特集|「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え|体験談1 日本の高校資格(国立)とIBディプロマ資格が取れる高校からアメリカの私立大学に行ったケース


Lake Forest College|経済とコンピューターサイエンス専攻

A・Oさん
生後5ヵ月から3歳までをベルギーで、3歳から6歳までをブルネイで過ごし、一度帰国して小3から中1までスイスのインターに通った。その後、国立中高一貫校である東京学芸大学附属国際中等教育学校に編入。

海外の大学までの道のり

中3で海外大学進学を考え始めた。同時期にTOEFL®を受けた。

高1で保護者に相談をし、受ける大学についてのリサーチを開始。

高2で今の大学を受けようと決めて、受験勉強を開始。SAT®も受けた。

高3の8~9月に出願。同時期に奨学金を申し込んだ。

高3の12月に合格。3月には奨学金受給が決定。

IBディプロマを取得。高校卒業年の8月にアメリカへ。現在大学3年生。

同じ道を行く姉の背中に希望と勇気をもらった

A・Oさんがアメリカの大学を目指したのは、「さまざまな学問を通じて自分が学びたいことを知っていく」というリベラルアーツ教育に惹かれたからだという。

「海外大学には行きたいものの、専攻したい分野はまだしぼれない。高1~2の頃はその段階だったので、リベラルアーツ教育の発祥の地であるアメリカの大学に魅力を感じました。Lake Forest Collegeに出願する決め手となったのは、ロケーションのよさと大学独自の奨学金の得やすさです。私の姉もIBディプロマと奨学金を取得して海外大学に進学しており、そんな姉が『私にも、もしかしたらできるかも』という希望と勇気をくれました」(A・Oさん)。

忙しさのピークは高3以降。

「併願した日本の大学のAO入試、海外大学のEarly Actionの書類の提出、IBディプロマの模試、奨学金の応募の締め切りの4つを同時に考えなければならない時期がありました。すべての締め切りが高3の夏だったのです。とても大変でしたが、そのおかげで、さまざまなことを前もって計画するスキルも磨けたように思います」(A・Oさん)。

現在は同大学で経済とコンピューターサイエンスを専攻している。

「少人数制でディスカッションベースの授業が多く、クラスメイトと意見をぶつけあう刺激的な毎日を送れています」(A・Oさん)。

【関連記事】

「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え

春・夏・冬の長期休暇に 村おこしボランティアで視野が広がる!?(後編)

昨日は、「地域活性化を、みんなのものに。」をテーマに、全国各地の離島や農山漁村で学生向けの住み込み型ボランティア活動を展開している村おこしNPO法人ECOFF(以下、ECOFF)が、2024年の夏に実施した「村おこしボランティア」の成果レポートを紹介した。早速、今日もその続きを見てみよう。

参加者の9割以上が「もう一度行きたい!」

参加者に、今回訪れた地域に「もう一度行きたいかどうか」と質問したところ、98%の参加者が「はい」と回答している。

人とのつながりや優しさを感じたとの声

田舎に暮らしたいとは思わないと答えた参加者は約3割いたが、再訪は多くの参加者が望んでいるのはなぜだろうか。自由記入回答欄から分析したところ、「お世話になった人達に会いたいから」「地域の方々がとても親切だったから」「地元の皆さんが優しい方しかいなくて、また会いたいから」「人々の繋がりやあたたかさを感じたから」などの理由がもっとも多かった。

自然が魅力的だから人にも紹介したい

「今回行った地域を人に紹介したいかどうか」という設問でも、「はい」(98%)、「いいえ」(2%)という前向きな結果が出た。こちらも自由記入回答欄からその理由を分析したところ、「自然が魅力的だから」の理由が最多となった。

ネットでは得られないリアルな経験で知ることも

本プログラムの目的の中でもっとも重要なのは、地域活性化の第一歩は、まず地域に行くこと、そして地域を知ることだと実感してもらうことだ。これに対しては、100%の参加者が「はい」と回答した。その理由を自由記入回答欄から分析したところ、「実際に行くことで初めて知ることがあるから」と、ネットや情報だけでは得られないリアルな経験が必要だという意見が半数近くにのぼった。

