【特集】帰国子女とその保護者目線で見る東大・京大・早稲田・慶應 Vol.5~東京大学 OB・OG編~
全12回でお送りする「帰国子女とその保護者目線で見る 東大・京大・早稲田・慶応」。
前回の第4回では、「東京大学現役生編」と称して、現在東京大学に通うYさんに、大学を選んだ理由や卒業後の予定についてお話を伺いました。
【特集】帰国子女とその保護者目線で見る 東大・京大・早稲田・慶応
第4回:
【特集】帰国子女とその保護者目線で見る 東大・京大・早稲田・慶應Vol.4 ~東京大学現役生編~
第5回の今回は、東京大学を2010年に卒業したYさんにお話を伺います。
東京大学
| 主なキャンパス | 本郷地区キャンパス(東京都文京区) 弥生キャンパス(東京都文京区) 駒場地区キャンパス(東京都目黒区) |
|---|---|
| 学部総学生数(2025年) | 14,074人 |
| 男女比率概算 | 男性約77~80%、自制20~23% |
| 志願者数(2025年)*1 | 8,421人 |
| 学部数(2025年) | 10学部 (法学部、医学部、工学部、文学部、理学部、農学部、経済学部、教養学部、教育学部、薬学部) |

大学でのフィールドワークがなければ今の私はきっと存在しない
東京大学教養学部を卒業後、国際協力機構(JICA)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)といった国際機関に勤務。そんなOさんの原点は、かつて大学で履修した『開発経済学』という授業にあるという。
「授業を担当されていた教授が長年フィリピンのスラムでフィールドワークをされていて、毎年10名程度の学生を現地に連れて行ってくれました。私も2度参加し、その際には”貧富の格差”や”開発”とは何か、地域にとって望ましい成長戦略とは何か、個人にとっての生計戦略とは何か、といった課題について深く考えさせられました」(Oさん)。
この経験をきっかけに、Oさんは学部時代に学内の交換留学制度を利用し、1年間、インドネシアへ留学。
「今、社会人になって思うことは、学生という立場で現地の学生の生活に深く入り込み、彼らの経済的な状況や宗教の役割などの現実を目の当たりにしたのは、かけがえのない経験だったということ。卒業後にも国際機関での仕事を通じて様々な環境下の方々と接してきましたが、あの留学時代ほど人々の率直な”本音”を聞く機会は多くなかったように思います。留学後には大学院に進み、開発学をさらに専門的に学びました」(Oさん)。
大学では「やり遂げる力」を持つ多くの学友に出会えたという。
「例えば、1年間の留学期間中にベトナム語などの難しい言語を高いレベルまで習得する人や、ある社会問題に取り組み始め、最終的には学生団体を立ち上げて世界銀行などから資金を獲得する人もいました」(Oさん)。
そうした粘り強さや計画性、実行力はOさんにも備わった。
「現在は子育てをしながら、ロンドン大学大学院でオンライン生として学んでいます。そして2人目を妊娠中です。子育てや家庭を大切にしながら、どのようにキャリアを築いていくべきか__古くからありながら、今なお多くの女性が直面するこの課題について、これから自分なりの打開策を模索し、考えを深め、行動に移していきたいと思っています」(Oさん)。
活躍を嬉しく思うOG仲間・OB
意見を率直に発信していた総合社会科学分科のAさん
「帰国子女仲間でもあるAさんは、日本のやり方にただただ戸惑っていた私とは対照的に、自分の意見を率直に発信。いつも笑顔で前向きで、私が学内進学で悩んでいたときも明るく励ましてくれました。また、テニスにも全力で取り組んでいました。卒業後は国連に勤め、現在は国立大学の特任准教授として働いています」(Oさん)。
お話を伺った方

現役生:Y・Oさん(2010年卒業)
インドネシアの日本人学校に幼稚園から小2まで、フランスの現地校に小5から高校卒業まで通い代々木ゼミナール国際教育センターで入試に備えて、東京大学教養学部総合社会科学分科を卒業。、国際協力機構(JICA)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等に勤務。現在はロンドン大学のオンライン大学院生。
※1・・・文部科学省年「令和7年度国公立大学入学者選抜確定志願状況」(2025年度) ※3・・・大学通信「大学ごとの主な就職先」(2024年。大学により一部の学部・研究科を含まない場合がある。就職先名称は原則としてアンケート調査時点の各大学の回答による。)







