昨日は、地方女子学生の進学支援を行うNPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectが株式会社ベネッセコーポレーションと共同で行った、子どもたちの進路選択(主に大学受験)における障壁がどこにあるのかを明らかにするための調査(全国の中学生〜高校生の保護者を対象)について見てきた。今日もこの続きを見てみよう。※出典
大学進学で一人暮らしを許容する条件
「お子さまが一人暮らしが必要な大学に進学をすることを希望した場合の条件についてお答えください。」という設問に対して、女子学生の保護者の方が実家からの距離を重視する傾向にあることがわかった。

#YourChoiceProjectとしての考察
安全面の不安の大きさが、実家からの距離を重視する傾向に現れている可能性がある。自由回答では、何かあった時に駆けつけられる距離にあってほしい、という回答が多く見られた。
地方の保護者は安全志向
「模試の判定が何以下であれば、志望校の変更を検討するようお子さまに勧めますか?」という設問に関して、特に女子の間で比較すると、首都圏の女子学生の保護者よりも地方の女子学生の保護者の方が、比較的高い判定でも志望校を変更するようすすめやすい傾向があることが分かった。

#YourChoiceProjectとしての考察
首都圏では、受験に関する情報が豊富で、難関大学を目指すための塾や予備校のサポートも充実している。一方、地方では進学情報が限られていて、「この判定で合格する可能性がどの程度あるのか」について、確信を持ちにくい。その結果、不確実な挑戦を避け、より合格可能性の高い選択をさせる傾向が強まっているのではないだろうか。
進路選択で保護者に影響を与えているもの
「今までのお子さまの進路に関して、影響を与えた・与えているもの、意見を変えるきっかけとなったものをお答えください」という設問に関して、1位~3位まで順位づけして回答してもらった。

全体として、「子どもからの話」「子どもの成績」が大きな影響を持つことが分かる。一方で、地域や性別による違いも散見された。
地方では「学校や家庭」を中心とした直接的な情報源(三者面談/保護者面談、学校からの配布資料、学校での保護者会等)が大きな影響を与える一方で、首都圏では「インターネット」など多様な情報源が活用されており、面談や資料の影響が相対的に小さい。
進路選択上のジェンダーギャップを改善するために
以上の調査結果を踏まえて、#YourChoiceProject(#YCP) の担当者は、次のようにコメントを寄せてくれた。
「性別を理由に学生の進路が閉ざされてしまうことがないよう、多くの方に進路選択上のジェンダーギャップがあることを知っていただき、学生がより多くの選択肢を持てる環境づくりを社会全体で作っていきたいと思っています。そのために、#YCPでは調査やコンテンツ作成を進めていき、保護者の方や学校の先生方にも周囲の学生に幅広い選択肢の提示などを行なっていただけるとうれしいです」
今回の調査結果によって、子どもの大学選びにおける保護者の視点には、子どもの性別や地域による違いが見られることが明らかになった。保護者が進路選択で影響を受けるものについては、学校からの情報が、地方では首都圏と比べ相対的に大きいことからもわかるように、学校の環境を変えることが、地方における進路選択上のジェンダーギャップの改善につながる可能性がある。そのため#YourChoiceProjectでは、今後、学校の教員へのアプローチを行っていく予定だという。
(取材・文/小野眞由子)