「地域に活気が出た」と受け入れ先も実感

また、現地受け入れ責任者へのアンケートも実施し、ボランティアの受け入れをすることで、どのような良い変化と悪い変化があったかを選択肢から選んでもらったところ、良い変化としてもっとも多かったのは、「地域に活気が出た」との回答だった。

「村おこしボランティア」で成長できるワケ

参加者の多くからは、「村おこしボランティア」で得たものに、気づきや発見、新たな価値観など前向きな感想が届いている。なぜだろうか。

自身も留学経験があり、兄は留学カウンセラーの職に就いているという代表の宮坂大智さんが、「村おこしボランティア」についてコメントを寄せてくれた。

「本プログラムは「村おこし」と「ボランティア」を冠してはいますが、参加者からは「ボランティアするより、学ぶことの方が多かった」との声をたくさんいただいています。そこには、ボランティア活動を通じて農業や地域のことを学ぶだけではなく、共同生活での学びも含まれています。一概に「村おこし」と言っても様々な価値観があり、参加者が想像していたものとは全く異なるものを現地の人は考えていることもあり、多様な価値観を学べます。特に共同生活の面では、参加者だけで食事の準備や掃除洗濯を行いますので、基礎的な生活力を身につけることもできます。また、本プログラムでは現地に行く前に、活動中の目的とそれを達成するための目標を設定し、活動修了後はふりかえりを行うなど、教育的な側面もプログラムに含んでいますので、ただなんとなく毎日を過ごすことなく、参加者が成長できるように工夫されています。」

未来を担う子どもたちに必要な力とは

最後に、代表の宮坂さんに保護者の方へのメッセージを聞いてみた。

「地球温暖化や紛争、拡大する貧富の差など、私たちは次世代にたくさんの課題を押し付けようとしています。私たちにできることは未来を担う子どもたちに、そんな社会を生き抜くための本質的な力を与えることではないでしょうか。私たちのプログラムは大学生向けに最適化されていますが、これまでに参加された小中高校生も少なくありません。実は保護者の方がお子さんの申し込みをされる場合は参加をお断りしているのですが、もし、ご本人が参加を強く希望された場合は、普段の生活でも、海外での生活でも得られない貴重な経験をし、大きく成長して帰ってくるはずです。少しでも気になったら、お気軽にお問い合わせください。」

次回の開催は、年末年始と春期休暇に実施予定だという。気になる人はHPをチェックしよう。

(取材・文/小野眞由子)

春・夏・冬の長期休暇に 村おこしボランティアで視野が広がる!?(前編)

「地域活性化を、みんなのものに。」をテーマに、全国各地の離島や農山漁村で学生向けの住み込み型ボランティア活動を展開している村おこしNPO法人ECOFF(以下、ECOFF)は、2024年の夏に実施した「村おこしボランティア」の成果を公表した。早速その内容を見てみよう。

「村おこしボランティア」ってなに?

「村おこしボランティア」とは、関係人口を増やすことで地方創生を実現するために、ふつうの旅行では絶対に訪れないような離島や農村で、全国から集まった同世代の若者達が共同生活をしながら、その時その場所で必要としているボランティア活動を行うプログラムだ。

事前にスケジュールを決めず、現場の状況を尊重することで、受入側にとっては活動内容の自由度が高く、参加者にとっては偶発的な出来事を通じて本当にその地域で暮らしているかのような体験が可能だという。2011年に開始して以来13年間にわたり、日本全国40地域以上で実施し、3,700名を超える人が参加している。活動終了後や大学卒業後には、移住を果たした人もいるという。

主な対象者は18〜25歳で、参加者は大学生が多いが、一部のコースでは高校生も参加可能だという。実施時期は、主な参加者である大学生の長期休暇にあたる2〜3月、8〜9月、ゴールデンウィーク、年末年始に毎年実施している(最新の情報は、HPをチェック)。

234名の若者が農山漁村で地域活性化を支援!

