【帰国生入試を徹底解説!】帰国子女教育セミナーのお知らせ

新年度が始まろうとしていますが、日本の私立学校ではすでに2026年度入試に向けた説明会がスタートしています。

本セミナーでは、帰国生に人気の学校の特徴や、受験に向けた効果的な学習計画について、受験指導のプロが徹底解説します。各学校の特色や具体的な受験対策を交えながら、今から準備すべきポイントをわかりやすくお伝えします。

早めの情報収集が、受験成功のカギ!
受験指導のプロから直接学べる貴重な機会をお見逃しなく。ぜひご参加ください。

セミナーの概要

帰国生受験に向けた準備が本格化するこの時期、志望校選びや入試対策に関して「志望校選びはどう進めればいいのか?」「入試対策は何をすればいいのか?」とお悩みではありませんか?

本セミナーでは、数多くの帰国生受入れ校に足を運び、豊富な経験を持つ「名門会オンライン」の専門家が、帰国生受入れ学校の特徴や志望校選びの重要ポイントを詳しく解説します。さらに、受験本番までのスケジュールや合格に向けた具体的な学習戦略もご紹介します。

これまで多くの受験生を合格に導いてきた「名門会オンライン」が、帰国生一人ひとりに合わせた学習方法をお伝えします。

また、セミナー後半には質疑応答の時間を設けております。事前にお寄せいただいた質問には優先的にお答えしますので、受験に関する疑問を解消する場としてもぜひご活用ください!

テーマ

『帰国生入試を徹底解説!日本の中学・高校の受験準備』

<講演内容>

  1. 帰国生入試のふりかえりと今後のスケジュール
  2. 人気校の魅力を踏まえて志望校選びのポイントを解説
  3. 合格に向けた受験日までの学習戦略

講演者

プロフィール
早坂 仁 氏

プロ教師による完全1対1の個別指導を提供する「名門会」のオンライン事業立ち上げ期から「名門会オンライン」に携わり、現在も最前線で事業を牽引する教育のスペシャリスト。帰国生受験に精通し、数多くの生徒を合格へと導いてきた実績を持つ。

セミナー詳細と参加方法

日時 2025年4月22日(火) 10:30~11:30(日本時間)
参加費 無料
視聴方法 視聴方法 ZOOM ウェビナー
※視聴者の音声や顔は表示されません
申込方法 下記の参加申込みからお申込ください
運営 Y‘sオンライン事務局


ご不明点などがございましたら、Y’sオンライン事務局までご連絡ください。


連絡先
ワイズパブリッシングジャパン株式会社 Y’sオンライン事務局
kikoku@us-benricho.com

子どもの大学選び、親の視点に男女差あり!?(前編)

地方女子学生の進学支援を行うNPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectは、株式会社ベネッセコーポレーションと共同で、全国の中学生〜高校生の保護者を対象として、子どもたちの進路選択(主に大学受験)における障壁がどこにあるのかを明らかにするための調査を行った。早速その結果を見てみよう。※出典

【調査概要】

調査対象 中学生〜高校生のお子さまをお持ちの保護者の方
調査期間 調査期間:2024年9月16日〜9月23日
調査主体 調査主体:株式会社ベネッセコーポレーションとNPO法人ハッシュタグYourChoiceProjectによる共同調査
調査方法 インターネットによる任意回答
有効回答数 5,739名

女子の保護者は「場所」、男子の保護者は「就職実績」を重視

「お子さまの進学する大学を考えるときに、重視する特徴を1位~3位までお答えください。」という設問に関して、1位から3位まで順位づけして回答してもらった。

最も重視されるのは「研究内容や学部学科」だった。また、男女差が最も大きかった項目は「大学のある場所」、次に男女差が大きかったのが「大学の就職実績」だった。

グラフは、子どもの大学を選ぶときに重視する要素を、性別(男子・女子)ごとに比較したもの。データは各グループの人数差を考慮し、「1人あたりの影響スコア」に正規化して示している。正規化スコア=各属性のスコア(1位=30,2位=20,3位=10ptとして重み付け)​/各属性の合計人数男子:n=2553 女子:n=3096

#YourChoiceProjectとしての考察

女子学生の保護者が男子学生の保護者よりも「大学のある場所」を重視するのは、女子には地元に残ってほしいという気持ち(*)の表れであり、男子学生の保護者の方が女子学生の保護者よりも「大学の就職実績」を重視するのは、「女子学生より男子学生の方が、保護者により大きな年収が将来期待されていること」(*)が関係しているだろう(*:以前の調査より)。

大学進学時に地元に残ってほしい理由は「金銭面」「安全面」

「お子さまに、大学進学時に地元(親元)に残ってほしいと思いますか?」という設問に対して、「強く思う」「どちらかというと思う」を選択した保護者に対して、その理由を尋ねたところ、金銭面の不安が最も大きいことが分かった。

男女での理由の違いを調べたところ、大きく差が出た項目として女子学生の保護者は特に安全面を心配していることが分かった。

男子:n=1061 女子:n=1599 複数選択可

女子の保護者は性犯罪など、男子の保護者は詐欺や災害を不安視

一人暮らしをさせる時に、安全面で特に不安に思うことを1位〜3位まで順位づけしてもらった。1位で「特にない」と回答した割合としては、男子学生の保護者は40.0%、女子学生の保護者は24.1%だった。

