過去の用語との比較も面白さ、納得感濃厚
新卒就職支援サイトの最大手「マイナビ」は、毎夏、大学4年生・大学院2年生を対象に「学生就職モニター特別調査」を行い、就活用語ランキングを発表している。一昨年、当サイトでも「就活用語ランキング」を紹介したことがあるが、今年は今年の世相を映していて非常に興味深いので、2年ぶりに取り上げることにしよう。
あなたの周りで流行った就活用語ランキング
21年卒(2020年度)ベスト10 | 昨年順位 | 意味 | |
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1 | NNT | 4 | 「無い内定」の略。内(々)定が無いことを「内々定」に掛けている。反意語:ANT(有る内定) |
2 | ガクチカ | 2 | 面接でよく聞かれる「学生時代に力を入れたこと」の略 |
3 | お祈り | 1 | 選考で落ちること。不採用通知の「今後のご活躍をお祈りしております」という一文から |
4 | ES | 6 | エントリーシートの略 |
5 | WEB面 | ー | WEB面接の略 |
6 | サイレント | 3 | 選考の結果の連絡が来ないこと。合格なら、企業から必ず連絡があるので、不合格であることを示す |
7 | 終活 | 9 | 就職活動を終えるための活動。入社予定先以外の企業に内定辞退の連絡をすることなど |
8 | オワハラ | 5 | 「就活終われハラスメント」の略。企業が内々定を出した学生に対して就職活動を終えるよう強制すること。他者の選考の辞退と引き換えに内々定を出すことも含む |
9 | ANT | – | 「有る内定」の略。内(々)定が無いことを「内々定」に掛けた「NNT」の反意語 |
10 | 無い内定 | – | NNTと同義 |
1位は「無い内定」の略である「NNT」。昨年は4位だったが、ここ数年の売り手市場に比して冷え込んでしまった採用事情を反映してトップに躍り出たのかもしれない。
2位は昨年と同じ「ガクチカ」で、3位は昨年1位の「お祈り」、4位は昨年6位の「ES」。5位には、新型コロナウイルス感染症流行下において一気に一般的となった面接方法「WEB面」が滑り込んだ。
ランク外で目新しかった用語、特徴的な用語
就活用語 | 意味 |
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テレ就活 | 家にいながら就活する |
コロキャン | コロナで、(イベントや面接が)キャンセル |
ぴーするやつ | 本社に入る前、体温を測る際に用いる非接触の体温計 |
隠れカメラオン | WEB説明会の時、カメラオンと事前に記載されていないのに、急にカメラを付けて欲しいと言われること |
リモハラ | リモートハラスメント |
回線圧迫面接 | WEB面接なのに本社の方の回線が悪くろくに面接されず落ちること |
0次面接 | これは面接ではありません、と言われるが実際は面接要素が強い面談 |
インターン旅行 | インターンを旅行の途中に組み込むことで、宿泊費や交通費を安く済ませる |
因数分解 | 自己分析する中で、どうして自分がそれを好きなのかを細かく考えるときに必要なもの |
仮面浪人 | 採用中止になった企業に入るためにとりあえずどこかに入社して、本命に中途で入る準備をする |
踏み台企業 | WEBテストの試しや面接練習に使える企業 |
納得内定 | 入社することに満足出来る会社から内々定をもらうこと |
乱れ打ち | 適当な企業を大量に受けまくる |
敗北者 | 内定が貰えていないもしくはブラック企業内定者 |
ゼウスになる | 企業からお祈りされること |
ベスト10以上に今年の世相をより濃く映し、また、若者の言葉のセンスに感服させられるのはランキング外の就活用語の数々だ。
「テレ就活」「コロキャン」「ぴーするやつ」「隠れカメラオン」「回線圧迫面接」など、コロナ禍がらみの言葉が多く挙がっている。
「仮面就浪」は、一昨年のランキング外の用語「リベンジ転職」と多少似ている。しかし、新卒で第一志望に就職できなかったら転職でリベンジする「リベンジ転職」と、そもそも第一志望の企業が採用中止になってしまった「仮面就浪」とは、そもそもスタートが違っており、本年の就活生の不運に同情を禁じ得ない。
それにしても、不採用通知の「お祈り」がバージョンアップした「ゼウスになる」は傑作だ。弊サイトでも紹介した一昨年のランキング外の言葉には、選考に落ち続けお祈りされ続けると「神に近づく」という用語があったが、今年はとうとうギリシャ神話の全知全能の神の名前まで出てきた。
明日は「マイナビ2021年卒 学生就職モニター特別調査」の別項目を見てみよう。
(取材・文/大友康子)