マヨネーズを活用した食育活動で子どもたちを笑顔に(後編)

出前授業で食の楽しさを伝える

(前編)からの続き。
さまざまな食育活動を展開しているキユーピー株式会社(以下、キユーピー)。その取り組みの一部を紹介しよう。※トップ画像は「マヨネーズ教室」の様子。

前編で紹介した「ピーマンチャレンジ!」は幼児向けのイベントだが、小学生向けの食育活動としては2種類の出前授業を開催している。

「マヨネーズ教室」は、社内認定講師「マヨスター」(※マヨネーズや衛生、科学などの知識を伝え、マヨネーズ教室の運営を行うことができる資格。キユーピーの社内認定制度の呼称)が小学校を訪問し、食の楽しさと大切さを伝える活動だ。2002年より開始し、2024年度は全国99校の小学校で開催した。マヨネーズが何からできているのかをクイズで質問したり、実際に作って野菜につけて食べたり、といった授業を行うなかで、子どもたちに食べることの楽しさや大切さを感じてほしいという。

「SDGs教室」は、SDGsの17の目標のうち「目標12:つくる責任 つかう責任」を取り上げ、キユーピーグループのサステナブルな取り組みを交えて環境問題について自分たちができることを考えてもらうといった内容。調べ学習のみになりやすいSDGsの学習を、直接企業の担当者に聞くことができる点が好評を博しており、昨年度は全国70校の小学校で実施した。

海外では現地の味と混ぜて楽しんでほしい

キユーピーのマヨネーズは、海外でも販売している。海外製造の赤い網目のパッケージのものは日本と同じ「卵黄タイプ」にこだわった商品で、現地の食文化に合わせて工夫をしたひと味違うマヨネーズもある。また、海外の日本人学校からのオンラインでのマヨネーズ教室やSDGs教室の申込みも受け付けているという。

キユーピー株式会社 広報・グループコミュニケーション室 社会・食育チーム 羽生田雅子(はにゅうだ・まさこ)氏は、海外在住者に向けて、「各国で多種多様な調味料が手に入りますが、『マヨネーズはやっぱりキユーピー マヨネーズ』というお声をいただくたび、私たちはとても嬉しく、励まされています。マヨネーズはサラダにかけるだけではなく、炒め油の代わりに使ったり、現地の食材や調味料と混ぜて楽しんだりすることもできます。親子でさまざまな食体験をしてみるのは、いかがでしょうか。みなさまの豊かで楽しい食生活を願っています」と話す。

(取材・文/中山恵子)

マヨネーズを活用した食育活動で子どもたちを笑顔に(前編)

さまざまな食育活動を展開

子どもの健やかな成長に欠かせない「食」。マヨネーズで知られるキユーピー株式会社(以下、キユーピー)が子ども向けにさまざまな食育活動を行っているので、その一部を紹介しよう。※トップ画像は「ピーマンチャレンジ!」の様子。

なお、キユーピーの昨年度の活動報告によると、食育活動の総参加者数は46.3万人にのぼった。「2030年までに、グループの食育活動などで接する子どもの笑顔の数を100万人以上にする(2019年からの累計)」ことを目標として掲げているなか、2024年度の目標「40万人以上」を達成したという。

「ピーマンチャレンジ!」で苦手を克服

子どもたちに苦手な野菜を聞くと必ずといっていいほど挙がるのが、ピーマン。そんなピーマンを子どもたちに笑顔でおいしく食べてもらうための幼児向けイベント「ピーマンチャレンジ!」をマヨテラス(見学施設)で開催した。

ピーマンが苦手な理由は独特の苦みだが、ピーマンとマヨネーズを一緒に食べると、マヨネーズの中の卵黄がピーマンの苦みを抑えて食べやすくなるというキユーピーの研究成果をもとに、イベントではマヨネーズでピーマンをソテーし、オープンオムレツを作った。

2024年7月のイベントには、4~5歳の子ども11名が参加。自分で卵を割り、フライパンにマヨネーズを入れ、マヨネーズがフツフツしてきたらピーマンも入れて炒め、ソーセージも加え、最後に溶きほぐした卵を全体に入れて、4~5回木べらでかきまぜたら蓋をして3分間待ち、完成。子どもたちは、「おいしい!」、「ピーマンの味(苦み)がしない!」と喜んで食べてくれたという。