そして、女子学生の保護者は特に性犯罪に対する不安が強いことが分かった。
一方、「詐欺・宗教等の被害」「地震などの災害」に関しては、男子学生の保護者の方がやや不安を感じていて、特に詐欺や宗教的勧誘による被害に対しては、男子学生の保護者の方が強く警戒していることが分かった。

グラフは、安全面で特に不安に思う要素を、性別(男子・女子)ごとに比較したもの。データは各グループの人数差を考慮し、「1人あたりの影響スコア」に正規化して示している。正規化スコア=各属性のスコア(1位=30,2位=20,3位=10ptとして重み付け)​/各属性の合計回答数男子:n=2553 女子:n=3096

#YourChoiceProjectとしての考察

娘に一人暮らしをさせることには、性犯罪や刑法犯などの犯罪への不安が伴うようであり、できれば一人暮らしをしてほしくないという保護者の思いが、娘の進学先を狭めてしまう可能性がある。このような不安を抑えるためには、保護者も安心できる安全性が確保された住まいが必要と言える。この点からも女子学生の一人暮らしにはより費用がかかりやすいと言えるだろう。

明日も引き続き、この調査結果の続きを見ていこう。

(取材・文/小野眞由子)

2025年版|帰国生入試で大学に入る方法②

スケジュール

複雑化・長期化しやすいため、日程調整は大切

大学(学部・学科)の帰国生入試は、下記の「帰国生の大学入試日程」の表から、かなり複雑なものであることが分かる。

また、「国公立を第一志望にして私立を併願する」場合や、「帰国生入試以外にも一般選抜入試を視野に入れる」場合、「帰国生入試だけではなく、総合型選抜や学校推薦型選抜なども合わせてチャレンジする場合」のことなどを考えると、よりいっそう複雑化した日程で、入試が長期間にわたることも覚悟しておかなくてはならない。

志望理由書の提出を課している大学も多く、出願作業に時間がかかる帰国生入試では、「いつの段階で何を準備すればよいのか」といった綿密なスケジューリングがとても重要になってくる。

外国の教育制度に沿った日程で受けられる試験も

帰国生入試は、4月に入学するためのものがほとんどだが、なかには秋季(多くは9月)に入学する制度を採用している大学(学部・学科)もある。これは、3月ではなく6月に卒業することの多い英語圏の現地校やインターナショナルスクールに通う帰国生にとって活用しやすいものかもしれない。

また、4月入学を基本とする大学(学部・学科)に秋季(多くは9月)のタイミングで入学する場合は、4月に入学した者より半年早く入学する分、大学の卒業がそのまま半年早まることになる。

しかし、日本での就職時期は4月に入学した者と変わらない。こうしたこともあってか、秋季入学入試で合格を手にした場合でも、合格の権利をキープしつつ、4月入学入試を受ける人もいる。

学習の準備

試験の傾向と照らし合わせながら確認しておきたい。

海外在籍校の成績・活動
合否の選考要素となりえる出願書類。書類選考が行われる場合、海外在籍校での成績をチェックされる場合がある。

また、成績以外にも、クラブ、ボランティアなどの活動で特筆すべきものを持っておくと有利だ。

統一・語学運用能力試験
試験結果の提出は、出願時に「必ず必要」、「提出が望ましい」、「不要」の三通り。提出が出願の必須条件となる大学(学部・学科)の場合、ハイスコアが必要となることもある。また「提出が望ましい」であっても、書類審査段階で参考資料となることも(その場合はほとんどの受験生がスコアを提出する)。試験を受けてスコアを伸ばしておいたほうが、選択肢が広がることに変わりはない。

学科試験
海外での勉強を最優先させつつも、帰国生入試での出題傾向(左記)を把握し、できることからはじめることが大切だ。

外国語(英語)・・・概して私立の文系では高度な内容で出題される。最近ではTOFEL®、IELTS®のスコア提出に置き換えられることが多い。内容は外国語そのものの理解力よりも日本語力が重要となる問題が少なくないため、外国語の和訳力を身に付けておく必要がある。

国語(日本語)・・・年齢にふさわしい日本語の理解力を持ち、講義の受講に支障をきたさない日本語の運用能力が備わっているかが試される。漢字の書き取り、読み、語句の理解、文章把握、論旨の要約を中心的に出題される。

数学・理科・・・本の学習単元で、日本語で出題される。面接での口頭試問で知識を問われることもある。数学では、電卓の使用が不可のため、計算力も必要となる。理数系進学の場合、大学では一般生と同等の学力が必要となることに留意。

小論文
帰国生入試において「もっとも重視される」とも言われ、十分な対策が必要だ。多くは日本語での出題となっている。

出題内容は、与えられたテーマを自由に論じるばかりでなく、難解な長文読解の末に論じたり、受験する学部・学科の分野に関連する内容で論じることを要求されることもある。そのため、対策は一朝一夕では身に付かない。時間をかけて、滞在国・地域の「文化」、「政治」、「経済」、「国際問題」などに対する現地での見解、さらには「志望学部・学科に関連した時事問題」などを知り、考えをしっかりまとめておくと効果的。

小論文で問われる4つのポイント
❶海外体験が豊かで、その体験を理解し、自分のものとしているか

❷志望学部(学科)に関係する知識と、様々な社会問題に対する意見・考えを持っているか

❸大学/学部に対する志望動機がしっかりしているか

❹日本語による表現力が豊かであるか

小論文のテーマ(例)

