少子化の影響で小学6年生が全国的に大きく減りつつある中で行われた2024年の入試ですが、中学受験者数は前年とさほど変わらず。私立や国立、公立中高一貫校の人気ぶりをあらためて示す結果になりました。
総括を中学受験に詳しい塾、日能研にお聞きしました。
関西&中国エリア(大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県・岡山県・広島県)
中学受験率が過去3番目の高さに
近畿2府4県(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県)の中学受験者数は17,312人となり、昨年より33名増加した。小学6年生の児童数が減少しているなかで、中学受験率(統一入試開始日の午前の受験者数÷近畿2府4県の小学6年生の児童数)は10.17%(昨年は10.01%)で、昨年に続き上昇し、過去3番目の高さになった。
男子は「強気の受験」が続く
コロナの影響も少なくしっかりと受験準備をすすめてきた学年となるため、昨年に引き続き、男子の難関校は「強気の受験」となった。志願者数は灘で1名増、甲陽学院で13名増、東大寺学園で3名増、洛星で27名増という結果になった。一方で、女子の難関校は神戸女学院で23名減、四天王寺で49名減となり、昨年の反動とみられている。
総志願者数が大幅に増加
受験者数の増加もあって、総志願者数は6万3,854名で昨年から976名増加した。これによって、1名あたりの平均出願数が3.69(昨年は3.64)となった。これは、午後入試が定着するなか、人気校の午後入試への参入が増えたことが影響していると思われる。初日から2日間で3回以上受験しているケースが多く、出願者数が増えても短期決戦であることは変わっていない。
全国区の灘中は引き続き人気
毎年全国から受験生が集まる灘の入試は昨年より志願者数が1名増加し、746名に。志願者数は2年連続で700名を超え、実質倍率も2.78倍と高水準を保った。首都圏からの志願者数は、昨年から13名増の175名となり、2020年からの増加傾向が続いている。全体では少し減少した関西では、唯一京都で増加し、昨年から7名増の39名となった。
際立つ共学・難関、高槻の人気
共学の難関校では、高槻の人気が依然際立っている。2017年の共学化・教育改革以降、志願者数は増え続けており、A日程では昨年対比で72名増の721名、B日程では昨年対比で103名増の1,473名となった。しっかりと学力をつけるカリキュラムに加え、先進性のある取り組みや充実した設備などが評価され、第一志望にする受験生が増えている。
得意科目を武器にできる新型入試
帝塚山学院では、得意教科型入試として、国・算2教科のうち得意科目の比重を変え得点の高いものを採用する方式が導入され、その影響もあって多くの志願者数となった。国語が得意であれば「国×2+算」、算数が得意であれば「算×2+国」、国算型であれば「(国+算)×1.5」というように得意科目を武器にでき、受験生に評判が良いため、今後は他校でも採用されるかもしない。
関関同立系列校の人気が高止まり
近年右肩上がりの人気を続けてきた大学附属校「関関同立」の系列校の志願者数が昨年に続いて横ばいとなった。高い人気を保ったままの足踏み状態と言える。統一入試日午前の系列11校の志願者数の合計は昨年対比15名の増加となった。大きく志願者数を伸ばした同志社(77名増)は、国算2科目の受けやすさが浸透した結果とみられ、特に京都府以外の受験生が増加している。
大阪の高校授業料無償化の影響!?
昨年に続き、特色ある教育や整った教育環境など私学らしさを感じつつも比較的軽めの受験対策で狙える学校が多くの志願者を集めた。その傾向が顕著だったのが大阪府。これは、府の高校授業料無償化での所得制限撤廃決定を機に、新たに中学から私学進学を考える家庭が増加した可能性があるとみられる。最も志願者数が増加したのが履正社で、前年比131.1%の392名だった。
制作協力/日能研関東、日能研関西、日能研東海
日能研HP: https://www.nichinoken.co.jp