今回は、2024年7月末から9月末にかけて実施された「村おこしボランティア」の報告レポートを紹介したい。

活動期間は7泊8日から11泊12日、現地住み込み型のボランティアで、この夏は、全国各地から234名の若者が22の農村漁村で地域活性化のきっかけとなる活動に携わった。

活動地域は、焼尻島(北海道)、奥尻島(北海道)、太田町(秋田県)、八幡平(岩手県)、大槌(岩手県)、三陸漁場(岩手県)、最上(山形県)、かみのやま温泉(山形県)、長生郡(千葉県)、江田島(広島県)、石鎚山(愛媛県)、四万十川(高知県) 、屋形島(大分県)、種子島(鹿児島県)、屋久島(鹿児島県)、竹島(鹿児島県)、悪石島(鹿児島県)、宝島(鹿児島県)、喜界島(鹿児島県)、徳之島(鹿児島県)、与論島(鹿児島県)、やんばる(沖縄県)の22ヵ所で、最も多くの人が活動したのは与論島39名、次いで江田島36名、竹島25名だった。

村おこしボランティアに参加した理由は?

ECOFFでは、村おこしボランティアの活動の一環として、自身が農山漁村で過ごした期間のふりかえりを行っている。今回は、参加者234名に対し208名のふりかえり結果を得ることができたという。今回のふりかえり結果を分析したところ、村おこしボランティアに参加した理由は「村おこしに興味があったから」「何か特別なことをしたかったから」「今回参加した地域に興味があったから」との理由が上位を占めた。

参加して得たものは「人との出会い」が最多

また、ボランティア活動に参加して得たものとしては、「人との出会い」(93%)が最多だった。「自分の成長」(74%)と回答した割合も非常に高く、学生向けの教育プログラムという側面も強く浮き彫りにする結果となった。

参加したことで人生観に変化がある人も

ボランティア活動後の生活について意識しようと思ったことについては、「人の生き方そのものを考えたいと思った(自然と共生する生き方、時間に縛られない生き方…など)」(81%)が最多となり、参加者のなかには人生観が変わったという人も少なくない。

将来、田舎で暮らしたいとの声は約7割

ボランティア修了後に聞いた「将来、田舎で暮らしたいと思いましたか?」という設問については、「はい」(73%)、「いいえ」(27%)となった。

地方のコミュニティと癒しに憧れる声が多

田舎で暮らしたいと思った理由にはどのようなものがあったのだろうか。自由記入回答欄からその理由を分析したところ、以下のような声が見られた。

●自然との共生・癒し(26%)

もっとも目立った意見は、「自然に囲まれて暮らしたい」「自然豊かで心が落ち着くから」など自然環境に癒されたい、自然と共に生活することの喜びを感じたいというものだった。

●時間のゆったり感・ストレスフリーな生活(23%)

「時間に縛られなかったから」「ストレスフリーの10日間だったから」など自由で時間に縛られない生活、ストレスの少ない暮らしを求める意見も多く見られた。

●人とのつながり・コミュニティの強さ(20%)

「人との繋がりが強いから」「地域との関わりが深いから」など都会に比べて人々の距離が近く、温かいコミュニティを大切にしたいという声も多くあった。

利便性の問題がネックになっている傾向も

一方、田舎で暮らしたいと思わなかった理由についても、自由記入回答欄からその理由を分析したところ、もっとも多かったのは、交通の便が悪い、買い物や娯楽施設が少ないという「利便性の問題」であることがわかった。

明日も引き続き、「村おこしボランティア」の成果レポートについて、続きを見ていこう。

(取材・文/小野眞由子)

特集|「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え|④ダブルディプロマ資格や推薦を得られる高校から行く場合

進学先の教育に慣れておけるダブルディプロマ

日本から海外大学に進学する代表的なルートとして最後となる4つ目は、ダブルディプロマ資格や推薦を得られる高校から行くケースだ。ダブルディプロマ[用語①]とは、日本の高校の卒業資格を得ると同時に、 海外(その高校が提携している州な ど)の高校の卒業資格も取得できるプログラム。このプログラムで学ぶことにより、海外大学進学の際は、海外の高校卒業資格を持つ者として、日本の高校卒業資格のみを持つ者が 課せられるIELTSR®やTOEFL® といった英語の試験で高得点を取ったり、ファウンデーションコース[用語②] に入ったりすることなく進学する道が開ける。