栄養たっぷりで彩りも良いピーマンをおいしく食べる秘策として、取り入れてみてはいかがだろうか。

明日掲載の(後編)に続く。

大きく変わる|私立中高の帰国生入試

東京都の私立中高における帰国生入試の厳格化、中高一貫校の高校募集停止が相次ぐなど、中高の帰国生入試を取り巻く状況は転換期を迎えています。変化の内容と対応策について、帰国生入試の専門家・大神田氏に伺いました。

入試が厳格化、受験計画を入念に

東京都私立中学高等学校協会は2024年度から帰国生入試の出願資格を「海外滞在1年以上、帰国後3年以内」と明確化。さらに、昨今の入試日程の早期化も問題視し、2024年度入試は「11月10日以降」、2025年度入試は「11月20日以降」の実施を定めた。これに対し、帰国生入試の専門家・大神田氏は「併願校選びや受験スケジュールを今まで以上に入念に情報収集したうえで決定するのが肝心」と言う。今までは早いところでは9月から始まり1月末まで続いていたため、志望度の低い学校から受け始めて後のほうで第一志望を受験という理想的なスケジュールを組みやすかったが、それが難しくなったからだ。

「入試日が早いことにより、特に高校の帰国生入試では一部の学校で最後に習う単元(数学なら三平方の定理等)が出題されない傾向がありましたが、今後はきっちり最後の単元まで学習しておくのがよさそうです」(大神田氏)

高校募集継続校に人気が集中

また昨今、中高一貫校の「高校での募集停止」が広がっている。理由は「中3で高校範囲の先取り学習を進めている中入生と高入生ではスタート位置が違い、高校のカリキュラム運営が難しい」ことや、「学校がアピールしたい合格実績で難関大学合格者の多くは中入生が占めていることが多い」ことなどが考えられる。いずれにしても、高校募集を廃止した中高一貫校では〝中学入試〟が、大学の附属校などをはじめ高校募集を継続している中学一貫校では〝高校入試〟での人気に拍車がかかっている。そのため、「ほんの数カ月の受験対策では、とても太刀打ちできません。募集に動きのあった学校では特に、今までより早くから受験対策を始める必要が出てきています」(大神田氏)

お話を伺った方

JOBA教育カウンセラー
大神田 篤(おおかんだ・あつし)氏

約17年の中国滞在を経て2020年夏に帰国。JOBAにて海外生・帰国生のサポートに携わる。帰国子女入試に関する教育相談やオンライン授業などの情報は 海外・帰国子女教育専門機関JOBA

学歴フィルターは存在する?(後編)

昨日は、転職エージェントのアクシス株式会社が行った【日本国内の「学歴フィルター」に関する意識調査】をチェックした。やはり、学歴が高いほど大企業に就職し、収入も高めである傾向が見られた。

本日は、実際に就活の際に学歴フィルターの影響があったのかどうかを見てみよう。

就活時に学歴フィルターは影響した?

就活時に学歴はどの程度影響したかを尋ねると、「非常に影響があった」が14%、「ある程度影響があった」が49%となり、約6割が学歴フィルターを経験していた。

就活時、学歴フィルターの影響があったか?

採用担当の場合、どの程度学歴を重視する?

採用を担当している場合(全回答者のうちの59%)、候補者を評価する上でどの程度学歴を重視するかを問うと「非常に重視する」が6%、「ある程度重視する」が34%で、合計40%。59%のうちの40%なので、やはり相当学歴が重視されていることがわかる。

採用時、学歴を重視するか?

採用基準に学歴を用いる目的は?

採用基準に学歴を用いる目的を問うた、その結果は下のグラフの通り。

学歴はキャリアにおいて一つの要因だが、最終的には個人の能力や経験

この結果に対し、調査を行ったアクシス株式会社の代表取締役・末永雄大(すえなが・ゆうだい)氏は次のようにコメントする。

「全体的な結論として、学歴が採用やキャリアに強い影響を及ぼしていることが分かります。上位校出身者は大企業での雇用や高収入の傾向が見られ、特に30代以降に学歴の影響が収入に顕著に表れています。

また、採用において多くの企業が学歴フィルターを用いており、一定の学力や適性を保証する手段として学歴を重視していることもわかります。

ただし、学歴がすべてではなく、特に幅広い業界にさまざまな学歴の人が活躍している点から、キャリアの多様性も示唆されています。このため、学歴はキャリアにおいて一つの要因であるものの、最終的には個人の能力や経験がキャリアの質を決定する重要な要素であると考えられます」

(取材・文/大友康子)

学歴フィルターは存在する?(前編)

学歴は就活にどの程度影響するのか?