  • あなたが読んだ本のなかで、とくに面白いと思った一冊について、どういう点に興味をもったのか、具体的に説明せよ (700字前後)(文学部)
  • 日本という国の強さと弱さについて、自由に論ぜよ(字数制限なし)(文系)
  • 他国はどうあれ日本は温室効果ガスの排出量を大幅に削減すべきである、という主張について、どう考えるか。地球温暖化論の信憑性、日本の排出量削減が温暖化防止に寄与する程度、日本の経済に与える影響等を考慮しつつ、論ぜよ(800字以内)(法学部)
  • iPS細胞がどのように医療に応用されるかについて、期待することを600字以内で説明せよ(医学部)
  • 選挙とメディアの関係について自由に論ぜよ(法学部)
  • 「社会力」について書かれた課題文を読み、設問に答えよ(課題文 省略・出典:門脇厚司『社会力を育てる-新しい「学び」の構想』 岩波新書)。(1)筆者は、現代日本社会の抱える問題として、「貧困層の増大と弱者の切り捨て、ないしは、自己責任を名目に、 弱者を社会的に排除する傾向が顕著になっている」ことをあげる。これを解決する手段として人々が社会を共有する関係をもつことを主張する筆者の立場を、具体的な例を挙げながら400字以内で説明せよ(全学共通)
  • 次の『National Geographic』の記事(課題文省略)を読み、要点をまとめて、 この記事に対する考えを1,000字以内で述べよ(畜産学部)
  • 科学技術のあり方について、特に社会との関わりの中でど うあるべきかという観点から自分の考えを400字以内で述べよ(医学部)
  • 文学や芸術は何のために存在しているのか、 文学や芸術を大学で学ぶことの意味はどこにあるのか述べよ (字数制限なし)(文学部)
  • 地球温暖化による温室効果ガスの濃度上昇という地球環境問題を克服するために化学または生命科学がどのような貢献ができるか800字程度で延べよ(生命科学系学科)

面接
学科試験より重視していると思われる大学(学部・学科)もある(国公立の一部では面接を点数化していることを公表していることも)。「志望理由」、「学部・学科に関わる専門知識への関心」、「高い思考力が身に付いているか」、「日本語の運用能力」を総合的に見られることが多く、その対策が必要となる。理数系では学科面接を行うこともあるので、事前に準備を進めておくことも大切だ。

面接での質問(例)

共通の質問: ◎自己紹介 ◎志望動機(なぜ日本の大学かも含め) ◎海外でどのように勉強してきたか ◎併願校◎入学後、勉強以外でしたいこと ◎大学の印象 ◎帰国後何をしていたのか ◎将来の展望 ◎海外生活で得たもの ◎日本の長所・短所 ◎滞在国と日本の比較 ◎読書歴

  • 日本で医師として患者に接するにあたって文化や価値観の違いを感じたらどうするか?(医学部)
  • 今までで直面した一番の困難は何か?(法学部)
  • 口頭試問[積分・熱機関・てこと滑車と浮力を組み合わせた問題](工学部)
  • 滞在国と日本のメディアの違い (社会学部)
  • マーケティングに興味を持ったきっかけは? (商学部)
  • 滞在国の様子―財政は? 教育は?(商学部)
  • 自由貿易の弊害は?(文系)
  • 日本の都市はどうあるべきか?(工学系)
  • 滞在国の貧困をみる機会はあったか?滞在 国と日本の貧困の質の違いは?貧困は社会保障・財政的に是正できるか?(文系)
  • 建築は家庭ゴミを減らすために何が できるか?(理系)
  • 滞在国と日本の臓器移植の違い(状況)(医学系)
  • 化学に関する口頭試問[有機合成について、酸 塩基について、モル濃度の計算について、希ガスについて](薬学部)
  • 登校や引きこもりの子供達に対して望まれる教師対応について(教育学部)
  • 日本の外交問題についての意見(法学部)
  • 最近の医学に関する時事的内容(医学部)
  • 最近の外国のニュースで気になるもの(社会学科)
  • 遺伝子組み換え作物についてどう思うか(農学部)
  • 文学研究者の書く論文を読んだことがあるか。そのような論文についてどう思うか(文系)
  • 滞在国と日本のボランティア精神について (医学部)
  • 経営がしたいと分かっているなら、もう勉強する必要はないのではないか(商学部)
  • 小学校への英語教育導入についてどう思うか(教育学部)
  • 今まで読んだ本で一 番おすすめしたい本とその理由(社会学部)

帰国生入試のエキスパート『駿台国際教育センター』に聞いた|
「帰国生入試」最近の傾向と実際

Q、一般選抜と比べて「帰国生入試は簡単」って本当?

A、帰国生入試での合格校を見ると、一般選抜に比べてレベルの高い大学に合格が出ていますが、それをもって「簡単」と表現することは間違いです。そうではなく、限られた勉強時間の中での競争は厳しい、と言えるでしょう。

また、これは難関国公立・私立大学の場合になりますが、まず書類審査の時点で、「統一試験」や「語学運用能力試験」での非常に高いスコア(海外の難関大学に合格できるレベル)が求められる大学もあります。さらに、それを通過しても入試問題の難易度は簡単ではありません。

しても入試問題の難易度は簡単ではありません。文系だと、「英語」の教科試験は、帰国生が慣れていない“日本的な英語問題”でのハイスコアが求められることがあります。和訳や文法力が求められる問題への演習が必要です。

特に国立大理系では、一般選抜と同一問題、日本式の学習をしていないと解答できない問題が出題されることがあります。入念な準備が必要なことは言うまでもありません。

Q、帰国生入試の勉強は、帰国してから初めても間に合う?

