新型コロナウイルス(Covid-19)感染拡大の現状を受け、日本全国の企業の間では、毎年行っている新卒採用に向けた会社説明会を中止し、かわりにインターネットで会社説明の動画を配信し、仕事内容や採用方法などの詳細を説明したり、面談をWEB面接に切り替える動きが増えてきている。
昨年12月29日~本年1月13日にかけて、WEB面接のツール「HARUTAKA」を運営する株式会社ZENKIGEN(東京都千代田区)は、就職活動を終えた2020年卒業予定の大学生509名を対象にWEB面接の利用の実態を調査した。WEB面接の重要性が増している今、調査結果からWEB面接のメリットと課題が見えてきた。
約4割がWEB面接を経験
WEB面接の経験について尋ねたところ、38.7%が「ある」と回答。新型コロナウィルスが日本で本格的に流行る以前の段階で約4割の学生が利用した経験をもつことから、就職活動において欠かせないサービスのひとつとなってきていることが分かる。
「ある」と答えた学生にメリットを聞いてみると、「動画エントリーを経験したことがある(147人)」では、「撮り直しができる」が70.1%で1位、次いで「移動時間が減る」が58.9%、「移動費用が減る」が48.2%となった(複数回答可)。
また、「ライブ面接を経験したことがある(105人)」では、「移動時間が減る」が80.7%で1位、次いで「移動費用が減る」が70.6%、「好きな場所から参加できる」が51.3%となった(複数回答可)。
実家でのWEB面接は、家族の目が気になりやりづらい
逆に、デメリットを問うと、「動画エントリー」では、「撮影する内容に悩む」が64.5%で1位となり、次いで「自撮りに抵抗がある」が60.9%、「撮影をする場所に悩む」が57.9%となった(複数回答可)。また「ライブ面接」では、「面接官の反応を読み取りにくくなる」が74.1%で1位となり、次いで「通信環境に不安を持ってしまう」が53.8%、「面接をする場所に悩む」が51.8%となった(複数回答可)。
このほか調査時に書き添えられた生の言葉として、以下のような言葉が挙がった。
●通信が切れることが何度もあったので、企業の方に何度も接続をやり直してもらい煩わしかった。
●Wi-Fi環境で静かなところを、用意するのが厳しい時がある。
●実家暮らしで家族の目があり、やりづらかった。
●家で面接を受ける場所を探すのに苦労した。
WEB面接を安定利用できる環境の整備が重要
本調査は新型コロナウイルス発生前の2020卒学生における就職活動を対象に行われたものだが、2021卒学生にとってはよりWEB面接が重要となってくるだろう。株式会社ZENKIGENの社長室室長の石丸晋平(いしまる・しんぺい)氏は言う。
「昨今の緊急事態に伴い、採用活動の自粛・中止が相次ぎ、企業の人事担当は対応に追われ、多くの就活生が不安を抱えている。採用活動は、次代を担う学生と社会が触れ合う貴重な機会であり、多くの学生が、この機会に学び、大切な人生の選択を行う、社会的な行事。多くの企業が採用活動を持続できるよう、WEB面接を安定してご利用いただける環境整備に最善を尽くしたい」
(取材・文/大友康子)