「学歴フィルター」とは、企業が採用活動の初期段階で応募者の在籍または既卒の大学によってふるいにかけて選考を進めること。

転職ノウハウメディア「すべらない転職」を運営する転職エージェントのアクシス株式会社(東京都港区)は、学歴が就職や採用の際にどの程度影響するのか、また、企業が採用時に学歴フィルターを導入しているかどうか、その実態を把握することを目的として、【日本国内の「学歴フィルター」に関する意識調査】を実施した。

今日と明日とで、詳しく見てみよう。

【日本国内の「学歴フィルター」に関する意識調査】調査概要

調査対象 日本国内の就業経験がある20~60代の男女 300名
調査年月 2024年10月12日
調査方法 インターネット調査
有効回答数 300名
回答者の年齢構成 20代25名、30代98名、40代139名、50代34名、60代4名

コンサル・金融・商社は高学歴、サービス・小売は幅広い学歴層

調査は出身校を尋ねたうえで開始。その人数と割合は次の通り。

  • 国公立大学 79名(24%)
  • 早慶上智 29名(10%)
  • MARCH(明治・青山学院・立教・中央・法政) 24名(8%)
  • 関関同立(関西学院・関西・同志社・立命館) 9名(3%)
  • 日東駒専(日本・東洋・駒澤・専修) 9名(3%)
  • その他私立大学 79名(26%)
  • 専門学校 35名(12%)
  • 高校 41名(14%)
  • その他 2名(1%)

現在、勤めている会社の業界を訪ねると、下のグラフの通り、業界ごとに学歴の偏りが見られ、特にコンサルや金融、商社は高学歴層が多く、サービスや小売は幅広い学歴層が就職していることが分かった。

学群と会社の規模の相関関係は?

大学グループ別に勤める企業の規模を見ると、国公立大学や早慶上智の出身者は大企業に所属する割合が高く、特に早慶上智では1000人以上の規模の企業に多く就職している傾向が強い。

一方で、専門学校や高校出身者は小規模から中規模企業への所属が多く見られ、規模の大きな企業へ進む割合は比較的低いことが分かった。

学群と年収の相関関係は?

20代の学群別年収一覧(n=男女300名)

大学グループ別の年収を見ると、20代では上のグラフの通り、国公立大学やMARCH出身者は最低でも400万円の年収帯に分布しているが、その他私立大学、専門学校、高校出身者では300万円未満の年収も目立ち、特に高校出身者は300万円未満の割合が高い傾向にあることが分かる。

30代になると、下のグラフの通り、国公立大学や早慶上智出身者には600万円以上の年収層が一定数いる一方で、その他私立大学や専門学校、高校出身者では300万円未満や300万円帯に集中しており、収入の差が明確に見られる。この傾向は40代、50代でも同様である。

30代の学群別年収一覧(n=男女300名)

やはり、学歴が高いほど大企業に就職し、収入も高めである傾向が強いようだ。では、実際に就活の際にも影響があったのだろうか? 明日はそのあたりを見てみよう。

(取材・文/大友康子)

海外の大学卒業後に向けた備え|国ごとに違う卒業後のビザの概要

日本から海外大学への道すじを紹介してきた今企画ですが、最後に、みごと海外大学に合格し、卒業した後のことを紹介します。それは就労ビザ。卒業後にそのまま現地で働く際に取得し、その後、現地でキャリアを積む足がかりにもなる海外大学を検討するときは、志望校や専攻などで、これが取得できるかどうかも確認するようにしましょう。

国ごとに違う卒業後のビザの概要

(2024年8月末時点、編集部調べ)

アメリカ

名称は「Optional Practical Training」(略称OPT)。学生ビザ(F-1ビザ)で大学や大学院にて学んだあとに申請でき、専攻した分野と関連のある職種の企業で働くことができる。期間は最長1年間だが学位レベルごとに申請できるため、大学卒業後に1年、大学院修了後に1年、といったことが可能。

主な条件

  • 1年間はF-1ビザで就学していること
  • 専攻分野に関係する職種を選ぶこと

カナダ

名称は「Post-Graduation Work Permit」(略称PGWP)。どんな職種での就業でもOK、取得できるのは一生で一度だけ、というのが特徴。8ヵ月以上2年未満のプログラムで学んだ場合は通学期間と同じだけの期間分が、2年以上のプログラムで学んだ場合は3年分の申請ができる。