A、志望校にもよりますが、特に、難関国公立・私立大学の合格者の多くは、現地の高校での勉強、統一試験や語学能力試験のスコアアップを頑張りつつも、在学中に一時帰国し、「夏期・冬期講習」等に参加しています。早くから帰国生入試の傾向を把握し、受験までに“自分に足りないもの、必要なもの”をしっかりと認識し、対策をしておくこと。それが、第一志望合格へ近づく対策となるでしょう。理系の場合は、早い段階から日本の教科書の「数学・理科」に取り組む必要があります。

監修(DATA除く)/SAPIX国際教育センター

独学で東大合格した社長厳選、小学生の国語力を上げるマンガ(後編)

人気マンガから「本心」と「建前」も学べる

子どもが学びを深めるうえで、読解力や表現力を培っておくことは大切だ。すべての科目の成績に影響するのが日本語力=国語だといえる。その国語力を高めるのにマンガが役立つとして、完全独学で東大合格した神田直樹氏が<国語力を上げる小学生向けマンガ10選>をコメント付きで発表した。神田氏は、国語に特化したオンライン個別指導塾「ヨミサマ。」を運営する株式会社Overfocusの創業社長だ。昨日の記事(前半)で5冊目までを紹介したので、今日は続きを見ていこう。

<国語力を上げる小学生向けマンガ10選>(後半)

6)『SPY×FAMILY』(遠藤達哉/集英社)

<独学で東大合格! 神田氏コメント>
老若男女問わず人気の漫画『SPY×FAMILY』も、実は国語力を上げるのにうってつけの作品です。主人公格の3名のキャラクターは、自分自身の正体や思惑を隠しながらも家族であることを演じ続けているため、随所に「ウソ」や「ごまかし」の表現が出てきます。このような「本心」と「建前」の使い分けやうらはらさを理解することで、国語力は格段に向上します。

7)『カナカナ』(西森博之/小学館)

<独学で東大合格! 神田氏コメント>
『SPY×FAMILY』に似ている作品でもう一つおすすめなのがこの『カナカナ』です。主人公の少女が人の心を読める能力をもっている、という点において両者は共通しているため、同様に本心と建前の使い分けを学べます。『カナカナ』の方が主人公が大人びているために、「気遣い」などができる側面があり、よりレベルの高いやりとりを見ながら学ぶことができます。

8)『3月のライオン』(羽海野チカ/白泉社)

<独学で東大合格! 神田氏コメント>
表現が繊細かつ文学的であるため、良質な物語文を読んでいる以上の学びを得ることができます。感情とは真逆なことを口に出すなど、細かい読み取りを読者に期待するようなシーンも多くあるため、丁寧に読んでいくという経験を積むことができます。本に載っている文章だとついつい「目が滑る」人にとっては、『3月のライオン』などで丁寧な読み取りを学んでいくのがおすすめです。

9)『僕のヒーローアカデミア』(堀越耕平/集英社)

<独学で東大合格! 神田氏コメント>
国語の試験において問われる可能性の高い「心情の変化」について学べる作品です。登場人物が、様々なできごとをきっかけに、ヒーロー観を変化させていく様子が描かれており、そのような変化に注目できる作品になっています。

何人ものヒーロー候補生が出てくるため、それぞれのキャラクターから様々なことを学べますが、特に「爆豪勝己」「トガヒミコ」の2人に注目していくと学びになると思います。

10)『神の雫』(亜樹直/講談社)

<独学で東大合格! 神田氏コメント>
ワインをテーマにした『神の雫』は、私にとっても思い出深い作品です。小学生のころから、語彙が大人びていることに定評があった私ですが、その語彙の多くは、小学5年生のときに読んでいたこの『神の雫』から手に入れたものです。

ひとつひとつのワインを詩のような文章で表現することを主軸とした漫画であるため、文学的な表現をかなり自然な形で身につけることができます。比喩表現や詩を理解するのにうってつけの作品です。

国語力が伸びる「マンガ」の力

神田氏は、自身の経験からマンガが国語力向上に寄与すると考えており、個別指導の中にも取り入れている。そのポイントとして、「マンガは視覚的要素とストーリー性が融合しており、子どもたちが楽しく読み進める中で自然と語彙力や読解力が養われます」と述べている。

「ヨミサマ。」の授業では、「SPY×FAMILY」や「僕のヒーローアカデミ」、「ひゃくえむ。」を採用し、通常の読解問題と同様、解釈が難しい部分の意味を生徒が説明する問題として活用している。マンガ特有の「コマ割り」や「表情」などの要素も判断の基準としているため、通常の文章を用いた問題よりも難易度が高いと考えているという。

神田氏が選んだ10選は、大人から子どもまで楽しめる人気の作品ばかりなので、親子で一緒に楽しむのもよいだろう。

<神田直樹氏プロフィール>
高校にも塾にも通わず、完全独学で東大トップクラス合格を成し遂げる。学生期には、沖縄県石垣島や高知県で東大合格を目指す高校生を支援するプログラムを立ち上げる。卒業後はMcKinsey & Companyに入社。退社後、自身の学習経験と論理的思考術を活かし、小中高生向け学習コーチングのOverfocusを立ち上げる。

独学で東大合格した社長厳選、小学生の国語力を上げるマンガ(前編)