「進学枠でのメリットが大きいほか、ディプロマを取得した国や州の大学へ実際に進学した際には、すでにそこの教育に慣れているため、ギャップを感じることなく学ぶこともできるでしょう。ただし日本国内でダブルディプロマを取得できる学校はまだ多くはないため、その一部の学校を、高校進学時点、高校入試のない中高一貫校なら中学進学時点で目指す必要も出てきます」(YGC)。

このほか、日本国内の大学を目指す場合に、帰国生枠が使えるのもメリットとなる。

協定先の海外大学に出願できる推薦制度も

海外協定校への推薦入学も、注目したい進学ルート。代表的なのはUPAA(University Partnerships for Alternative Admissions、海外協定大学推薦制度)とUPAS(University Pathway Admission Service、海外大学進学協定校推薦入試制度)で、 どちらでもスムーズな海外大学への進学が可能。UPAAかUPASに加盟している高校で学び、協定先の海外大学から行きたい学校を選んで出願する。協定先には例えばUPAAなら、マンチェスター大学(イギリス)、シドニー大学(オーストラリア)、イリノイ大学シカゴ校(アメリカ)などがある。

「2制度とも、必要な書類が簡素化されているなど海外大学出願へのハードルが低くて、合否判定に要する期間も2~4週間と短く、英語力がそれほど高くなくても合格を勝ち取ることができるため、日本国内の大学との併願もしやすいです。学校によっては審査にSAT®やエッセイが不要なケースや奨学金がもらえるケースもあります」(YGC)。

出願手続きや入学手続きを事務局などにサポートしてもらえるのも、 本人だけではなく保護者にとっても嬉しいところ。進学する際は、場合によっては渡航するまでに、進学先の授業についていけるだけの英語力をつけておく必要がある。トップスクールであればTOEFL iBT® 100 点以上が目安になる。

用語解説

用語①:ダブルディプロマ
「デュアルディプロマ」とも呼ばれる。日本国内の高校に通いながら直接またはオンラインで海外の高校の授業も履修し、同時に卒業することで2つの国の卒業資格を得るプログラム。日本国内の大学には帰国生入試による進学が可能となり、同時に海外大学にも出願可能となる。例えばUSダブルディプロマプログラムを提供するPCDグローバルキャンパ ス JAAC校では、アメリカ(PCD) の高校卒業資格を取得可能。一定の成績基準を満たす卒業生はIELTS®、TOEFL®、SAT®、ACTなどの得点を提出することなく、パートナーシッ プを締結している海外30大学(アメリカ18大学、カナダ5大学、イギリス3大学、オーストラリア3大学、 ドバイ1大学)への100%推薦合格が認められる。また、給付型奨学金制度(授業料最大60%免除)の参加資格を得ることもできる。

用語②:ファウンデーションコース
大学で学ぶ下準備をするコース。約1年間で、必要な英語力や専攻分野の基礎知識を身に付ける。イギリス、オーストラリア、ニュージーランドなどの大学で開講されている。

お話を伺った方

Y-SAPIX Global Campus(YGC)
北米の高校・大学への進学をサポートする学習塾。「論理的思考力の育成」「対話力の向上」「自国の文化・社会と世界の多様性の理解」の3つを教育方針として掲げ、All English授業を行っている。生徒の海外大学合格実績は多数。

取材・文/本誌編集部・庭野真実 イラスト/佐伯ゆう子

【関連記事】

「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え

5,000円以上の課金も。小中学生のゲーム課金事情は?(後編)

昨日の(前編)から引き続き、子どものゲーム事情を調べた「ニフティキッズ」(株式会社ニフティが運営)の調査結果を紹介する。小中学生を中心とした子どもたちを対象にしたアンケート調査で、有効回答者数は2,831人。

「課金が癖に」と危機感を抱いている子も

「【課金したことがある人へ】課金したことで何かトラブルが起きたことがあったら教えて!」という質問に対しては、

  • 「すぐに上限額にいって怒られた」
  • 「課金が癖になってしまう」
  • 「無断で課金して怒られた」
  • 「友達に課金をすることで買えるアイテムをくれって言われたこと」
  • 「これに課金しなかったら良かったなと後悔したことがある! すぐに飽きちゃって、でも課金してるからアプリは消さずに残してます(笑)」

などの回答があり、金銭的なトラブルが目立った。また、「課金が癖になってしまう」という回答も複数集まったことから、ゲームや課金への過度な依存に危機感を抱いている子どもたちもいるようだ。