主な条件

  • 公立または政府が承認する私立の大学院、大学、カレッジにて、8ヵ月以上のプログラムで学んでいること

イギリス

名称は「Graduate Route Visa」(略称GRV)。Student Route Visa(旧Tier 4ビザ)を取得して、Higher Education Provider(高等教育機関)とされるイギリスの大学・大学院で学んだあとに申請できる(専攻分野は問われない)。期間は最長2年間、博士課程を修了した場合は最長3年間、国内に残って就労できる。

主な条件

  • Higher Education Provider(高等教育機関) における学士号レベル以上の 学位を取得していること

オーストラリア

名称は「Temporary Graduate Visa (Subclass 485)」。2種類あり、一方はPost-Vocational Education Work streamで期間は最長18ヵ月。Skilled Occupation List(技能職業リスト)にある職業に関連した資格を取得している必要がある。もう一方はPost-Higher Education Work streamで期間は最長2~3年間。

主な条件

  • (Post-Vocational Education Work stream) 技能職業リストにある職業に関連した 資格を保有していること
  • (Post-Higher Education Work stream) 学位レベル以上の資格を保有していること

【関連記事】

「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え

親は、男子は高所得、女子は地元進学を期待!?(後編)

昨日は、NPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectと株式会社ベネッセコーポレーションが行った、「性差による子どもへの進学期待の違い」の調査結果をチェックした。本日もその続きを見ていこう。

女子は保護者から地元での進学をより望まれている

「お子さまに、大学進学時に地元(親元)に残ってほしいと思いますか?」という設問に関して、男子よりも女子の方が、保護者から大学進学時に地元(親元)に残ることをより望まれていることがわかった。地方よりも首都圏の方が地元(親元)での大学進学をより望まれているという結果が出たが、その背景には、首都圏と地方の間で大学の選択肢の数に大きな差があることが推測される。

女子は男子より、保護者から資格取得を望まれている

「お子さまに、資格が必要な職業についてほしいと思いますか?」という質問に関しては、男子より女子、首都圏より地方の方が、資格が必要な職業につくことを保護者から強く望まれていることが分かった。

男子より女子の方が資格取得を望まれるのは、妊娠・出産等のライフイベントの際の復職を考慮した結果だと考えられる。だが、働き方が多様化する中で、本当に資格取得が復職のしやすさに直結するのか、他にも選択肢がないのかは検討の余地があるだろう。

医療従事者など資格があってもキャリアにブランクのある人は採用されづらいという現状(注2)もあれば、逆にIT人材などは特別な資格がなくとも復職やリモートワークなどの柔軟な働き方がしやすいといった現状(注3)もある。

また、特に地方においてより資格取得が望まれているのは、地方での職業選択肢が一次産業や医療・福祉、公務員などの資格の必要なものに偏っている(注4)といった職業ロールモデルの多様性の差の影響もあるのではないだろうか。

注2:医師はブランクがあっても復職できる? 立ちはだかる問題や復職のコツを解説
https://ishi-job.jp/blog/useful/blank/

注3:エンジニア転職市場の最新動向【2023年版】IT業界をはじめ幅広い分野で活発な採用が続く
https://www.r-agent.com/guide/article3384/

注4:資料シリーズNo.151「地域における雇用機会と就業行動」
https://www.jil.go.jp/institute/siryo/2015/151.html

株式会社ベネッセコーポレーションとNPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectは、地元志向の理由や、世帯年収との関わりなどについて第2回調査を実施中で、1月までにはNPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectサイト上で発表予定とのこと。

(取材・文/大友康子)

親は、男子は高所得、女子は地元進学を期待!?(前編)

保護者の進学期待、性別によって違いが存在

地方女子学生の進学支援を行うNPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectと、株式会社ベネッセコーポレーションは、全国の中学生~大学生の保護者を対象として、「子どもの性別による保護者の進学期待の違い」を明らかにする調査を行った。ジェンダー平等の叫ばれる昨今だが、「女子より男子の方が、保護者に“高い年収”を期待されている」「男子より女子の方が、保護者に“地元での大学進学”を望まれている」傾向などがみられたという。

