プログラミング授業を先行する公立小学校の取り組み
東京都の小金井市立前原小学校は、総務省による実証実験の対象校として、プログラミングの授業を開始。児童が試行錯誤し意見交換しながら学ぶ姿は、STEM教育の目指すところと合致する。
プログラミング授業で試行錯誤と喜びを体験
「プログラミングの授業を始めた理由は、子どもたちの学ぶ姿が最高に素敵だったから」と語るのは、東京都小金井市立前原小学校・校長の松田孝(まつだ・たかし)氏だ。
試行錯誤しながらプログラミングを行い、何かができると喜び、できなければ友だちと意見を交換しながら再び挑戦する。そんな児童たちの姿に、松田氏は教育のあるべき姿を見たという。
「従来の日本の教育システムは完成度が高く、成果も出ています。それゆえに教員の多くは教育システムを変える必要はない、と思っていました。でも、現代社会は今までにないスピードで変化しているので、教育も変えていかないといけない。模索している中で出会ったのがプログラミングの授業でした」(松田氏)
コンピューターと友だちになるための第一歩
文部科学省で小学校でのプログラミング教育必修化が決定する前の2015年、前任校にいた松田氏は、手探りでプログラミングの授業を行っていた。前原小学校に着任後も、新しい学びを導入するために奔走している。
その結果、同校は総務省が進める「『次世代学校ICT環境』の整備に向けた実証事業」のモデル校に選ばれ、公立小学校としては最先端の環境が整った。学校全体にwi-fiが飛び、全校児童が端末やパソコンをひとり1台使いながら学べるようになったのだ。
現在、1、2年生は「教育課程外」(授業時数は各校の裁量で決定)の年間15時間を、3~6年生は年間70時間ある「総合的な学習の時間」のうち35時間をプログラミングの授業にあてている。1、2年生はiPadを使っているが、3年生以上はCheromebookを使ってキーボードによるテキスト入力も行う。
こうした学びの必要性について、松田氏は次のように語る。
「コンピューターは人間の能力を50億倍も機能拡張してくれます。だから、苦手意識を持つよりも、“友だち”になったほうがいい。子どもたちには、『コンピューターと仲良くなって幸せな社会をつくろう。そのために、コンピューターがわかる言葉を覚えよう。それがプログラミングなんだよ』と話しています」
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