「スプラトゥーンシリーズ」が大人気

「【Nintendo Switch/プレイステーションを選んだ人へ】1番好きなゲームを教えて!」という質問では、小学生、中学生別のランキングで1位~5位までの順位が一致する結果となった。特に「スプラトゥーンシリーズ」は人気で、全体ランキングでは2位の「どうぶつの森シリーズ」に150票以上の差をつけている。

相手は「リア友」が最多、中学生では「ネッ友」も

「ゲームはシングルプレイとマルチプレイ、どっちが好き?」という質問では、中学生ではシングルプレイ派が過半数を超えていて、年齢が上がるにつれて一人でのプレイを好む傾向が見られる。

「【マルチプレイが好きな人へ】誰と一緒にゲームをすることが多い?(複数回答可)」という質問に対しては、「リアルの友だち」が最も多い結果となった。小中学生ともに傾向は似ているが、小学生では「おうちの人」、中学生では「ネットの友だち」が2位と、中学生になるとネットの友だちとの交流がやや増加することがわかった。

現実では体験できないことをしたい

「もしゲームの世界に入れたらどんなことをしたい?」という質問に対しては、下記のような回答があった。

  • 「アイドルとか、現実では中々できないこと」
  • 「ネッ友と一緒に遊ぶ」
  • 「いろんな敵キャラを倒したい。」
  • 「キャラクターと一緒に遊びたい」
  • 「とにかくそこから抜け出す。だって怖いじゃん」

「アイドルになる」や「敵キャラを倒す」など、現実では体験できないことへの憧れが強いことがわかる。また、「ネット友だちと一緒に遊ぶ」「キャラクターと交流する」といった回答から、ゲームを通じた新たなコミュニケーションへの期待もうかがえた。一方で、「ゲームの世界は怖いから抜け出したい」という声もあり、必ずしもゲームの世界に対して肯定的な感情を抱いているわけではないことがわかった。

【調査概要】

アンケート実施期間 2024年8月20日(火)~9月23日(月)
調査機関 自社調査(ニフティ株式会社)
調査対象 小中学生を中心とする「ニフティキッズ」訪問者
有効回答数 2,831件
調査方法 インターネット調査

(取材・文/中山恵子)

5,000円以上の課金も。小中学生のゲーム課金事情は?(前編)

子どもから「ゲームのアイテムが欲しいから課金したい」と言われたことはないだろうか。子どもがゲームを楽しむことは悪いことではないが、保護者として気になることのひとつが課金だ。少額のうちはよいけれど、歯止めがきかなくなるのではないか、大人の知らないうちに課金していないだろうか、など心配は尽きない。そこで、小中学生のゲーム課金の実態をうかがい知れる調査結果を紹介しよう。

子ども向けサイト「ニフティキッズ」(主に小・中学生を対象とする子どものためのサービス)を運営するニフティ株式会社は、「ゲーム」に関するアンケート調査を実施。小中学生を中心とした子どもたちを対象に、1日何時間くらいゲームをするか、何を使ってゲームをするかなどについて質問し、2,831人から回答を得た。

1日のゲーム時間は小学生で「30分~1時間」

「1日何時間くらいゲームする?」という調査では、小学生では「30分~1時間」、中学生では「1~2時間」が最多。「全くしない」人の割合は、小学生の6.4%から中学生では9.9%に増えている。全体では、90%以上の小中学生が毎日ゲームをしていることがわかった。

「Nintendo Switch」が圧倒的人気

「【ゲームをする人へ】ゲームは何を使って遊ぶ?(複数回答可)」という質問では、「Nintendo Switch」という回答が82.9%と圧倒的に人気だった。次いでスマホが47.6%、パソコンが21.1%と続いた。家族や友人と気軽に遊びやすい携帯ゲーム機器が人気の傾向にある。

課金経験者は25%、2万円超えの人も

「ゲームに課金したことはある?」という質問に対しては、25%の子どもたちがゲームに課金したことがあると回答。

続いて、「【課金したことがある人へ】月にいくらくらい課金した?」に対しては、月額課金額は、「1,000~3,000円」が25.2%と最も多く、次いで「500~1,000円」が23%、「500円以下」が19%だった。一方で、5,000円以上の課金したことがある人の割合を合わせると21%で、その中でも20,000円以上の課金をしたことがある人は7.7%と一部の子どもたちが高額課金をしたことがあることがわかった。