今日と明日とで、詳しく見ていこう。

【調査概要】

調査対象 未就学児~大学生までの子どもをもつ保護者
調査期間 2024年8月17~ 26日
調査主体 株式会社ベネッセコーポレーションとNPO法人ハッシュタグYourChoiceProject による共同調査
調査方法 インターネットによる任意回答
有効回答数 1867人(女性1526人、男性323人、その他18人)

大学進学への期待に男女差

「お子さまに4年制大学進学を望みますか」という設問に関して、女子より男子、地方より首都圏の方が、保護者から4年制大学に進学することを強く望まれていることが分かった。

YourChoiceProjectはその一因として、保護者が考える「学歴がもたらすメリット」が、女子よりも男子でより大きく想定されている可能性や、保護者が「将来子どもに求める年収」が女子よりも男子においてより高く期待されている可能性が考えられる、と考察。

学歴と結婚に関するステレオタイプ

「男性で学歴が高いことは、結婚に有利になると思いますか?」「女性で学歴が高いことは、結婚に有利になると思いますか?」という2つの設問を比較したところ、男性の方が、学歴が高いことが結婚に有利になるとより強く思われていることが分かった。

一般に「高学歴女性は結婚できない」というステレオタイプが共有されている背景や、保護者自身が子どもの結婚相手として、「男性であれば学歴が高くあってほしいが、女性であれば必要ない」と考えていることなどが挙げられる。

学歴と年収に関するステレオタイプ

「お子さまには将来、どのくらいの年収を稼い でほしいと思いますか。40歳頃をイメージしてお答えください」という設問の回答についても、男子と女子では保護者に期待される年収のレベルが異なった。平均して男子は772万円ほど、女子は634万円ほどの年収がそれぞれ期待されていた(概算)。

「男性が仕事で稼ぎ、女性が子どもを産み家を守る」という性別役割分業の考えが色濃く残っていることが、この差を生んだと考えられる。実際、内閣府男女共同参画局が発表した「令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査結果」(注1)によると、「男性は仕事をして家計を支えるべきだ」という項目に、男性のうち50.3%、女性のうち47.1%が「そう思う」または「どちらかというとそう思う」と回答した。「家事、育児は女性がするべきだ」という項目には、男性のうち29.5%、女性のうち22.9%が「そう思う」または「どちらかというとそう思う」と回答した。

注1:令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究 | 内閣府男女共同参画局
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/seibetsu_r03.html

明日も調査結果の続きを見ていこう。

(取材・文/大友康子)

特集|「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え|体験談5 ダブルディプロマ資格が取れる高校からカナダの州立大学に行ったケース


University of Toronto|商業専攻

R・Iさん
日本で育ち、文化学園大学杉並高等学校のダブルディプロマコースに進学。高校3年間、日本とカナダのブリティッシュコロンビア州のカリキュラムで学んだ。

海外の大学までの道のり

高2の夏に学校の海外研修でカナダのブリティッシュコロンビア州に3週間滞在した。

帰国後、カナダの大学に行きたいと思うようになった。親には同時期に相談。

高2の冬から受ける大学を調べ始めた。高3の秋から対策や準備をスタート

高3の10月には奨学金を申し込んだ。受給には至らなかった。

高3の11月に出願し、2月に合格。高校卒業時に日加両方の高校卒業資格取得。

高校卒業年の8月にカナダへ。現在、大学1年生。

GPAを少しでも上げようと高2から尽力

高2の夏にカナダに3週間滞在したR・Iさんは、そこで一緒に学んだ現地の高校生たちに刺激を受けた。

「もともと文大杉並のダブルディプロマコースでカナダのブリティッシュコロンビア州のカリキュラムでも学んでいて、実践的な授業が自分に合うと感じていました。そんななか、実際に現地の高校生の学びを目の当たりにし、授業への積極性とディスカッションに対する熱量の高さに圧倒されました。カナダの大学に進みたいという気持ちが一気に強くなりました」(R・Iさん)。

University of Torontoはキャンパスがビジネスの中心地に近く、学びたい商業に強い大学だという。

「ここでなら『社会課題を解決できるようなソーシャルエンタープライズを作る』という夢に近づけると思いました」(R・Iさん)。

受験対策としてはGPAを1%でも上げようと、高2の段階から学校の授業や課題に全力で取り組んだ。

「高3の秋からは出願準備。同時期にあった文化祭の準備、出願手続き、エッセイ、奨学金のエッセイ、通常の授業や課題をこなさなければならず大変でした。また、商業専攻の場合はオンライン面接などもあり、高校のカナダ人の先生がたの力をたくさん借りながら対策をしました。周りに海外大学へ進学する友だちが多く、思い切り支え合って頑張れたのもよかったです」(R・Iさん)。

