小学生が選んだ2025年「今年の漢字」2位は「熊」、さて1位は?
「小学生が選ぶ今年の漢字」、一般との差異はいかに?
公益財団法人日本漢字能力検定協会(京都府京都市)が毎年11月から募集して、12月12日頃に京都市の清水寺で発表している「今年の漢字」。2025年の今年の漢字は「熊」でした。日本全国各地で熊が出没し、被害が相次いだ世相を反映する一字が選出されました。
一方、日本漢字能力検定協会の「今年の漢字」の一環として、株式会社ベネッセコーポレーション(岡山県岡山市)が提供する通信教育講座「進研ゼミ 小学講座」は、「小学生が選ぶ今年の漢字」を全国の小学講座会員から募集しました。 一般の「今年の漢字」(以下、「一般」と表記)と小学生版、どのくらい共通しているのか? はたまた全然違うのか? 比較しながら見てみましょう。
小学生が選ぶ2025年「今年の漢字」1位は「楽」
【選んだ理由】
・学校でたくさん友だちができて、毎日楽しいから。(1年生)
・いろんなところに行ったり、たくさん遊んだりして楽しかったから。(2年生)
・大阪万博などがあって、とても楽しかったからです。(3年生)
・今年一年楽しい事ばかりだったから。(4年生)
・楽はしないで一生懸命頑張ったからそのぶん、楽しい年になったと思うから。(5年生)
・小学校最後の学校生活すごく楽しかったから。(6年生)
「小学生が選ぶ今年の漢字」の募集は昨年に続き2回目。昨年も1位は「楽」でした。一般では「楽」は12位。大人はどうしても世相を反映した漢字を選びがちでしょうが、子どもは素直に自分の1年を振り返って「楽しかった」と選んでいます。
日本の子どもたちが平和で平穏な1年を過ごせたからこそ選ばれた漢字であり、喜ばしいランキング結果だと思います。 「楽(らく)はしないで一生懸命頑張ったからそのぶん、楽(たの)しい年になった」と、音読み・訓読みを使い分けて選択理由を述べた5年生など、さすがです。

小学生が選んだ漢字2位以下は、やはり世相を反映
小学生らしい漢字が1位となり、ほのぼの嬉しくなりましたが、2位以下はしっかり世相を反映した漢字が並びます。
一般で1位となった「熊」が小学生版でも2位。小学生にとっても日本全国で熊が出没したというニュースはそれだけ衝撃的だったのでしょう。
3位は初めて女性総理大臣が誕生したことなどから「初」、一般でも10位にランクインしています。
4位は大阪万博開催などの影響から「万」、一般でも5位にランクイン。
5位は米不足や価格高騰などの話題から「米」、一般では2位。
6位は高市早苗総理大臣や米の価格の高さなどから「高」、一般では3位。
7位は新総理大臣やAIといった最新技術などの話題から「新」、一般では9位。
8位は猛暑の影響から「暑」、一般では11位。
ここまで見てくると、一般と小学生が選んだ漢字はほとんど重なっており、小学生も1年を振り返り日本で起きた出来事をしっかりと思い起こして漢字を選択していることが分かります。

9位「推」は小学生ならでは
9位は推し活を楽しんだことなどから「推」。これは一般では20位以内にランクインしていません。「推し活」という言葉が、『現代用語の基礎知識』(自由国民社発行)が毎年選定する「新語・流行語大賞」にノミネートされたのは2021年。2025年は一般的には推し活はそれほど注目されてはいなかったものの、小学生は好きなアニメやアイドルなど推しを見つけて楽しんでいたのでしょう。
「推」は小学生らしい理由で選ばれた漢字ではありますが、習うのは6年生、漢検では5級の出題範囲にあたる比較的難しめの漢字です。しかも「推(お)す」は中学で習う読み方です。
10位はまた世相を映した漢字に戻り、「大」。一般でも15位。大阪万博や、万博会場で話題となった大屋根リング、大リーグの大谷翔平選手の影響もあったようです。
「今年の漢字」で漢字や語彙への理解を深めましょう!
「今年の漢字」といった話題から、「推」のように少し難しめの漢字を覚えられたり、1年間の出来事を振り返って社会の動きに興味をもったりできるのは、とてもいいことですね。
日本人学校に通っているお子さんはともかく、現地校やインターナショナルスクールに通っているお子さんは、漢字に触れる時間が多くはないかもしれません。2025年の「今年の漢字」を親子でチェックして、漢字に触れ合う時間をもってはいかがでしょうか。
公益財団法人日本漢字能力検定協会執行役員の山田昌哉(やまだ・まさや)氏は、「今年の漢字」に触れることの効用を次のように述べています。
「『今年の漢字』は1995年にスタートし、本年で30周年を迎えました。この節目の年に、進研ゼミ会員の子どもたちをはじめ、ご家族の皆さまが一年間の様々な出来事を『漢字一字』で表現してくださったことを、大変嬉しく思います。
『今年の漢字』を考える過程は、漢字の多義性や奥深さを学びながら、社会で起きたニュースや出来事、流行を振り返り、自分の考えを整理する貴重な機会です。この取り組みは、社会への関心を高めるとともに、漢字や語彙への理解を深め、実社会と自身の経験を結びつける学びにつながると考えています。
これからの時代、AIをはじめとするテクノロジーの進化やグローバル化が進む中で、異なる価値観や情報を理解し、円滑にコミュニケーションできる『言語能力』はますます重要になります。日本語は漢字に支えられており、『漢字』を学ぶことは、語彙力を育み、『情報を正しく読み取る読解力』や、『自分の考えを的確に伝える表現力』を磨く基盤となります。こうした力を伸ばすことが、子どもたちの未来の学びと成長を支えると信じています」
(取材・文/大友康子)