「マンガはダメ」ではなく国語力向上に役立つ

帰国生が苦労することが多いのが、「帰国後は難しい日本語がわからず、学校の授業についていくのが大変」といった“言葉の壁”だ。保護者にとっても、海外赴任中に我が子の日本語力を維持・向上させることは大きな課題のひとつだ。

近年は文系より理数系のほうが人気のようだが、何を学ぶにしても、日本にいる限りは、先生の話を聞いて理解したり、問題を読んで解いたり、自身の考えを発表したりする際に、日本語力=国語力が必要になってくる。したがって、国語力をおろそかにせず、多くの言葉を知り、豊かな表現力を身につけることが大切だといえる。

では、どうやって? ヒントとなる「発表」を見つけたので紹介しよう。完全独学で東大に合格した社長が、国語力を上げる小学生向けマンガ10選を発表したのだ。

この社長とは、国語特化型オンライン個別指導塾「ヨミサマ。」を運営する株式会社Overfocusの創業者で代表の神田直樹氏。「ヨミサマ。」では、今年の2月より小中学生向けの教材としてマンガの導入を開始している。神田氏は、教材として導入している作品を含む小学生の国語力向上に役立つマンガ10作品を厳選して発表。完全独学で東大合格し法学部を卒業した神田氏が、自身の経験と教育現場での知見をもとに選定したリストとなっている。

<国語力を上げる小学生向けマンガ10選>(前半)

1)『かりあげクン』(植田まさし/双葉社)
2)『コボちゃん』(植田まさし/読売新聞社)

<独学で東大合格! 神田氏コメント>(1と2について)
植田まさし先生の4コマ漫画作品はどれも秀逸なものが多く、論理力や語彙力の増強にかなり役にたちます。4コマ漫画というのは、「4コマで面白くなければならない」という性質上、どうしても読者に対して「行間を読む」という能力を要求してきます。限られたコマやセリフの中から行間を読んでいく能力は、国語の試験などでも必要な大切な力です。さらに、4コマ漫画はダブルミーニングなどの言葉遊びが多く、そのような意味でも語彙力が身につきます。

そのような良質な素材である4コマ漫画は、1つの漫画を読むのに30秒程度しかかからないため、もしよくわからないものが出てきても、どんどん次に読み進められるという点も大変おススメできるポイントです。

3)『OL進化論』(秋月りす/講談社)

<独学で東大合格!神田氏コメント>
『OL進化論』は高学年におすすめできる4コマ漫画です。基本的にはOL(女性会社員)がおしゃべりをしているシーンが多いため、よりコミュニケーションの妙を楽しむことができる4コマ漫画です。登場人物が社会人であるため、大人向けの語彙が多いのですが、流れが分かりやすい構成になっているため、大人顔負けの語彙が自然と身につく作品です。

4)『ひゃくえむ。』(魚豊/講談社)

<独学で東大合格!神田氏コメント>
スポーツ漫画の中で特におすすめするのが、100m走をテーマにした『ひゃくえむ。』です。この作者は『チ。ー地球の運動についてー』というアニメ化作品が有名ですが、国語力増強の視点だと、『ひゃくえむ。』の方が優れていると考えています。

主人公とライバルの100m走への考え方のコントラストがわかりやすく表現されています。文字だけではなく、コマの表情からも様々なことが考えられる素晴らしい作品です。上下巻で完結する短めの作品であるため、手を出しやすい点からもおススメできます。

5)『Days』(安田剛士/講談社)

<独学で東大合格!神田氏コメント>
もう一つ、スポーツ漫画でおすすめの作品がDaysです。サッカー漫画の中でも、心理表現がずば抜けて巧みな漫画であり、心情問題に苦労しているスポーツ好きな子に強くおススメします。通常、漫画は主人公の視点でのみ描かれることが多いのですが、このDaysは主人公のチームメイトの視点で物語が進行する割合が多く、様々な視点から心情を読み込む能力が身につきます。

明日掲載の(後編)に続く。

2025年版|帰国生入試で大学に入る方法①

人気が集中する傾向にある大学の「帰国生入試」。十分な知識習得と試験対策が必須です。

出願資格

帰国生入試に出願するための資格は、大学(学部・学科)によって様々だ。代表例は次の通り。

海外での学校種別
対象は、「海外で外国の学校教育を受けた者」で、「日本の教育制度の高校に通った者」を含まないケースが多い。

海外の学校での在籍期間
多いのは、学校教育課程12年のうち、「海外の高校に最終学年を含めて2年以上継続して在籍している」こと。

帰国後の日本の高校在籍
海外の高校を卒業していることを条件とする大学(学部・学科)が多い中、帰国後の日本の高校での在籍・卒業が年数制限付きで認められる場合もある。

高校卒業後の経過年数
当該年度の卒業(または年以内)の卒業者に受験を認める場合がある。

飛び級・繰り上げ卒業
学校教育課程の12年未満での卒業は、認められることが多い(証明書が必要)。

単身残留
保護者の赴任が出願資格とされる場合でも、「保護者が帰国した後、単身で在留した者」の受験が認められることがある。

選考方法

選考方法は、志望する系統(文系学部・学科と理数系学部・学科)で分けると次のように大別される。

系統別、帰国生入試の一般的な組み合わせ

文系学部・学科
●書類審査
●筆記試験[小説文、国語(現代文)、外国語(主に英語]
●面接

理数系学部・学科
●書類審査
●筆記試験[小論文、外国語(主に英語)、数学、理科(物理・科学・生物から1~2を選択)]
●面接(学科面接を含む)

