマンリソース(東京都文京区)
◆調査対象:現在就職活動中もしくは就職活動を終了した、全国の国公立106大学・私立24大学の大学4年生と大学院2年生
◆有効回答:864名
◆調査期間:2025年3月3日(月)~6月27日(金)
◆調査方法:ウェブ入力フォームより記名回答
「ホームページ」「インターンシップ類」「パンフレット・入社案内」「メール・SNS」「セミナー・説明会」「先輩社員・懇談会」「選考・面接」の項目別に好印象の企業を8社まで記入。
1位企業=5ポイント、2位企業=4ポイント 、3位企業=3ポイント、4位企業=2ポイント、5~8位企業=1ポイントで加重集計し、ポイントの多い順にランキングを作成。総合ポイントは上記の項目のポイントを合計。
明治安田生命保険が3年連続で総合1位
3年連続で総合1位となった明治安田生命保険は、「選考・面接部門」で1位となったほか、「インターンシップ類」「パンフレット・入社案内」「セミナー・説明会」「先輩社員・懇談会」の4部門で2位、「ホームページ」で3位とバランスよく学生の支持を集めました。
2位の日本生命保険も「インターンシップ類」「先輩社員・懇談会部門」で1位となったほか、「選考・面接部門」で2位、「セミナー・説明会」部門で4位、「ホームページ」「メール・SNS」で5位にランクイン。
3位の大和証券グループもメール・SNS、面接・選考で3位、ホームページで4位、インターンシップ類で5位と就職活動全般を通して複数の部門で学生の評価を集めた企業が上位にランクインしました。
多くの学生に向けたホームページやパンフレットなどでは「豊富な情報量」と「デザイン」が評価のポイントとなったようです。企業と学生のはじめの接点となるインターンシップ類では「仕事理解や業界理解に役立った」に支持が集まりました。また、個別の接点となるセミナー・説明会や先輩社員・懇談会、選考・面接では、丁寧な対応と人物重視の選考姿勢が評価される傾向が見られたそうです。

ホームページ・ランキングは三井住友銀行が3年連続1位
ホームページ・ランキング3年連続1位となった三井住友銀行は、「きれいなデザインで、コース別採用の説明が分かりやすかった」「社員インタビューが多様で将来のキャリアを想像できた」と「デザインが良い」「情報量が豊富」で評価を得ました。
2位の伊藤忠商事も「洗練されたデザイン。インターンシップから本選考までさまざまな内容が網羅されていて、幅広い領域の中で具体的にどのように活躍できるか理解できた」と「デザインが良い」「情報量が豊富」で支持されています。

インターンシップ・ランキングは日本生命が2年連続1位
インターンシップ・ランキング2年連続1位の日本生命保険は「5日間かけて実際に仕事を体験でき、理解が深まった」と「仕事理解」で評価されたほか、「参加しやすい時期・期間」でも評価されました。「グループ作業が多く楽しかった」と学生の満足度は高いようです。 2位の明治安田生命保険も「業界や仕事についての理解はもちろん、志望する部署の方に直接話を聞けて働くことへのイメージが明確になった」と「業界理解」や「仕事理解」での評価が目立ちました。

パンフレット・ランキングは1位住友商事、2位明治安田生命
パンブレット・ランキング1位の住友商事は「デザインが良かった。オフィスの写真やさまざまな年代の社員の方へのインタビューなど内容も充実していた」と「デザイン」と「情報量」が高く評価されています。
2位の明治安田生命保険は「読みやすく、実際の仕事や経営理念などコンパクトに情報が詰まっていた」と「デザイン」に加えて「情報量」でも支持されました。両社ともに「自宅に冊子を郵送してくれた」といったコメントも寄せられており、丁寧な情報発信姿勢も学生の琴線に触れたようです。
3位のSkyも「デザイン」に加え「企業や製品の紹介、今後の展望などが充実しており企業の目指す方向性などを理解できた」と「情報量」でも評価を集めました。

メール・SNSランキングはSkyが4年連続1位
メール・SNSランキング4年連続1位のSkyは公式YouTubeやInstagram、X(旧Twitter)、TikTokなど学生になじみの深い複数のメディアを通じて情報を発信しています。「移動中など空き時間でも企業研究できた」とSNSならではの「タイムリー」な情報提供が評価されました。2位の第一生命保険は「選考前日に端的に情報が盛り込まれているメールが届いた」と「時期がタイムリー」「読みやすい内容」に支持が集まりました。3位の住友生命保険は「面接前に勇気づけてくれるメッセージを送ってくださり、自分らしく面接を受けることができた」と内容面で評価されています。

セミナー・説明会ランキングは三菱UFJ銀行が1位
セミナー・説明会ランキング1位の三菱UFJ銀行は「関心のある領域で働く先輩社員を自分で選んで話を聞くことができた」と「社員の人柄が伝わった」で評価するコメントが寄せられました。
2位の明治安田生命保険は「何度も複数種類のものが開催され参加しやすかった」「あまりイメージの付いていなかったところまで丁寧にお話しいただき、理解が深まった」と「内容が充実」「業界理解」で支持されています。

面接・選考ランキングは明治安田生命保険が4年連続1位
面接・選考ランキング4年連続1位となった明治安田生命保険は「圧迫感もなく人柄を評価してもらえた」、2位の日本生命保険も「パーソナルな部分を見てくれる質問が多かった」といった声があがり、好評を得ています。

就職先は商社が人気上位、採用力上位は生保
参考に、同社が行った「2025年春(2026卒就活後半戦調査)大学生が選んだ就職人気企業ランキング」と比較してみましょう。
【文系男子ランキング】

【理系男子ランキング】

【文系女子ランキング】

【理系女子ランキング】

人気企業は商社、金融、生保の順という傾向が見られますが、採用力ランキングは生保、金融、商社の順になっています。仕事内容的に一番就職したいと思っているのは商社だけれど、実際に就職活動に取り組んでみたら、生保は採用対応が非常に評価できる企業だった、ということのようですね。
それで第一志望を変更するというものでもないでしょうが、ランキングに名前が挙がっている企業の大半と直接にはあまり接点のない保護者世代にとっては、企業と接触した大学生の企業評価ランキングはなかなか興味深いのではないでしょうか。
(取材・文/大友康子)







