就職希望者の、「企業の退職者(アルムナイ)」への関心はいかに?
「アルムナイ」は企業の離職者やOB・OGの集まりを指し、日本国内では今はまだあまり一般的ではない言葉だが、海外ではアルムナイを貴重な人的資源ととらえ、組織化して活用する事例が少なくない。海外駐留中の読者には、すでに馴染みのある言葉かもしれない。
日本でアルムナイ特化型クラウドシステム「Official-Alumni.com」やコンサルティングサービスを提供する株式会社ハッカズーク(東京都新宿区)は、2022年卒の新卒採用コンテンツの可能性を探ることを目的とし、就職を希望している18~29歳の大学生・大学院生を対象に「企業の退職者への関心」を調査した。
約7割の学生が「元従業員の退職後のキャリア」に関心あり
「入社を希望する、もしくは入社予定の企業の『元従業員の退職後のキャリア』に関心があるか」を聞くと、約7割の学生が「ある」と回答。
「元従業員の退職後のキャリア」に関心がある理由として、最も多かったのは「その会社での経験によって、その後のキャリアがどう広がるのか知りたいから」43.1%だった。
「元従業員の退職後のキャリアが魅力だと志望度が上がる」学生は半数以上
「元従業員の退職後のキャリアが魅力的だった場合に志望度はどう変わるか」を聞くと、半数以上が「上がる」と回答。その理由として「キャリアアップしたいから」という声が目立った。つまり、終身雇用が崩れて転職が当たり前になるなか、あくまでファーストキャリアとして最初の就職を捉え、退職者のキャリアが魅力的であれば、自分もその会社でキャリアを積んで次のステップにつなげられると捉えているようだ。
それぞれの回答の理由について一部を下記に列挙する。
上がる
- 退職後など先の先まで考えて人生設計を立てたいから
- 勤務していたときに有用な能力を身につけられていると分かるから
- 退職後に魅力的なキャリア形成をしている先輩がいるなら、安心して入社できるから
- 一つの企業に勤め続けることも大切であるが、その先の選択肢としての転職先が魅力的であることも、企業の良さの一つだと思うから
変わらない
- 退社後はまだ先なので会社に対する評価として実感が湧かないから
- 転職を具体的に考えてはいないから
- その会社に勤めるのに退職後のことは関係ないと思うから
下がる
- 退職後のキャリアが良いと、その前の場所が悪かったという意味だと解釈してしまうから
明日はアンケート結果の続きと、日本でのアルムナイ活用の動きについて、株式会社ハッカズーク広報責任者のコメントをご紹介しよう。
(取材・文/大友康子)