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コロナ禍における子どもの困り感とは? 「令和2年度 児童厚生1級特別セミナー」リポート(後編)

ゲーム依存でカフェイン過剰摂取も。睡眠障害、学力低下なども起きている

「コロナ禍における子どもの困り感を理解する」というスピーチのテーマに興味がわき、本来は児童館で働く職員勉強会である「令和2年度 児童厚生1級特別セミナー」(一般財団法人 児童健全育成推進財団主催)を聴講した。昨日掲載の記事(前編)から引き続き、スピーチの一部を紹介する。講師は、西真岡こどもクリニック幼保・学校連携医療部顧問の柳澤邦夫(やなぎさわ・くにお)氏だ。

ある小学校の児童の視力のデータなどをもとに、「現代の子どもたちの視力低下と端末利用の時間の増加、睡眠不足が心配」と話す柳澤氏は、こう続ける。

「ゲーム依存の子どもたちを調べてみると、深夜2時、3時に行われる世界的なゲームイベントに参加しているんです。楽しいから、というよりも、イベントに参加しないとバージョンアップできないから参加しているようです。そして、SNSなどで眠気防止にエナジードリンクを飲むとよい、という情報を得て、中高生がエナジードリンクをたくさん飲んでいる。なかにはカフェインの過剰摂取で救急搬送された子どももいます。インターネットの普及で便利になった反面、パソコンやスマホなどの画面を見る時間が多すぎて、睡眠障害、記憶力や集中力の低下、学力の低下、うつ、依存症といった弊害も起きています」。

睡眠時間は9時間以上、毎日30分の運動や遊び、画面を見る時間の制限も必要

そして、子どもたちを心の病にしないために大人ができることとして以下を提案し、スピーチを終えた。

◎睡眠時間は9時間以上を確保する。睡眠時間が長いと、記憶力を司る脳の海馬の体積が増える。
◎画面を見る時間は1回1時間以内、1日2時間までにする。スマホなどを寝室に持ち込ませない。
◎毎日30分は運動や遊びの時間を作る。軽い運動も脳の海馬の神経新生を高める。

大人もコロナ禍でリモートワークが増え、疲労を感じている人も少なくない。子どもはきっとそれ以上の影響を受けているだろう。とはいえ、1人1台の端末が当たり前になりつつある時代、できるだけ健康に被害が出ないように気を付けながら活用していくにはどうしたらよいか、いまいちど考えてみるのもよいだろう。

スピーチの後は、日本全国の児童厚生1級指導員9名による実践報告が行われた。児童館の周囲の自然を生かした遊びや体験の企画や参加した子どもたちの反応など、さまざまな報告があった。

(取材・文/中山恵子)