Q. アメリカの現地中学校に通う娘がいますが、日本の中学修了時期(3月)に9年生を修了できません。日本の高校に入るためには、帰国時期をどう調整したらいいですか?(アメリカ在住・13歳の子の保護者)
A. 日本の高校の募集要項には、出願資格として「日本の中学校またはこれに準ずる外国の学校において、学校教育における9年の課程を修了した者。またはその見込みの者」といった内容が記されていることが多いです。しかし、お子さんが現地校やインターナショナルスクールに通っている場合は特に注意が必要で、この受験資格が満たせないことがあります。ご相談の、高校受験時に9年生途中のお子さんもこれに該当します。お子さんは日本の学年で高1の6月頃に9年の課程を修了するため、日本でいう中3の3月時点では9年という要件を満たしません。つまり、高校への出願資格は無いことになります。従って、年齢相応の学年に(編)入学できなかったり、場合によっては受験すらできなくなることも考えられます。
そうしたことを回避するために、次のような対策を検討しつつ、日本への帰国時期を調整しましょう。
❶ 遅くても日本でいう中3の12月までに帰国→日本の中学に編入学し、日本の中学校卒業資格を得て高校を受験する。
❷ 9年生の修了(6月頃)まで現地の学校に在籍し、帰国(※)→(7月頃に)編入学試験を受けて、日本の高1(9月頃)に編入学する。
※もしくは合格を確保してから編入学に間に合うように帰国する。
❸ 9年生を修了していなくても受験を認めてくれる高校の帰国生入試を受験し、高1(4月)からの入学に間に合うよう帰国する。
❶の場合は、高校受験に必要な調査書の作成日数や出願資格の事前承認期間を考慮し、遅くとも中3の12月には帰国して編入学をしておきましょう(1月以降だと、出願に書類が間に合わないことがあります)。
❷の場合、お子さんが志望している高校がまずその制度を適用しているかどうかが重要です。必ず各都道府県の教育委員会や各学校に問い合わせましょう。
編入学試験の実施時期は、9月に編入する場合は7月実施が大多数ですが、私立高では随時実施など帰国生の個別状況に合わせて行ってくれるケースもあります。公立高は中間テストや期末テストや運動会の後など学校側の都合が優先となることが大半で、編入試験の実施を待って自宅待機となるケースもあることに留意しておきましょう。
また、編入学を高1・9月のタイミングに合わせられない、または合わせたくないケースも考えられますが、その際は、学校が何年生の何月まで編入学を認めているかを必ず確認してください。多いのは高2の夏(7月頃)までです。それ以降は編入学を一切受け付けないという学校が多いので、注意が必要です。
海外で9年の課程を修了しているかどうかの審査は、受験を希望する高校が公立であれば教育委員会が、国立や私立であればその学校が個別に行います。9年生未修了でも学齢相応であれば現地での学年を問わない❸のような学校も、私立を中心にありますので、問い合わせてみましょう。
お話を伺った方
海外子女教育振興財団 教育アドバイザー
岡本 健(おかもと・たけし)氏
元・大阪府公立学校校長。元・台北日本人学校教諭。2022 年3月までアメリカ・コロンバス(OH)補習 授業校の校長を経て同年8月より現職。