【関連記事】

「海外の大学に行きたい!」と言われる日に向けた備え

自立心が強い子になるために親がしていることとは?(後編)

昨日は、オンラインイラスト教室を運営する株式会社アタムのアタムアカデミーが実施した「子どもの自立心に関する意識調査」の結果を紹介した。早速、今日もこの続きを見てみよう。(調査期間:2024年8月24日~9月7日、有効回答数:303人〈女性209人/男性94人〉、以下調査結果はすべて株式会社アタム調べ)

困難な状況になったときの子どもの反応は?

子どもの自立心のために、先回りせず子どもに自分でやらせてみるという人が多い傾向にあったが、「困難な状況になったときのお子さんの反応」を聞いたところ、圧倒的に多かったのは「親に頼る・相談する(172人)」となった。

子どもが失敗や挫折したときのサポート方法は?

子どもが失敗・挫折したときのサポート方法として最も多かったのは「励ます(93人)」で、「失敗の原因や改善策を一緒に考える(79人)」との回答も多くの票を集めた。

また「まずは子どもが落ち着くまで見守り、落ち着いたら一緒に改善策を考える」など、いくつかのサポート方法を挙げた人も。子どもの状態を見ながら、状況や経過に合わせたサポートをしている家庭も多いようだ。

最も多い「励ます」と回答した人の中からは、具体的な声掛けとして「次は大丈夫」「また頑張ろう」「何とかなる」「自分も同じことを経験した」などが挙げられた。「まずは励まして気持ちを前向きにさせ、しばらくしてから解決策を探すよう促す」など、励ますことをサポートの入り口にしている人も目立った。

そのほか、以下の具体策が届いた。

  • 失敗した際に「どこがよくなかったのか」「今後どうしたらよいか」を一緒に考えるようにしています(30代 女性)
  • なんで失敗したか、落ち込んでしまったかまず聞きます(20代 男性)
  • 本人が落ち着くまで話を聞きます(30代 女性)
  • 子どもが話してきたら、じっくり聞いてあげます。「そっかぁ、そっか」と間をあけながら聞くと、不思議と子どもからたくさん話してきます(40代 女性)
  • 失敗して学ぶことはたくさんあるので、気にせず挑戦することが大事だと伝えています(30代 女性)
  • 日頃から「失敗は恥ずかしくない」「失敗しても、何回でも挑戦したらいい」と言っています(40代 男性)
  • 「失敗することは誰にでもある。大切なのは、何がいけなかったのかを考えて、次回から繰り返さないことだ」と教えています(50代以上 女性)
  • 「本やインターネットで調べてみよう」とヒントを出して、自分で調べるように促しています(40代 女性)
  • 落ち着いてきたころに、「こうしてもよかったかもしれないね」などとアドバイスをする(50代以上 女性)
  • 普段と変わらずに接するよう心がけています。失敗しても切り替えて過ごせるようにしています(30代 女性)
  • まずは挑戦したことを褒めてあげる(30代 女性)
  • 結果だけにとらわれず、プロセスに間違いがなかったときは褒める(30代 男性)
  • ネガティブな言葉をかけるのではなく、経過の中から肯定できる部分を認めてあげる(40代 女性)

自立心のベースは積極性!

以上の調査結果について、プロ野球選手などのアスリートやスポーツチームへのメンタル指導、子ども・保護者・教員向けの教育講演などで活躍する株式会社脳レボの代表取締役・川谷潤太氏は、次のようにコメントを寄せている(以下、川谷潤太氏の考察)。

「近年、会社でも学校現場でも共通して「言われたことしかできない(やらない)」「指示待ち」「自己管理ができない」「積極性がない」人が多いと、非常に多くの管理職の方が危惧されています。「自立心」が強い子になって欲しいと思う親が多いのは、そういった社会課題が関係しているとともに、「目先の解決」や「進路(受験)などの成果」ではなく、将来のための「成長」や「社会に出てからの活躍」に重点を置いているからだと推測します。ですからすぐに成果を求めずに「見守る」など、失敗も許容しながら、長期的な視点による回答が多数になりました。自立心のベースは積極性。自らの意思でどんどんチャレンジし続ける子どもが、もっともっと増えることを願っております。」

(取材・文/小野眞由子)