大学1、2年次からインターンシップに参加する学生も
2021年卒者の就職戦線も引き続き売り手市場が予想されている。「3月採用広報開始、6月選考解禁」スケジュールも5年目を迎えるが、学生たちはどのような意識を抱き、就活準備を進めているのだろうか。「株式会社ディスコ」(本社:東京都文京区)がキャリタス就活・学生モニターを対象に、10月時点の意識調査を行った。
10月1日時点でのインターンシップの参加状況を日数別に尋ねたところ、「1日以内のプログラム」への参加経験を持つ学生の割合は8割を超えた(82.9%)。これは、前年同期調査よりも7.9ポイント高い数字。夏季インターンシップを実施する企業が増加したことで、学生の経験率もさらに上昇したと考えられる。
また「2~4日間のプログラム」の参加率は47.1%、「5日以上のプログラム」の参加率は34.3%だったが、複数日程のものでは「応募したが参加できなかった」という回答が、それぞれ13.7%あった。事前選考に漏れるなど、2割強の学生が希望のインターシップに参加できていないことも分かっている。参加者数の平均を見ても、「1日以内のプログラム」が4.1社と、複数日程のものの2倍以上に上ることから、ショートプログラムへの参加が中心であることがうかがえる。
なお、参加時期は「8月」(84.2%)、「9月」(74.9%)に集中。「2019年3月以前」が1割に上り(10.6%)、大学1、2年次からインターンシップを経験する学生も一定数見られた。
インターンシップ参加の最大のメリットは「業界の知識が深まる」
インターンシップに参加経験のある学生に、参加してよかったことを尋ねたところ、最も多かったのは「興味のある業界について知識や理解が深まった」(79.1%)だった。次いで、「知らない業界について知ることができた」(49.6%)、「実践的な仕事を経験することができた」(45.2%)と続く。プラグラムを通じて、企業や仕事への理解を深めた学生が多いことがうかがえる。また、グループワークなどを通じて他の参加学生から刺激を得た学生も多かったようだ。
■よい印象を持ったプログラム
- 3日間のプログラムの中で企業の歴史や商品、事業開発など幅広い経験ができた。<文系男子>
- オフィス見学ツアーで、働くイメージが持てた。<文系女子>
- 実際に販売している商品に触れ、グループワークを行ったことにより、企業の取り組みや理念を理解することができた。<理系女子>
- グループワークが徐々に難しい課題へシフトしていき、自分の実力をまわりの人と比べられた。<理系男子>
- 実際の社員が行う業務内容を一緒に体験したことで、将来なりたい人物像などが決まった。<文系男子>
なお、今後のインターンシップについても、参加意向を示した学生は95.2%に上り、依然として高い関心を集めていることがうかがえる。開催日数別では「1日以内のプログラム」への参加を希望する学生は8割強(85.0%)。「2~4日間のプログラム」も8割近く(79.7%)に上り、開催期間が短いものほど、学生たちの参加意欲が高いことが分かる。
具体的に参加したい時期として、最も多かったのは「12月」(83.8%)。これから募集が始まる冬のインターンシップに意識が向いている学生が多いことが読み取れる。
学生の多くが「6月」に開かれた就活準備イベントに参加
一方、就職情報会社が主催する就活準備イベント(インターンシップイベント、業界研究イベントなど)への参加状況を見ると、全体の8割強(84.3%)が「参加経験あり」と回答。昨年(80.1%)よりも多くの学生が会場に足を運んでいる。一人当たりの平均参加回数は3.5回。参加が最も多かったのは「6月」で、夏季インターンシップに向けたイベントが多数開催された時期と重なっていた。
■就活準備イベントに参加してよかった点
- インターンシップについて概要を知ることができ、夏期休暇中に参加するインターンシップ先を選ぶ際に役立った。<文系男子>
- いろいろな企業を気軽に知る機会になり、自分の興味関心が広がった。<文系女子>
- 面接講座やES講座なども開催されていたので、情報を得られてよかった。またB to Bであるために知らなかったが、実は実力のある企業なども知ることができてよかった。<理系男子>
- 見ていなかった業界のことを知ることができた点。インターンの情報を知ることができた点。<文系女子>
(取材・文/松井さおり)