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子どもの大学選び、親の視点に男女差あり!?(前編)

地方女子学生の進学支援を行うNPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectは、株式会社ベネッセコーポレーションと共同で、全国の中学生〜高校生の保護者を対象として、子どもたちの進路選択(主に大学受験)における障壁がどこにあるのかを明らかにするための調査を行った。早速その結果を見てみよう。※出典

【調査概要】

調査対象 中学生〜高校生のお子さまをお持ちの保護者の方
調査期間 調査期間:2024年9月16日〜9月23日
調査主体 調査主体:株式会社ベネッセコーポレーションとNPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectによる共同調査
調査方法 インターネットによる任意回答
有効回答数 5,739名

女子の保護者は「場所」、男子の保護者は「就職実績」を重視

「お子さまの進学する大学を考えるときに、重視する特徴を1位~3位までお答えください。」という設問に関して、1位から3位まで順位づけして回答してもらった。

最も重視されるのは「研究内容や学部学科」だった。また、男女差が最も大きかった項目は「大学のある場所」、次に男女差が大きかったのが「大学の就職実績」だった。

グラフは、子どもの大学を選ぶときに重視する要素を、性別(男子・女子)ごとに比較したもの。データは各グループの人数差を考慮し、「1人あたりの影響スコア」に正規化して示している。正規化スコア=各属性のスコア(1位=30,2位=20,3位=10ptとして重み付け)​/各属性の合計人数男子:n=2553 女子:n=3096

#YourChoiceProjectとしての考察

女子学生の保護者が男子学生の保護者よりも「大学のある場所」を重視するのは、女子には地元に残ってほしいという気持ち(*)の表れであり、男子学生の保護者の方が女子学生の保護者よりも「大学の就職実績」を重視するのは、「女子学生より男子学生の方が、保護者により大きな年収が将来期待されていること」(*)が関係しているだろう(*:以前の調査より)。

大学進学時に地元に残ってほしい理由は「金銭面」「安全面」

「お子さまに、大学進学時に地元(親元)に残ってほしいと思いますか?」という設問に対して、「強く思う」「どちらかというと思う」を選択した保護者に対して、その理由を尋ねたところ、金銭面の不安が最も大きいことが分かった。

男女での理由の違いを調べたところ、大きく差が出た項目として女子学生の保護者は特に安全面を心配していることが分かった。

男子:n=1061 女子:n=1599 複数選択可

女子の保護者は性犯罪など、男子の保護者は詐欺や災害を不安視

一人暮らしをさせる時に、安全面で特に不安に思うことを1位〜3位まで順位づけしてもらった。1位で「特にない」と回答した割合としては、男子学生の保護者は40.0%、女子学生の保護者は24.1%だった。

そして、女子学生の保護者は特に性犯罪に対する不安が強いことが分かった。
一方、「詐欺・宗教等の被害」「地震などの災害」に関しては、男子学生の保護者の方がやや不安を感じていて、特に詐欺や宗教的勧誘による被害に対しては、男子学生の保護者の方が強く警戒していることが分かった。

グラフは、安全面で特に不安に思う要素を、性別(男子・女子)ごとに比較したもの。データは各グループの人数差を考慮し、「1人あたりの影響スコア」に正規化して示している。正規化スコア=各属性のスコア(1位=30,2位=20,3位=10ptとして重み付け)​/各属性の合計回答数男子:n=2553 女子:n=3096

#YourChoiceProjectとしての考察

娘に一人暮らしをさせることには、性犯罪や刑法犯などの犯罪への不安が伴うようであり、できれば一人暮らしをしてほしくないという保護者の思いが、娘の進学先を狭めてしまう可能性がある。このような不安を抑えるためには、保護者も安心できる安全性が確保された住まいが必要と言える。この点からも女子学生の一人暮らしにはより費用がかかりやすいと言えるだろう。

明日も引き続き、この調査結果の続きを見ていこう。

(取材・文/小野眞由子)