昨日は、キャリア支援プログラムWillboostなどを提供する株式会社nucwatt(愛知県名古屋市)が、大学生から20・30代社会人の男女317人を対象に実施した「高校時代にやっておくとよいことに関する調査」をご紹介。1位は「好きなことを見つけて取り組む」で、2位「心から叶えたいと思う夢を持つ」、3位「友人や知り合いとの関係性を深める」が続いた。
「やっておくとよいこと」のランキング5位までは、各項の代表的な生の声も紹介されている。昨日から続き、4位と5位を見てみよう。
4位「具体的な目標を設定する」
- 目標がなければ行動があいまいになって結果も出ない。自分は高校時代に勉強で明確な目標を立てて努力し結果を出す経験があって、それが社会にでてかなり活きている。(社会人30代・男性)
- 理系の学部に進学したものの、その後弁護士になりたいと思ったことで、学部の勉強と法律の勉強の両方をする必要があり、労力もお金も大変だった。もっと早い段階で自分の人生をよく考えて目指すものを決めておけばよかったと思う。(社会人20代・男性)
- 高校生の時に与えられたことだけこなす生き方をしていて、専門学校を卒業した後、結局色々中途半端でニートになった。もう一度高校生に戻れるなら、具体的に将来を見据えて目標を立てて何かに取り組む。(社会人20代・女性)
- 親のいいなりやなんとなくで受験して失敗した。自分の時間を大切にするためにも、自分で調べて考えて目標を設定して取り組むことが大事。(大学院生・女性)
具体的な目標を設定することは、自分の行動に明確な指針をもたらし、努力が成果につながりやすくなる。そして、目標があることで、日々の選択や取り組むべき課題がはっきりし、計画的に行動できるため、結果的に目標達成への道筋が明確になるという意見が多くあった。
一方で、目標を持たずに漠然と過ごしたことで、行動が曖昧になり、後悔や挫折を経験してしまったという人もいた。早い段階で目標を設定し、それに向かって主体的に取り組むことが、将来の可能性を広げる大切なステップになりそうだ。
5位「部活に打ち込む」
- 高校時代の部活が社会人になってからの話のネタになったり、人脈を広げるきっかけになっている。社会人になってからの楽しみの一つにもなっている。(社会人30代・男性)
- 大学や社会人になってもサークルや同好会はあるが、最も夢中になれるのは高校の部活だと思う。やりすぎなくらいのめり込んでいいと思う。(社会人20代・女性)
- 部活は強豪校でとても厳しく遊ぶ暇もなかったが、それによって忍耐力や強い精神力が身につき、それが社会人になっても活きている。辛い仕事でもへこたれずに頑張れている。(社会人30代・女性)
- 部活をやるやらないは自由だが、部活で上下関係や人間関係を学んでいる人とそうでない人とでは、社会に出てからかなり大きな差になっていると感じる。思い出だけでなく人間形成においても大事。(社会人20代・女性)
高校時代に部活に打ち込むことは、単なる思い出作りにとどまらず、社会に出てからも多方面で役立つ重要な経験となる、という声が多くあった。また、部活を通じて培った忍耐力や精神力は、厳しい仕事を乗り越える力となり、上下関係や人間関係の学びは社会人生活でのコミュニケーションスキルやリーダーシップに繋がるという意見も。部活で得た仲間や経験は、社会人になってからの話題作りや人脈形成の土台となり、豊かな人間関係を築くうえでの大きな財産となるケースもあった。
好きなことや夢を基盤に置くことが、キャリア満足度を高める
アンケート結果に対し、調査を実施した株式会社nucwatt 代表取締役の野上琢磨(のがみ・たくま)氏は次のように考察する。
「本アンケート結果からわかるのは、大学生や社会人にとって『好きなことを見つけること』が非常に重要なテーマであり課題になっているということです。『好きなことを見つけて取り組む』が最も多く選ばれた理由は、単に楽しみを追求するだけではなく、好きなことが日々のモチベーションとなり、目標達成や成長の源泉となるからです。特に社会人にとっては、仕事が大きなウエイトを占める中で、自分の好きなことや夢を基盤に置くことが、キャリア満足度を高めるカギとなります。
また、『心から叶えたい夢を持つ』(92名)や『具体的な目標を設定する』(67名)といった項目も多く選ばれており、好きなことを見つけた後、その夢や目標に向かって着実に進むことが求められています。
多くの高校生にとって、高校生活の大部分は勉強と部活動です。目の前にある勉強と部活動に一生懸命取り組むことはもちろん大事なことですが、一度立ち止まって、自分の内面に目を向けて自己理解を深めることや、それを通して将来の夢や目標を考えることが大事です。
キャリア支援者や教育者は、単なる授業や部活の指導に限らず、個人が『好きなこと』や『夢』を軸に自分らしいキャリアを築くサポートを提供することが、彼らの長期的な幸福度を向上させるポイントと言えるでしょう」
Q,高校時代にやっておいた方がよかったと思うことは?
(取材・文/大友康子)