上記に加え、英語の資格試験(多くはTOFEL®)のスコア提出を課す大学が多い。これをふまえ、大学(学部・学科)が合否の評価を下すときにどれをどの程度重視するかは、次の3つに大別される。

合否の判断基準代表的な3パターン

❶書類審査重視型
重視される出願書類は、「(SAT®、GCE®、IB®など)各国の教育制度に基づく統一試験のスコア」、「海外で在籍した学校での成績や活動歴」、「(TOFEL®、IELTS®など)語学運用能力試験のスコア」が代表例だ。

こうした大学(学部・学科)では、統一試験のスコア提出ひとつをとっても、科目、その提出方法など、細かい規定が設けられていることが多い。

❷当日の入試成績重視型
外国の教育制度や水準が国・地域によってまちまちで、一定の基準で評価することが難しいため、大学(学部・学科)が独自に設定した入学試験を重視するところも。

内容は、大多数が、「小論文」、「学科試験」、「面接」の組み合わせだ。とはいえ、出願書類の内容をまったく見ないわけではなく、ボーダーライン上での合否の参考資料として使用する場合もある。

❸書類審査・入試成績折衷型
偏らず、❶と❷を総合的に判断する大学(学部・学科)もある。第一次選考は書類審査、第二次選考が面接・筆記試験、というパターンに代表される。

情報収集

こうした複雑な大学入試を乗り切るには、海外滞在中から早めに情報を収集し、意思を固めておくことが大切だろう。

情報収集にはウェブサイトが便利だが、大学(学部・学科)個別のもの以外に「大学選びの総合サイト」もチェックしたい。在学中に取得可能な資格や卒業後の進路など、学校の特徴を把握できるだけでなく、卒業後につながる職業適性を判断できるものなど多岐に渡る情報を得られるからだ。

各大学(学部・学科)では、入学希望者を対象にしたイベントも数多く開催している。「オープンキャンパス」では、学長の講演、研究室訪問、授業体験、個別相談会、キャンパスツアーなどを実施している(2023年度は対面形式での実施も戻ってきている)。

出願書類の手配&作成上の注意点

1. 入学願書一式
帰国後の日本の住所が未定で仮住所が必要なときは、親類などに了解をとっておく。

2. 最終学校の卒業(修了)証明書または卒業見込み証明書
多めに依頼。卒業証書のみを発行する学校なら、そのコピーに学校の公印や学校長のサインをもらう。学年の区切りの違いなどで卒業見込み証明書の出る時期が出願に間に合わない場合は、大学側に事情を説明。

3. 現地在籍校の成績証明書
高校の成績証明書(学校印のある成績表のコピー)は全て必要。海外での在留期間を証明するため、中学の成績(在籍)証明書まで要求されることも。イギリスに滞在している場合は、スクールレポートのすべてをコピーして提出させる大学もある。

4. 統一試験のスコア証明書
試験実施機関からのオフィシャルスコアの直接送付義務があれば、日にちに余裕を持つこと。オセアニア圏の統一試験は結果が出るのが遅いため、日本の大学の合否が判明してから送付するケースもある。

※語学運用能力試験のスコア証明書、またはそのコピーを提出させる大学もある。

5. 海外在留証明書
「保護者の赴任に帯同」という点を証明する書類で、通常保護者の勤務先が発行する(在外公館が発行する場合も)。提出を求めるのは「保護者の赴任に帯同して」海外に渡航したことを条件とする大学。

6. 推薦状
学校長のサインを求める大学もある(多くの大学は学校教員で可)。翻訳や厳封が必要な場合は指示に従う。大学が指定した用紙を使う場合がある(東京大学など)。

7. 海外歴
出・入国日や、小学校以降の転出・転入日は正確に記入のこと。

8. 志望理由書
文字数指定は800字、1000字、1200字など。願書の一部に欄を設けている大学もある。

9. 受験料納入証明書
「コンビニエンスストア振り込み」が一般 的(クレジットカード決済を認めている場 合もあり)。また、WEB出願を行ってい る大学では、「ATM振り込み」、「ネット バンキング」などの利用が可能なところも。

10. 日本国内の高校の在籍期間証明書
渡航前または帰国後に日本国内の高校に在籍した場合は、在籍期間証明書が必要。早めの依頼を心掛けたい。日本の高校に数カ月でも通った場合は必要になる。

11. 写真
スピード写真不可や、画像データを求める大学も。

12. パスポートのコピー
一部の大学で出願時に必要。

情報の窓口|海外での情報収集に便利なウェブサイト

情報の窓口|海外から取り寄せできる進学ガイドブック

監修(DATA除く)/SAPIX国際教育センター

魅力的でわかりやすい私立大学サイト、中央大学が1位

ユーザビリティの高い私立大学サイトはどこ?

