文部科学省は2019年1月、2017年度の公立学校の施設における木材の利用状況を公表した。
調査対象は日本全国の幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校(※)、高等学校、中等教育学校(中高一貫教育校)、特別支援学校など。
2017年度に新しく建築された学校施設は886棟で、そのうち592棟(66.8%)が木材を使用していることがわかった。
このうち、木造施設は204棟(23.0%)、木造ではないが内装に木材を使用した施設(非木造、内装木質化)は388棟(43.8%)だった。
2017年度に新しく建築された学校施設
非木造 (うち内装木質化) |
682棟 (388棟) |
77.0% (43.8%) |
---|---|---|
木造 | 204棟 | 23.0% |
全事業 | 886棟 | 100.0% |
※文部科学省『公立学校施設における木材利用状況に関する調査結果』から。公立の幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校の計
文部科学省が進める「木の学校づくり先導事業」とは
文部科学省では2015年度から全国的な規模での学校施設の木材利用推進を目的に「木の学校づくり先導事業」を開始。木造3階建て以上の大規模な木造校舎などの整備で先導的な取り組みを行うものに対し、財政的な支援を行っている。
同省は学校施設の木材利用を推進する理由として「木材の柔らかで温かみのある感触や優れた調湿効果が、豊かで快適な学習環境を形成すること」、「森林の保全や地域の産業、地球環境問題などについて学習教材として活用できること」などをあげている。
また、各地域の木材や職人の技術活用により地場産業の活性化や地域文化の継承につながること、さらには地球温暖化防止など、さまざまなメリットがあるという。
同省ではこれまで学校施設に対して、木材を活用してもらうための手引書やパンフレットを作成し、配布を行ってきた。
2014年度には、全国の木材を利用した学校の中から、特色ある学校を紹介した『全国に広がる木の学校~木材利用の事例集~』を、2015年度には、木造3階建て校舎の整備を進める際に、施設整備に関わる事務職員などが理解できるよう、建築基準法改正の主なポイントをわかりやすく紹介した『木の学校づくり―木造3階建て校舎の手引-』を作成。
2017年度には、『エコスクール―環境を考慮した学校施設の整備推進-』というパンフレットを作成し、内装を木質化した学校を紹介している。
また1999年度から行政関係者などを対象とした「木材を活用した学校施設づくり講習会」を全国で実施しており、2018年度には宮城県、愛知県の2か所で開催した。
今後も、こうした講習会を開催し、木材を活用した学校づくりを普及させていく方針だという。
(取材/文:橘晶子)
※義務教育学校:小・中学校の義務教育9年間を一貫したカリキュラムで行う学校。2016年度から市区町村教育委員会などの判断で設置できるようになった。