就職活動中の大学生の半数以上が“就活うつ”を自覚
就職活動中の大学生の半数以上が“就活うつ”を自覚
就職活動において、面接などで落ち続けると人格を否定されたような気になり、落ち込む大学生は多いことでしょう。よりひどくなると、「死にたい」と思ったり、やる気が起きなくなるなどの“就活うつ”に陥ってしまいます。
就活の過程を評価したスカウトが受け取れるサービス「ABABA」などを提供する(※)株式会社ABABA(東京都渋谷区)が調査したところ、就職活動中の学生の半数以上が「就活うつを自覚したことがある」ことが判明しました。「就活うつになった」「就活うつっぽいと感じた」と回答した学生が合計で54.3%にも上ったのです。
同社はさらに、就活うつを自覚したことがある学生を対象に「就活うつに関するアンケート調査」を行いました。その結果を詳しく見てみましょう。
【「就活うつに関するアンケート」調査概要】
事前調査対象:2026年3月卒業予定の大学4年生、修士課程2年生、計564名
本調査対象:事前調査で就活うつを自覚したと回答した学生
調査機関:株式会社ABABA
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年10月22日~11月25日
有効回答数:200名
就活うつで「死にたい」とまで思うことも
就活うつを自覚したという学生に「就活中に死にたいとまで思ったことはありますか?」と聞くと、56.5%が「ある」と回答しました。半数以上が、命を絶ちたいと思うほどの深刻な精神状態であったことがわかりました。
不採用通知、将来への不安、周囲との比較など、複数のストレス要因が重なることで、精神が追い詰められていると予想できます。
うつ症状は「やる気が起きない」が最多56%
就活中にうつ傾向を自覚した症状について尋ねたところ、「なにもやる気が起きなくなった」が56%で最も多く、半数以上が意欲の低下を経験していることがわかりました。
次いで「食欲が著しく減った、あるいは増した」が34.5%、「集中力が低下した」が34%、「勝手に涙が出るようになった」が33.5%と続きました。
また、「眠れなくなった」が28%、「頭痛や胃痛などの不調が増えた」が23%と、2割以上が精神面だけでなく身体面にも影響が出ていることがわかりました。
約4割が「自分だけがダメ」と自己否定
就活うつを感じたときの感情を尋ねたところ、「自分だけがダメなんだと思った」が38.5%で最多となりました。次いで「みんな頑張っているのだから、自分も我慢しなければならないと思った」が38%、「自分は社会に必要ない人間だと思った」が36.5%と続き、約4割の就活生が自己否定感を抱いていることが明らかになりました。
また、「今以上にもっと頑張らなければならないと思った」が33%、「つらいのは仕方がないことだと思った」が28.5%と、つらさを感じながらも我慢を強いられている学生が3割近くいることがわかりました。
3割が採用選考をキャンセル・欠席も
就活うつによる影響や変化を尋ねたところ、「選考の予定をキャンセル/無断欠席した」が32.5%で最多となり、約3人に1人が就活そのものを続けられなくなっている実態が判明しました。次いで「親しい人とも会いたくなくなった」が31%と続き、人間関係にも影響がうかがえます。 また、「周囲から元気がないと言われるようになった」が24.5%、「ゼミやサークル活動にも行けなくなった」が15%と、日常生活にも支障をきたしていることがわかりました。
就活うつ、4人に1人がAIに相談
就活うつを感じたときの対処法を尋ねたところ、「身近な人に打ち明けて相談にのってもらった」が32.5%で最多となりました。一方で、「特になにもしなかった」が25%に上り、4人に1人が誰にも相談せず一人で抱え込んでいる実態が明らかになりました。
また、「AIチャット(ChatGPTなど)に相談した」が24.5%と2番目に多い対処法で、悩みをAIに打ち明ける学生が約4人に1人いることがわかりました。次いで「就職活動を一時的に中止した」が22.5%、「専門機関でカウンセリングや診断を受けた」が20.5%と続きました。
このほか、「考える時間がないくらい就活のスケジュールを入れた」が16.5%、「SNSなどの就活に関する情報から距離を置いた」が14.5%、「留学や休学によって就活のタイミングを先延ばしにした」が12.5%となり、対処法は多岐にわたることがわかりました。
就活うつの原因は「期間が長すぎて先が見えない」
就活がつらいと感じた原因を尋ねたところ、「就活の期間が長すぎて先が見えなかったから」が40%で最多となりました。就活の長期化が学生の精神的負担の最大の要因となっていることがわかります。
次いで「選考に落ちたから、または選考落ちが続いたから」が36%、「自分がやりたいことが分からないまま就活をしていたから」が33.5%と続き、不採用の連続や自己理解の不足が大きなストレス要因となっていると考えられます。
また、「周りよりも就活の進捗が悪かったから」が30%、「周りからのプレッシャーがあったから」が25%と、他者との比較や周囲の期待が重圧となっている様子がうかがえます。
就活の早期化・長期化により、学生は長期間にわたってゴールが見えない状況が続き、精神的な消耗を加速させていることが予想できます。
内定後も半数が就活うつ継続
最初の内定をもらった後も就活うつっぽいと感じていたかを尋ねたところ、「はい」という回答が50.5%と半数を超えました。
内定を得ても、「この選択で本当に良かったのか」という迷いや、「もっと良い企業があるのではないか」という焦燥感、また、複数内定を持つ学生の場合はどの企業を選ぶべきか悩み続けることで、ストレスを抱えていると推測できます。
内定後は「本当にこの企業でいいのか」と不安
前問で「はい」と回答した方にその原因を尋ねたところ、「本当にこの企業や職種でいいのか不安になったから」が48.5%で最多となりました。内定を獲得してもなお、約半数の学生が自分の選択に確信を持てず、不安を抱え続けている実態が明らかになりました。
次いで「自分の判断軸が何なのか分からなくなっていたから」が37.6%、「内定をもらっても達成感や手応えがなかったから」が29.7%と続き、長期化する就活の中で自己を見失い、内定という”ゴール”に喜びを感じられない学生が3割に上ることが判明しました。
また、「周りと比べて内定先に引け目を感じたから」が27.7%、「より志望度が高い企業の選考が残っていたから」が26.7%となり、他者との比較や「もっと良い選択肢があるのでは」という思いが、内定後の不安を増幅させています。「特に理由は思い当たらないが気持ちが沈んでいた」も11.9%に上り、原因が分からないまま精神的不調が続くケースもあることが分かりました。
就活システム全体の構造的問題の解消を!
ここ数年は学生の売り手市場と言われていますが、それでも就職活動中は思った以上に精神的に追い詰められている学生が多いようです。就職活動中の学生の親御さんは子どもの自主性を尊重しながら「伴走者」として精神的に支えることが重要なようです。
株式会社ABABAは調査結果を受けて、現在の就職活動について下記のように警鐘を鳴らします。
「就活の早期化・長期化、SNSによる他者との比較の可視化、不適切な面接慣行など、就活うつは個人の問題ではなく、就活システム全体の構造的問題です。企業には採用プロセスの見直しと内定者へのメンタルサポート、大学には学生相談体制の充実、社会全体には就活生を追い詰めない環境づくりが求められています」
(取材・文/大友康子)
















