昨日の記事では、昨年の大学中退者の6割弱が留年を経験しており、中退の最大の原因になっていることをお知らせしたが、今年は留年などの問題に加え、コロナウィルス感染症(COVID-19)拡大の影響による経済的な苦境から中退をする「コロナ中退」が問題になっている。
自ら学費や生活費を担う大学生の20%以上が「中退を考えている」
学費・奨学金制度の改善を目指して約20大学の学生が参加・活動している学生団体「高等教育無償化プロジェクトFREE」が2020年4月29日公表した調査結果によると、学費や生活費の多くを親に頼らずに自らのアルバイトで担う大学生のうち20.3%が「退学を考えている」と回答したという。
前編でも紹介した株式会社ジェイックは、以前より大学在学中の学生が中退に関する相談ができる窓口を用意しており、電話相談や対面カウンセリングで、学生の悩みや状況に合わせたアドバイスを行ってきた。
この度、新型コロナウイルスの影響で中退せざるを得ない、中退を検討する大学生が急増していることから、コロナウイルスの影響による中退者および中退検討者専用の「コロナ中退119番」の設置を決定した。
夏休み明けは中退相談が多く、今年はコロナでより相談増
中退後の正規雇用への就業率は卒業者と比べて低く、特に現在の感染拡大の状況では、正規雇用で就業できる門戸は、これまでの売り手市場の時代よりも狭まっている。コロナ禍において苦慮する若者が安易に中退を選ぶことのないよう、ジェイックは電話やWeb面談にて、一人ひとりの進路希望や状況にあわせた対応を行っていくという。セカンドカレッジ責任者の小久保氏は「コロナ中退119番」の意気込みを次のように語る。
「『コロナでバイトに入れなくなり、学費の支払いが厳しくなり退学を決めた』『親の収入が減り、中退を検討している』という相談が、コロナ中退119番には届いています。毎年、夏休み明けは中退相談も多い時期ですが、今年はコロナの影響もあり、我々の支援の重要さは増していると感じます。
こういった学生たちのにためも、提携大学などとも協力しながら、中退を検討している学生は熟慮できるよう、また中退を決めた方には適切なキャリア支援をしっかりしていきたいと考えています」
(取材・文/大友康子)