課金によるトラブルやマルチプレイの対戦相手など、調査結果の続きは明日の(後編)で紹介する。

特集|「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え|③A-LevelやIBディプロマ資格が取れる高校から行く場合

海外大学進学が前提のカリキュラムを履修

3つ目は、A-Level[用語①]やIBディプロマ[用語②]を取得できる高校の場合だ。海外大学への進学を前提として学ぶ。そのため、進学ルートもシンプルで盤石なものになるという。

「A-LevelやIBディプロマを取得できれば、日本の高校卒業資格だけでは難しい、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドの大学への直接入学の道が開かれます。これは大きなメリットと言えるでしょう」(YGC)。

ただし念頭に置くべき点も。

「近年、A-Levelを提供しているケンブリッジ認定校は日本で増えつつあるものの、一条校(学校教育法第一条で学校と定められた学校)ではまだわずかであるため、一条校以外での取得を考える場合はインターナショナルスクールのケンブリッジ認定校に通ったり、個人でオンライン履修をしたりすることに」(YGC)

そうした場合は、比較的高額なインターナショナルスクール通学のための費用、あるいはオンラインで履修するための費用を計算に入れる必要が出てくる。

IBディプロマはどうか。

「IBディプロマの成績がよいと、GPA[用語③]は高くなります。これは海外大学への進学に大変有利なことと言えます。ただしこのプログラムは習い事をする時間も取られないほど忙しいため、本人は時間管理に、保護者は我が子の体調管理に徹することが求められます」(YGC)

近年、文部科学省の後押しもあり、国公立の中高一貫校などを筆頭に、英語ではなく日本語で履修する日本語IB認定校も増加傾向に。海外大学進学において、そうした日本語IB認定校で学び、IBディプロマを取ることはハンディキャップにはならないのだろうか。「ハンディキャップにはなりません。ただし、海外大学に進んでから授業にしっかりついていけるように、英語力をあらかじめ高めておくことが大切です。開講されている英語の講座をプラスで取っておくといった対策を講じましょう」(YGC)。

高校進学前に大学をイメージできれば◎

A-Level とIBディプロマ、どちらを取得する場合にも重要なのは、できる限り早く、できれば日本帰国 後の学校を決める際に、いずれ進む 大学までイメージしておくことだと いう。

「国や大学、場合によっては専攻で出願要件(取っておくべき授業やスコア)が異なることもあります。そのため、高校に進学する前に大学をイメージしておくことで、A-LevelやIBディプロマで履修しておくべき科目や授業名、必要となるスコアなどが細かくわかるようになり、検討している高校でそれが実現可能かどうかを吟味できます。理想とするゴールに近づくカギはここにあるのです」(YGC)。

用語解説

用語①:A-Level
イギリスを中心に、日本を含む世界 約160カ国・地域、約10,000の学校で認定されているプログラムを経 て得られる大学入学資格。英国ケン ブリッジ大学傘下の教育機関である Cambridge Internationalが提供。約50科目から3~4科目を選択して英語 で学ぶ。成績は外部評価(試験)で付く。

用語②:IBディプロマ
イギリスを中心に、日本を含む世界 約160カ国・地日本を含む世界約159か国・地域、約5600の学校で認定されているプログラムを経て得られる大学入学資 格。スイスのジュネーブに本部を置くInternational Baccalaureate Organizationが提供。言語と文学 (母国語)、言語習得(外国語)、個人 と社会、理科、数学、芸術の6分野 から6科目を選択し、さらに3つのコア科目を履修して学ぶ。成績は内部評価と外部評価(試験)の総合で付く。域、約10,000の学 校で認定されているプログラムを経 て得られる大学入学資格。英国ケン ブリッジ大学傘下の教育機関である Cambridge Internationalが提供。約 50科目から3~4科目を選択して英語 で学ぶ。成績は外部評価(試験)で付く。

