2024年は87の国と地域から約600チームが参加
小中高校生が参加する世界最大級の国際ロボット競技会「WRO(World Robot Olympiad)」。その頂上決戦ともいえる「WRO 2024 国際大会」が11月28日~30日の3日間にわたりトルコ共和国イズミルで開催された。今年は87の国と地域から約600チームが参加し、日本からも計14チームが参加。その結果、高校生の2チームが金メダルと銅メダルを受賞、さらに中学生を含む4チームが8位以内に入賞するという素晴らしい成績をおさめた。※トップ画像は表彰式の様子。(C)NPO法人WRO Japan
今回、「帰国便利帳」では、大会の趣旨や国際大会の様子を、NPO法人WRO Japan 事務局長の櫻澤由里子(さくらざわ・ゆりこ)氏にうかがった。
国内地区予選会、Japan決勝大会を経て、国際大会へ
WROは、2004年にシンガポールサイエンスセンターの発案により始まった国際的なロボット競技大会で、世界中の小学生から高校生までを対象に、科学技術を身近に体験できる場を提供し、創造性と課題解決力を育成することを目的に開催している。日本は第1回国際大会の立ち上げから協力していたと櫻澤氏は話す。
「2008年に横浜で国際大会が行われたときの参加国数は日本を含めて24か国でしたが、現在では90近くに増えました。日本においても、プログラミング教育の必修化やSTEM教育への関心の高まりを受け、グローバルに競い学び合う教育の場として、産学官連携のもと国内地区予選会数や参加チーム数を増やしながら継続開催をしています」
「国内地区予選」というのは、日本各地で主に7月~8月上旬にかけて開催されているWRO Japan公認の予選会のこと。国内参加チーム数は2004年は約300だったが、現在は1000を超えている。地区で優勝したチームはJapan決勝大会に出場できるが、このほかに事前審査に参加する競技もある。そして、例年8月下旬に開催されるJapan決勝大会で優秀チームを選抜し、日本の代表チームとしてWRO国際大会に参加する。
中学や高校から、小学生は塾からの参加が多い
「選手2~3名にコーチ(18歳以上の大人)1名が1チームになります。中学校や高校のクラブや工業高校からの参加のほか、小学生の場合はプログラミング教室やロボット教室といった塾からの参加が圧倒的に多いです。また、国際大会の規定では、エレメンタリー、ジュニア、シニアの部という分類をしていますが、日本の小中高の年齢分けとは少しずれています。例えばシニア部門は19歳までなので、日本の大学1年生や高専4年生も参加可能です」
今年の決勝大会は富山県で開催され、170のチームが参加した。その結果、14チーム(選手とコーチを合わせて46名)が日本代表に決まり、トルコ国際大会に出場した。
続きは明日掲載の<後編>に掲載。
【WRO 2024 トルコ国際大会】日本からの入賞チーム(8位以内)一覧
◆ROBOMISSION…ミッションを攻略する自律型ロボットを製作し、その能力を競う部門
ジュニア部門(参加114チーム)
5位 Hot Chicken(群馬)
7位 AMICUS GIRLs(沖縄)
シニア部門(参加 104チーム)
1位 YTHS 2BY(愛媛)
3位 meiden(愛知)
6位 AMICUS R2K(沖縄)
◆ FUTURE INNOVATORS …テーマに沿ったロボットシステムを提案し発表をする部門
シニア部門(参加 49チーム)
7位 ULTRA S(静岡)
(取材・文/中山恵子)