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就活・採用川柳ににじむ苦悩、おかしみ(前編)

「2025年卒 就活川柳・短歌」をチェック

働き方・採用・人材育成・マネジメントなどの領域で広く調査を実施している調査機関であるHR総研は、新卒就活生向けクチコミサイト「就活会議」と共催で、就活生を対象とした「2025年卒 就活川柳・短歌」と、採用担当者を対象とした「2025年卒 採用川柳・短歌」を募集。8月5日に入選作を決定し発表した。全27作品をチェックしよう。まず本日は就活川柳・短歌から、最優秀作、優秀作2作品、佳作11作品を見てみよう。

【2025年卒 就活川柳・短歌】 https://hr-souken.jp/senryu2025/

主催 HR総研(ProFuture株式会社)、「就活会議」(就活会議株式会社)
募集期間 2024年6月20日~7月1日
応募資格 2025年卒の「就活会議」会員
応募数 161作品
入選作品 14作品

就活時の心情をユーモラスに表す優秀作品

最優秀賞
「緊張は しておりません 2回噛む」(鹿児島県 からしーさん)
優秀作:

「面接で 直接言われた 内々定 お辞儀で隠す 綻ぶ口元」(千葉県 みやびーむさん)

面接では緊張もするだろうし、最終面接などでその場で内々定を告げられたら非常にうれしいだろう。面接で緊張していることを隠すつもりが、2回も噛んでしまい、かえって緊張を露呈してしまった姿も、内々定で口元が綻ぶ姿も微笑ましい。

「お祈りメール」をユーモアに変換し悔しさを昇華

優秀作:
「Excelで まとめる落ちた 企業名 ファイルの名前は 『信者リスト』」(大阪府 サラダ食べたいさん)

佳作:
「祈るのよ お祈りメール 来ないでと」(兵庫県 お猿のジョージさん)
「祈るなら せめて助言 添えとくれ」
(愛知県 片想い就活生さん)

不採用通知の「今後のご活躍をお祈りしております」という一文から発生した就活用語「お祈りメール」はすでに一般的にもかなり知れ渡ってきているが、就活生にとっては受け取るのがつらいもの。

上記の優秀作では「お祈りする=信者」として、不採用となった企業名を数え上げる姿が、つらさをユーモアにかえて次へ進もうとしているようで、応援したくなる。

佳作に詠まれている「お祈りメールが来ないように祈る」は就活生全員の姿。お祈りメールに不採用の理由が明記されることはないが、活躍を祈ってくれるならば、「今後の就活に役立つよう助言を添えてくれ」と思うのもさもありなん。その意味では助言ではないが、以前に紹介した、お祈りメールが他社への推薦に代わるサービスはなかなか面白い。

参考:就活生に朗報!「お祈りメール」が他社への推薦状に代わる(前編)(後編)

早期化による悲哀や、逆に影響なしの強みを詠む

佳作:
「就活は 早めにやらんで 大丈夫 言ってた友が 早期内定」
(大阪府 サラダ食べたいさん)
「早期化よ 蓋を開ければ 長期化よ」(京都府 てんてんさん)
「早期化で 後輩たちも 迫りくる」
(大阪府 みかんさん)
「早期化の 波に乗れずも 研究を 続けて得たのは 無敵のガクチカ」(東京都 tsukiさん)

2025年卒業予定の学生から正式に採用直結型のインターンシップが解禁されるなど、今年はこれまでにも増して採用の早期化傾向がみられた。よって早期化を詠んだものも多かった。

「早めにやらんで大丈夫」と言っていた友達の抜け駆けや、早く始めても早くは決まらず長期化する、決まらなぬうちに下の学年の就活が始まる悲哀などが詠まれている。早く始めずとも研究を続けて最強の「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)を得た、というのは理系学生の短歌だろう。さすがである。

盛りガクチカや就活を経ての成長を読む

「世の中に どんだけおんねん サークル長」(愛知県 まろたんさん)
「念願の 第一志望の インターン 何度もうかがう 教授の顔色」
(京都府 てんてんさん)
「承諾後 音沙汰がなく 不安だな」
(東京都 きょうかいさん)
「面接で 話す自分に 驚いて 成長感じる 就活の日々」
(熊本県 そういちさん)
「結果来ない 人事は仕事 しているの 苦痛の期間 落ちる志望度」(岡山県 ぴこさん)

その他の佳作5作品は上記の通り。

ガクチカでサークル活動を挙げる場合に、本当はそうでなかったとしても「サークル長」だったということにしてしまうケースもあるのだろう。2022年初夏の調査だが、4人に一人の学生が選考を有利にするために「自身のガクチカに事実と異なる内容を盛り込んだこと」があったという。

参考:就活調査(前編)来春卒業の大学生4人に1人が“盛りガクチカ”

面接で話す自分に自分自身で成長を感じた、というのも良い事柄だな~とつくづく思う。就活を続けて、そのレベルにまで達せられたら、選考にかなり通りやすくなるだろうし、実際に働き始めた際も良いスタートを切れるのではないだろうか。

明日は採用担当者を対象とした採用川柳・短歌を見てみよう。

(取材・文/大友康子)