有名雑誌などのモデル、四男一女のシングルマザー、看護学生(※)と多彩な一面を覗かせる敦子さんに、「人生で大切にしていること」を伺いました。2回シリーズでお届けします。
自分の人生は自分で切り開いていってほしい。それが我が子たちに伝えたいこと
手作りのお菓子を『JJ』や『VERY』などで専属モデルを務め、現在もモデルとして活動している敦子さんは、四男一女のシングルマザーでもある。さらに、助産師になるという目標に向かい、3年前からは看護学校にも通学しているというから驚きだ。仕事に育児に学業にと多忙な日々を送っているが、そのなかでも、子どもたちには寂しい思いをさせないよう心を配っているという。
「ふだんは、私よりも子どもたちのほうが先に帰宅します。そのとき部屋に甘い香りが漂っているとほっとできると思うので、余裕があるときはお菓子を焼いて手紙を添えておきます。とはいっても、ふだんは簡単なおやつを作ることのほうが多いですよ。たとえば、焼きいもは放ったらかしで仕上がるので便利です。キッチンペーパーやアルミホイルで巻いて、オーブントースターで1時間ぐらい焼けば出来上がり。焼いている間に家事ができるので、よく作ります」
お菓子を手作りする理由は、敦子さん自身の幼少期の経験が影響しているとか。
「私の母は専業主婦で家にいることが多く、料理やお菓子を作るのがとても好きだったので、いろいろなものを作ってくれたんです。バースデーケーキはスポンジから手作りしたり、夕食を食べたあとにはかならずデザートタイムがあって、後片付けをしてから新たに焼きリンゴや大学いもを作ったり、ドーナツを揚げたり。子どもの頃はそれが当たり前と思っていたのですが、大人になってみて、我が家が特殊だったのだとわかりました(笑)。手間をかけてくれた母には感謝していますし、そういう風に自分がやってもらって嬉しかったことは、子どもたちにも少しでも伝えたいと思っています」
失敗を経験させながら、まわりに助けてもらいながらの子育て
5人の子どもたちは、高校1年生、中学1年生、小学5年生の双子、小学1年生と、年齢は実にさまざまだ。性格もまったく違うというから育児はよほど大変なのではと思うが、子どもたちの成長とともに年々楽になっているという。家事もある程度は任せられるとか。
「生活力に関しては、周りの同年代の子どもよりもあるかもしれません。炊飯器に入っているごはんが残り少ない場合は、夕食の分のお米を炊いたり。外に遊びに行っても、雨が降り出したら洗濯物を入れるためにいったん家に帰ったり。家の手伝いで特によく動くのは、5年生の双子です。私の帰りが遅いときは、年上ふたりの指令のもと(笑)、親子丼などの簡単な料理をしてくれていることも!」
お子さんのうち3人の男の子は、ハンドボール、野球、バスケットボールと、それぞれ違うスポーツに取り組んでいる。野球をやっている次男には、洗濯の一連の方法を1年の歳月をかけて伝授した。ユニフォームの汚れがひどく、洗うのに労力がかかるためだ。
「初めは靴下の下洗いだけをお願いして、そのあとは洗濯機の使い方を教えて…という感じで少しずつ工程を増やしていったんです。途中、すぐに干さないと洗濯物は臭くなるという経験もさせつつ(笑)。今は全部の作業を次男がやっています」
任せたいことがあるときは、焦らずゆっくりがモットーだ。
「子どもが5人いて、すべてのことを私がこなそうとすると何かしら抜け落ちるので…。それぞれ自分で管理しておいてもらわないと、家のことが回らないんです」
子どもたちの協力のおかげで、疲れが溜まることはそれほどなくなってきたという敦子さんだが、それでも息を抜きたいときはある。その場合は、お酒を飲んで気晴らしをする。
「つい先日も、長男の学校の三者面談の帰りに、ふたりで夕食を食べに行ってお店を3件はしごしました。長男が食べ盛りなのでステーキ屋さんに2件、締めはラーメン屋さんに(笑)。長男とじっくり話をしつつ、私は軽く晩酌ができました(笑)」
長男と次男は、自宅では口数が少ないほうだとか。だからこそ、一対一のコミュニケーションをこまめに取るよう心がけている。
「上のふたりは、ほかの弟たちや妹がいると恥ずかしいみたいで、家ではあまり話さないんです。次男とは、野球のお迎えに行った帰りにごはんを食べに行くこともあります。ここでも軽い晩酌をしながらですけどね(笑)」
子育てにおいては、ママ友やご近所にも大いに助けられている。
「周囲の人たちには本当にお世話になっています。末っ子四男の小学校の入学前健診の際は、私は自分の学校がどうしても休めず、仲のいいママ友に連れて行ってもらいました。末っ子はみんなに可愛がられていてすごくマイペースで、この間は、夕方暗くなっても家に帰ってこないのでどうしたのかなと思ったら、近所の自治会長さんの家のこたつで寝ていました(笑)。次男は近所のおじさまから週に1回野球を習っています。そのかたは野球の試合も見に来て下さるほどで、次男にとってはおじいちゃんのような存在です」
敦子さんは、昨年とても感動することがあったという。母親冥利に尽きる出来事だ。
「末っ子の保育園の運動会でおんぶ騎馬戦という競技があったのですが、長男がおんぶをして騎馬戦に出ました。周りは保護者ばかりで恥ずかしいだろうと思ったのですが、全く嫌がらずに楽しそうに出てくれて…。思わずうるっときてしまいました」
5人の子どもたちに共通して伝えたいのは、挑戦する気持ちだ。
「多くのことにチャレンジして、自分の人生は自分で切り拓いてほしいです。そういう姿勢を、私自身が子どもたちに見せていけたらいいなと思うので、私も自分の目標を叶えるために頑張ります」
モデル 敦子さん
あつこ・1978年7月17日、奈良県生まれ。雑誌『VERY』で表紙モデルを務めるなど、モデルとして活躍。CHEMISTRYの堂珍嘉邦さんと結婚後、四男一女を出産。2017年には看護学校に入学。現在は助産師を目指し、モデル、学生、シングルマザーとして奮闘中。
※2019年11月にインタビュー
取材・文/『帰国便利帳』編集部、田中亜希
撮影/田子芙蓉
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