昨日はECマーケティング株式会社(東京都港区)が作成した「大学サイトユーザビリティランキング(国公立大学編)」をチェック。受験生が必要とすることを想定したコンテンツが充実している愛媛大学のサイトが1位、どこに何があるか把握するのが困難な東京大学のサイトがワースト1位だった。

本日は私立大学編をチェックしよう。WEBサイトに対する講評は「大学サイトユーザビリティランキング(私立大学編)」発表から抜粋している。

出典:大学サイトユーザビリティランキング(私立大学編)https://ecmarketing.co.jp/contents/archives/4061_nya

ユーザビリティランキング1位「中央大学」

総合点 99.0点/100点

【講評】
ヘッダーの「対象者別メニュー」、いわゆるスマホの「ハンバーガーメニュー」、ボディ部分の「クイックリンク」を活用し、構造が複雑な大学のホームページをわかりやすくナビゲーション提供している。

また、画像や動画の素材を綺麗に見せるための技術も活用されており、キャンパスライフを想像させる表現も充実、ビジュアル中心に情報処理を行う年齢層のユーザーに対して完成度の高い表現を行っている。

加点要素がある一方で、積極的な減点要素がみつからなかったのもポイント。各大学の担当者に参照してほしいウェブサイト。

ユーザビリティランキング2位「国士舘大学」

総合点 94.6点/100点

【講評】
文字の大小(いわゆる「ジャンプ率」)を使って情報の階層構造をうまく整理し、メリハリのある表現を用いることによって、必要以上に装飾を使わずに、写真や動画の臨場感を効果的に表現することに成功している。

また、インフォグラフィックスを効果的に用いて受験生に大学の魅力をうまく伝えているホームページとして評価した。

ユーザビリティランキング3位「文教大学」

総合点 88.3点/100点

【講評】
様々なニーズを持ったユーザーそれぞれに想定されるナビゲーションをしっかりと提供している。静的なナビゲーションに加えて、前回見たページから再開できる機能や、案内チャットなども含めた動的なナビゲーションも提供している。

前述の中央大学・国士舘大学と比較しても、よりナビゲーションの充実が徹底しており、かつセンスよくまとめられている。ユーザー(特に受験生)が自分に必要な情報を見つけやすい設計になっている優れたウェブサイト。

ユーザビリティランキング(私立大学編)1~30位

30位までの全体ランキングを見ると、最下位の30位は早稲田大学。図らずも、国公立大学の最下位は東京大学だった。国公立大学・私立大学ともに日本のトップ大学のウェブサイトのユーザビリティが低いとは、少々面白い。なぜだろう?

(取材・文/大友康子)

魅力的でわかりやすい国立大学サイト、東大がワースト1位

ユーザビリティの高い国立大学サイトはどこ?

今年度の大学入試もほぼ終盤。4月からは新高校3年生たちが、各大学のホームページをあちこち閲覧するなどしながら、志望大学を決定していくことだろう。

Webプロモーション最適化事業などを行うECマーケティング株式会社(東京都港区)は、学生数が多い順に全国の国公立大学30校、私立大学30校を対象としてユーザビリティ調査を実施し、「大学サイトユーザビリティランキング」(国公立大学編・私立大学編)を発表した。民間企業・官公庁・教育機関ウェブサイトのユーザビリティ調査を800サイト以上実施している知見を活かし、これらの大学サイトの価値向上に寄与するために評価を行ったという。

調査方法は同社のコンサルタントチーム3人の評価者により、サイトごとに以下の基準に沿って評価。3人の採点の平均をとって評価点とした(2024年10~12月実施)。

<評価軸と点数配分>

評価軸 配点
トップページの視認性と操作性 20点
ナビゲーションの視認性と操作性 20点
キーワード検索の視認性と操作性 10点
受験生ページの表現と検索性 20点
オープンキャンパスページの表現と検索性 10点
受験生目線でのコンテンツの活用 10点
問合せ・資料請求などのしやすさ 10点
合計 100点

サイトの良し悪しで志望校を決めることはないにしても、分かりやすいほうがいいのは確かだ。本日は国公立大学編をチェックしてみよう。WEBサイトに対する講評は「大学サイトユーザビリティランキング(国公立大学編)」発表から抜粋している。

出典:大学サイトユーザビリティランキング(国公立大学編)https://ecmarketing.co.jp/contents/archives/3868_nya

ユーザビリティランキング1位「愛媛大学」

総合点 95.2点/100点

【講評】
縦横・配色・アイコン等の工夫を用いたメリハリのあるナビゲーションがスマホ・PCともに完成度が高い。受験生向けのページにも受験生が必要とすることを想定したコンテンツが充実している。

ユーザビリティランキング2位「筑波大学」

総合点 94.3点/100点

【講評】
キャンパスの美しさと学生生活の様子をリアルに臨場感のある写真を効果的に用いた表現が完成度高く提供されている。一方で情報の整理が複雑になりやすい大学ホームページのナビゲーションもうまく整理して、かつメリハリをつけて提供されている完成度が高いサイト。

ユーザビリティランキング3位「神戸大学」

総合点 93.8点/100点

【講評】
スマホファーストでの設計とデザインを効果的に活用して大学の魅力が表現されている。階層構造が深くなりやすいナビゲーションも、縦・横を有効活用しており設計がスマートであり、完成度が高いサイトといえる。

伸びしろ1位「東京大学」

国公立大学編のランキング発表では、今後の改善伸び代が大きいという意味で、今後の期待を込めて下位のサイトも紹介し、評価コメントを寄せている。最下位はなんと東京大学。

総合点 56.6点/100点

【講評】
サイト全体を通して提供者目線でのサイト設計となっている点が随所に見られる。

UTOKYOというサイトロゴが、“それを見たら東京大学のロゴであるということを知っている”という前提に立っている点。ロゴの認知が広がるまでは、サイト上ではそれを補足する要素を追加する必要がある。また、情報を検索するためのナビゲーションが対象ユーザーごとに向けて整理されておらず、どこになにがあるか把握を困難にしていることも加点が低い理由の一つ。

明日は私立大学編をチェックしよう。

(取材・文/大友康子)

インターナショナルスクール|今さら聞けない2つの違い

インターナショナルスクール&ナショナルスクール、プリスクール&インター附属幼稚部、似ているようで微妙な違いがあるようです。国際教育評論家の村田学氏に話を伺いました。

インターナショナルスクールとナショナルスクールの違いって?