用語③:GPA
Grade Point Averageの略で、成績評価の指標のこと。アメリカの名門大学に入るために必要とされるGPAの目安は、3.5以上。大学入学の審査だけではなく、奨学金の審査にも用いられる。

お話を伺った方

Y-SAPIX Global Campus(YGC)
北米の高校・大学への進学をサポートする学習塾。「論理的思考力の育成」「対話力の向上」「自国の文化・社会と世界の多様性の理解」の3つを教育方針として掲げ、All English授業を行っている。生徒の海外大学合格実績は多数。

取材・文/本誌編集部・庭野真実 イラスト/佐伯ゆう子

【関連記事】

「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え

大学生の食事は朝夕学食で、100円で万全!?(後編)

昨日は、もう20年以上前から大学の学食で始まっていた「100円朝食」について紹介した。さらに近年は「100円夕食」も登場している。本日は「100円夕食」につて見てみよう。

弘前大学はクラウドファンディングで100円夕食を実現

「100円夕食」も学生の生活リズムや栄養バランスを改善しよう、という目的は朝食と同じであろうし、父母会や同窓会の協力、企業の協賛によるという点も同様だ。

通年実施する大学も多い100円朝食に対し、まだ歴史の浅い100円夕食は期間限定であるケースも多い。定期試験前の時期に実施し、遅くまで大学で勉強している学生の食生活を支えることを目的にしているようだ。

実施校は朝食に比べるとまだ多くはなく、関西大学・神戸学院大学・福岡女学院・静岡大学・東北大学・弘前大学など。

弘前大学はコロナ禍の2020年に「バイトがなくなり困窮する学生に100円で夕食を食べさせたい!」とクラウドファンディングを実施し、2021年・2022年も同様に実施。毎回目標額を大きく上回る支援が全国から寄せられ、100円夕食を実現している。

学生にターゲットを絞った広告の掲示料で100円夕食

そして、筆者が100円朝食・夕食の存在を知るきっかけとなった、株式会社キャンパスサポートの「100円夕食」企画。学食に学生向けの広告を掲示し、その広告料が100円夕食の原資となる。昨日紹介した埼玉大学の100円朝食ほど就活寄りではなく、大学内での企業ブランディングが目的で、広告内容は様々。

映画公開や出版記念などのプロモーション機会にも向いているし、企業名・サービス名を覚えてもらう認知形成もできるし、それにより採用へとつなげていくこともできる。広告を見るのは大学生とターゲットが明確であり、食堂単位で掲載場所を選べるため、「キャンパス」「学部系統」など、狙った学生に絞って効率よく広告を届けられる。

学生のほうも、大学内施設での掲載であることの安心感から、90%以上の学生が広告に好意的なイメージを持つという。

株式会社キャンパスサポートが100円夕食を実施可能な学食は、全国に300カ所以上あるそう。うまくすると「100円夕食」も全国にどんどん広まっていき、日本で一人暮らしをする大学生のお子さんの食生活の心配が不要になりそうだ。

大阪公立大学生協の「100円夕食」時の風景

2023年立命館大学学生の100円朝食利用は14万食弱

昨日紹介したように、立命館大学は「100円朝食」を全国に広めた立役者であるのに加え、キャンパスサポートのサービスを利用し、いち早く「100円夕食」も取り入れている。

立命館大学 校友・父母課 課長の井上拓也(いのうえ・たくや)氏は100円朝食について、次のようにコメントする。

「立命館大学では、100円朝食を『健康で充実した一日を過ごしてほしい』という父母の思いを受け、父母教育後援会の支援のもと、学生の健康と学習習慣の定着を目指して取り組んでいます。そのため、午前8時から午後9時まで、出食数(利用者数)に制限を設けずに食事を提供しています。出食数は、コロナ禍以降増加しており、2021年度は6万5334食、2022年度は10万3526食、2023年度には13万6441食と右肩上がりの推移を見せています。利用促進のため、期間限定メニューを導入するなどの工夫も取り入れています」

2023年に立命館大学の学生が食べた100円朝食はなんと14万食弱。もはや学生生活になくてはならないものになっているようだ。100円夕食も開始され、一人暮らしをさせていても、立命館大学学生の親御さんは子どもの食生活の心配はご無用だ。

(取材・文/大友康子)

大学生の食事は朝夕学食で、100円で万全!?(前編)

親も安心「100円朝食・夕食」

大学生協事業連合の業務受託会社である株式会社キャンパスサポートは、大学の食堂内で広告を掲載する企業の協賛により、学生がワンコインで食事ができる「100円夕食」の協賛企業の新規募集を開始した。

このニュースに接し、学食で100円で食事ができるのか!? と驚いたが、よくよく調べてみると、実際はもう20年以上も前から全国の大学で「100円朝食」が始まっていた。筆者の無知はお恥ずかしいかぎりだが、読者諸氏はご存じだっただろうか? 

