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受験の悲喜こもごもを昇華する「受験川柳」を鑑賞(前編)

受験川柳2992句から10句の入賞作品を選定

『大学入試シリーズ』(通称『赤本』)で知られる株式会社世界思想社教学社(京都市左京区)は「受験川柳」を募集。現役受験生やその家族、かつての受験生など、さまざまな立場の人から、2992句の作品が寄せられた。試験本番の緊張感や受験勉強の悲喜こもごもを表現した句など、個性豊かな作品が集まった。その中から特に優れた10句を入賞作品として選定した。

受験はなかなかに苦しいものではあるが、それを乗り越えていこうとする受験生の姿や応援する家族の温かい気持ちなどが感じられる作品の数々には、受験を終えたご家庭も、これから受験に立ち向かうご家庭も、共感を覚えるのではないだろうか。

今日と明日とで見ていこう。

最優秀賞:一浪を「ひとなみ」と読む母が好き

作者のヘミング麻衣ウエイさんは、「まさかの浪人を、母は『一浪は人並みとも読むの』と、屈託がありません。そんな母が大好きでした」とコメント。

一番傷ついているのは本人とはいえ、不合格による浪人は母親にとっても相当ショックだったはず。それでも、「いちろう」を「ひとなみ」と軽やかに読み替えた愛情の深さはさすが。「母親としてこうありたい」と思わせてくれる一句だ。

高校生特別賞:変わりたい そのきっかけに 赤本を

作者のりんごあめさん(17歳)は「自分を変えたくて、無謀すぎる志望校を決めたときも、もう無理と諦めそうになったときも、マイナス思考を切り替えて、モチベーションを上げてくれたのは赤本でした」とコメント。

中学生特別賞:おかえりと 塾に言われる 長い夏

作者のMiriamさん(14歳)は「1日のほとんどを塾ですごしていて、受験生だという意識が生まれてきました」とコメント。夏休みの間は家にいるより、塾でずっと勉強している時間のほうが長いくらいだったのだろうと、頑張っていた姿が浮かんでくる。

明日は優秀賞の句を見てみよう。

(取材・文/大友康子