日本では、インターナショナルスクール(以下、インター)もナショナルスクール(以下、ナショナル)も、学校教育法第一条に規定されている「一条校(学校)」ではなく、それ以外の「各種学校」に分類されている(一部のインターを除く)。そのため、インターとナショナルの明確な定義は法令で定められていない。ただ、通例上、大まかな違いの傾向はあるという。

「学校ごとの違いや例外もありますが、日本では、インターは無宗教・多国籍で、IBなどの国際的なカリキュラムを導入し、英語で授業を行う学校。一方、ナショナルは民族学校とも呼ばれていて、特定の民族や文化圏の人が通い、カリキュラムも使用言語も特定の民族や文化圏のものが使用されている学校のことを指します。ただ、この定義ですとアメリカンスクールやカナダ、イギリスのインターもナショナルに近くなりますが、日本ではインターとされることが多いです」(村田氏)

近年、日本で増加しているインド系の学校はどうなのだろうか?

「インド系は、インド州政府のカリキュラムに沿った教育をしながらも学内公用語は英語で、IBも取り入れるなど、いわば、インターとナショナルの部分取りのような特徴があります。日本人も多く受け入れているため、インターとして扱われています」(村田氏)

通例上大まかに分けられるインターとナショナルだが、時代とともに学校はその在り方を変化させている。

「時代を紐解けば、どちらも宣教師や外交官、貿易商、さらにはGHQ関連の子どもたちを受け入れる学校などから始まっているため、ナショナル寄り。しかし国際化が進む昨今、宗教色を弱めたり、より多くの国籍の子どもを受け入れるなどしてインター寄りになった学校も多く見受けられます」(村田氏)

プリスクールとインター附属幼稚部の違いって?

また、ややこしいものにプリスクールとインター附属幼稚部がある。両者はどう違うのだろうか。

「これも明確な定義はなく、どちらも未就学児に対して英語で保育・教育をする施設ですが、通例上、インター附属幼稚部は初等部に内部進学枠がある点が大きく異なります。プリスクールは、英語で探究的な学びに取り組みますが、その後は、国公私立小学校に進学する児童がほとんどです。一方、インター附属幼稚部の児童は、インターの初等部に進学を前提として入学し、内部進学で附属のインター初等部に進学していきます。インター附属幼稚部は、入学時からインターで学び続けることを前提として入学するご家庭がほとんどなので、小学校受験や中学受験という日本の教育制度とは異なる進路に進んでいきます」(村田氏)

2つの大まかな違い

プリスクール インター附属幼稚部
卒業後の進路 国公立の小学校 同じインターの初等部
大まかな英語力 入園時にゼロでもOK 年齢相応の力が必要

お話を伺った方

国際教育評論家
村田学(むらた・まなぶ)氏

国際バカロレアの教員向けPYPの研修を修了した国際教育評論家で、プリスクール元経営者、幼小中インターナショナルスクールの共同オーナー。ウェブサイト「インターナショナルスクールスクールタイムズ」の編集長。アメリカで生まれ、6歳で帰国して英語力を丸ごと失った、という苦い経験を現職に活かしている。

文・取材/本誌編集部、中山恵子

ほとんどの学生が「オヤカク」「オヤオリ」希望せず(後編)

昨日は、株式会社i-plug(大阪市淀川区)が就活における保護者との関わり方について調査した「就職活状況に関する調査」をチェック。約6割の学生が就職活動について保護者に相談するものの、9割以上の学生が企業側の保護者向けのオリエンテーションの実施を希望していないことがわかった。

実際のところ、企業はどの程度、「オヤカク」「オヤオリ」を行っているのだろうか? 本日はそのあたりを見ていこう。

「オヤオリ」実施企業はわずか4.2%

企業に対し、学生の保護者向けに会社説明会などのオリエンテーションを用意しているか尋ねたところ、95.8%が「いいえ」と回答した。「オヤオリ」はまださほど一般的にはなってきていないようだ。

「はい」と答えた企業に、具体的な内容を問うと、「入社前に家庭訪問を実施し、不安に感じられている点を解消できるような時間を設けた」「内定後、保護者に会社に来てもらい、職場環境を見ていただいた」といった回答があった。

「オヤカク」実施企業は24.4%

企業に対し、学生の保護者向けに内定承諾の確認を行う「オヤカク」を行っているかどうかを問うと、「いいえ」と回答した企業が75.6%だった。「オヤオリ」よりは多いものの、それでも「オヤカク」という言葉が世間一般に広まってきたイメージほどには、実施する企業は多くはないようだ。

ちょうど筆者の子どもも卒業直前の大学4年生だが、内定企業から親宛に企業の資料などは送られてきたものの、「オヤカク」「オヤオリ」は受けていない。就職は子どもの人生の一大事ではあるが、だからこそ本人が自分の責任で決めるべきことだと思う。「オヤカク」「オヤオリ」を望む学生はかなり少なく、実施する企業も少ない、という調査結果にとても納得している。

(取材・文/大友康子)