大学生のお子さんのみが日本で生活しているという海外滞在中の読者にとっては、お子さんがきちんと食事を摂れているか気になるところだろう。100円朝食・夕食の存在は大変ありがたいのではないだろうか? 今日と明日とで見てみよう。

まず本日は「100円朝食」から。

「100円朝食」が全国に広まった契機は立命館大学 

100円朝食自体は、実は20年以上前から実施する大学もあったようだが、本格的に全国に広まったのは立命館大学が実施し、その成果を研究発表したことによるようだ。

立命館大学は、2013年から在籍する学部生の保護者によって組織される父母教育後援会と協力して、100円朝食の提供を開始。朝食を食べる学生が増えただけでなく、1限目がない学生も朝食を食べて2限目以降の授業開始まで図書館で過ごすようになり、図書館の利用率が高まる、などといった効果が見られたという。

この父母教育後援会の「100円朝食による学生の健康管理、生活リズムの維持活動」は、2015年度第4回「健康寿命をのばそう!アワード」で厚生労働大臣最優秀賞を受賞するなどかなり話題となり、全国の大学に影響を及ぼしたようだ。

立命館大学の100円朝食の一例

父母会、同窓会、企業協賛により100円朝食が実現

立命館大学のように父母などが組織する団体の協力によって100円朝食が成り立っているケースのほかに、OB・OGで組織する同窓会が支援するケース、企業の協賛によるケースなどがある。

企業協賛による100円朝食実施例としては、埼玉大学などがある。同大学の100円朝食では、協賛企業による企業講演があったり、企業説明や採用情報などがわかる資料の配布もあるほか、希望者は協賛企業の担当者と個別相談もできるという。

「100円朝食」は生活リズムや栄養バランスをワンコインで整えられるのに加え、就活にも役立つようだ。

明日は「100円夕食」について見てみよう。

(取材・文/大友康子)

「なぜ勉強するの?」8割の親は答えられない(後編)

昨日は、株式会社公文教育研究会が行った「子どもの学びに関するアンケート調査」をチェック。約8割の親が子どもの質問に答えられなかったことがあり、質問内容は「生活の中の疑問について」が一番多いことが分かった。「勉強」についての疑問も半数を超えた。

本日はその勉強について、「意義を伝えられているかどうか?」などを見ていこう。

「勉強する意義を伝えられている」親はわずか約1割

「勉強する意義」を伝えられているかについて聞くと、「そう思う」と答えた親はわずか13.0%と非常に少なく、その意義を子どもに明確に伝えられないことに約9割の親が悩んでいるようだ。大人にとって、子どもの視点で「勉強の意義」を考えて伝えることは非常に難しいのかもしれない。

「どうして勉強するの?」約6割の親が答えられない

具体的に「AIがなんでも答えてくれるのに、どうして勉強する必要があるのか?」という質問について親に回答を求めると、60.3%の親が答えられないという結果に。

また、「翻訳機があるのに、どうして外国語を勉強する必要があるのか?」という問いにも60.8%の親が答えられないと回答した。多くの親が子どもからの学びの質問に対し、「答えられる自信がない」「答えることができない」「分からない」と感じているようだ。

子どもの疑問に「実は自分も疑問に思う」親は7割以上

答えられなかった質問も多い中で、「実は自分も疑問に思っている」と答えた親は全体の72%にのぼり、質問との向き合い方の難しさが伺えた。

株式会社公文教育研究会は、そんな親を悩ませる子どもたちの疑問を「まなびの難問」と位置づけ、KUMONの先生たちが回答にチャレンジ。その回答を特設サイト「まなびのすすめ」で公開している。

(取材・文/大友康子)