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「小学校の理科」をお題に先生と教科書編集者がおしゃべりするポッドキャストとは?(前編)

異色番組の誕生秘話を編集長に聞いた

現役の小学校の先生2人と教科書編集者が、小学校の理科の教科書に沿っておしゃべりをする新たなポッドキャスト番組『おしゃべりな理科』が4月1日より配信されている(制作:東京書籍)。コンセプトは「先生による先生のためのポッドキャスト」で、教員に向けて語るスタイルをとっているが、理科の授業にまつわる体験談や雑談、“教員あるある”話、教科書制作の裏話などを3人が思いのままに語っていて、小学生の子を持つ保護者が聴いても楽しめる内容となっている。

パーソナリティは、木月里美教諭(きづき・さとみ/武蔵野市立小学校 主任教諭)、辻健教諭(つじ・たけし/筑波大学附属小学校 教諭)、森田雄介編集長(もりた・ゆうすけ/東京書籍株式会社 理科編集部)の3人。※トップ写真の左から、木月教諭、辻教諭、森田編集長

木月教諭と辻教諭は、東京書籍が発行する小学校理科用文部科学省検定済教科書『新編 新しい理科』の編集委員のメンバーで、同教科書の編集を森田編集長が担当している。“理科の教科書トーク”という異色ポッドキャストをなぜ始めようとしたのか、番組の裏側や思いを、森田編集長に聞いた。

森田雄介編集長

育休中のアイディアが形に

そもそも番組のアイディアはどのように出てきたのか。

「一昨年の暮れから今年の春にかけて、1年3ヵ月の育休を取ったんです。妻は産後半年で復職したので、後半9ヵ月は私がいわゆるワンオペ育児という状況で、家事や育児の合間に一人で過ごす時間が増えました。それで色々なポッドキャスト番組を聴き漁るようになり、自分も会社でやってみたいと思うようになって」と森田編集長は話す。

「教科書に沿っておしゃべりする、知的エンタメっぽい番組を先生方と一緒にできないかな、と考え、会社に企画を出しました。類似の番組が他になかったのも、モチベーションになりましたね。以前から教科書の編集でお世話になっている木月先生と辻先生にお声を掛けたら、すぐに乗ってくださったのです」と続ける。

収録は、先生方の仕事が終わった夜に、社内の録音スタジオで行っている。「初めての収録は、びっくりするくらいうまくいきました。先生方はやはり話のプロですね。3人で楽しくやっています」

物理、化学、生物、地学、幅広い内容が含まれる

小学校の理科の授業は3年生から始まるので、番組内では3~6年生までの教科書のどこかの単元を順次取り上げていくという。

「3年生の【春の生き物】から始まり、6年生の【物の燃え方】、4年生の【天気と気温】と続いたので、次は5年生ですね。小学校の理科では、物理、化学、生物、地学の4領域を代わる代わる学び、内容も多岐にわたります。4学年分の単元を1年間で網羅することはできないので、季節に合わせて学年や内容を散りばめながら、まずは2~3年くらいですべての内容を取り上げていきたいと思います。ポッドキャストは配信した番組がアーカイブ(保存)されていくので、来年度に3年生を受け持つ先生が、授業を行う前に今年の春に配信した【春の生き物】の回を聴いてみる、といった使い方もできるのではないかと思います。また、保護者の方にも聴いていただきたいですね。小学校の理科では意外と深いことをやっている、ということを知ってもらえると嬉しいです」

先生方の実体験を気軽に話してもらう番組づくり

番組づくりで苦心している点は、教科書が手元にない状態で聴いても、あるいは教科書を持っていない教員以外の人が聴いても、音声だけで内容を伝える点だという。

「まわりくどい説明になると退屈になってしまうので、そこは難しい点ですね。僕としては、木月先生と辻先生が実際に授業で語りかけている言葉や、それに対する子どもの発言や行動など、できるだけ具体的な体験を話してもらえように進行しています」

リスナーからの反響や番組の今後の展開については、明日掲載の(後編)でお伝えする。
(取材・文/中山恵子)

◆番組詳細情報
番組名:おしゃべりな理科
新エピソード配信日:毎週月曜、木曜の週2回
配信先(2024年4月1日時点):Spotify/Apple Podcasts/Google Podcasts/Amazon Music
企画協力/音響、SE製作:株式会社雑談
制作:東京書籍株式会社