昨日は文化庁の2023年度「国語に関する世論調査」の結果の概要の中から、「言葉遣いに対する印象や慣用句等の理解」についてご紹介。「悲喜こもごも 」「悪運が強い」「煮え湯を飲まされる」「うがった見方をする」「失笑する」といった言葉のうち、「煮え湯を飲まされる」以外は、辞書等で本来の意味とされてきたものとは違う意味合いでの使用が多数派になっていることが明らかとなった。
本日も、調査結果の続きをご紹介しよう。
「間(かん)、髪(はつ)を入れず」が正しい使い方
「間髪を入れず」「綺羅星のごとく」「好事魔多し」という言葉について、それぞれ、(ア)と(イ)のどちらの言い方をするか尋ねた結果は下記の通り。
オレンジ色に着色したほうが主に辞書等で本来の言い方とされてきたものだが、すべて本来の言い方とされてきたものとは異なる方が多く選択されるという結果となった。
「綺羅星のごとく」は意味も誤って認識しているかも
ライター業を営む筆者も恥ずかしながら、「好事、魔、多し」が正解だろうな、と思う程度で、ほかはすっかり誤って認識していた。
しかも「綺羅星のごとく」は、例えば「綺羅星のごとく現れた新人」のように、「突然華やかに現れるさま」、つまり「彗星のごとく」と同義だと思っていた。しかし、実は全然意味も違って、「衣装や装束が立派である様」「能力の秀でた者や立派な者が、数多くそろっている様」をいうのだという。例文を作るならば、「綺羅星のごとく並ぶ、芸能界を代表する俳優たち」といった具合だ。
毎年この調査の発表を機に、自分を含めた多くの日本人が意味を誤って認識している熟語や慣用句の存在に気づかされ、大変興味深い。調査結果ではほかに、新しい意味や使い方が近年になって辞書に記載されるようになった7つの擬態語「さくっ」「もふもふ」「まったり」「がっつり」「きゅんきゅん」「ふわっ」「ごりごり」を使うことがあるかどうかの割合なども面白い。
ご興味あれば、文化庁の調査結果を「さくっ」とご覧になってはいかがだろうか。いやいや、お時間あれば、「がっつり」お読みになるのもおすすめです。
(取材・文/大友康子)