勤務地やジョブ型雇用についての意識は?
昨日は株式会社インタツアーが2025~2027年卒業の学生を対象として実施した「『配属ガチャ』についての意識調査」の結果をチェックした。「内定式までに配属先を知りたい」学生が8割近くに上り、6割以上の学生が「配属先を知る時期が遅いと辞退を検討する」という実態が判明した。
そのような学生たちならば、勤務地についてもかなり重要視するだろうし、ジョブ型雇用にも関心が高いことだろう。本日はそのあたりの調査結果を見てみよう。
【「配属ガチャ」についての意識調査】
調査期間 | 株式会社インタツアー |
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調査対象者 | 2025~2027年卒の大学生 |
回答数 | 958名 |
調査方法 | リレーション採用プラットフォーム「インタツアー」マイページまたはSNS経由によるWebアンケート |
調査期間 | 2024年1月22~31日 |
4割の学生「希望の勤務地でなければ辞退」
勤務地についての考え方を質問すると、「希望の勤務地でなければ辞退する」が43%を占め、勤務地が入社企業選びの大きな軸の一つとなっていることが伺えた。
関連して、勤務地を限定できる「地域限定社員」について尋ねると、地域限定社員に「エントリーする可能性がある」30.1%、「興味がある」29.6%と前向きな反応が6割近くとなった。
その一方で「地域限定社員については知らない」と答えた学生も約2割存在し、こうした雇用制度についてはまだ認知が拡大している途上と考えられる。
ジョブ型雇用に関心がある学生5割超
「ジョブ型雇用」についてどう思うか聞いたところ、「ジョブ型雇用にエントリーする可能性がある」24.2%、「ジョブ型雇用に興味がある」30.6%となり、ジョブ型雇用について関心がある学生は5割を超えた。
一方、「ジョブ型雇用については知らない」と答えた学生も31.2%に上り、「地域限定社員」同様、学生の選択肢としてはいまだ拡大の途上であると考えられる。
まずは配属先で成果を上げることに注力を!
調査を行った株式会社インタツアーの代表取締役・作馬誠大(さくま・あきひろ)氏は調査結果を次のように総括する。
「調査結果からは『学生が配属先・配属地について強いこだわりや希望を持っている』ように見えますが、実際には『配属などがわからない不確定な状況に長く置かれる』ことに対する不安が強いのではないかと考えています。
近年は就活が早期化・長期化傾向になっており、早めに進路を決めたい、早く就活を終えたい、という傾向が強く見られます。そのため、内定承諾後も長期間配属先がわからないストレスに対して忌避感があるのではないでしょうか。
配属先や職種を明確にした募集を行うことができればベストですが、そこまでいかずとも配属先についての早めの打診や検討プロセスの開示など、学生に対するコミュニケーションを工夫することで『配属ガチャ』のショックを緩和することができるのではないかと思います。
一方、新入社員が納得がいかない配属を通知された場合、まずはその配属先で成果を上げることに力を注いだ方が得策だと考えます。その理由としては、自分自身のキャリア形成への影響です。人事側にも配属に意図があります。個人の能力やポテンシャルなどをもとに、今までの実績から最も社内で活躍できると思われる配置を想定して決めています。自分自身の希望は、実業務の経験値ではなく、社員から話を聞いた中でのイメージでしかありません。そのため、効果的な配属になる確率は、人事側の配属の方が高いと思われます。また、転属願いや転職はリスクも伴います。少なくとも『希望が通らなかったから、すぐに仕事を変える』という行動は、本人の”甘え”を少なからず印象付けてしまうでしょう。それでは、転職活動もうまくいかず、キャリア形成ができません。
今のやりたいことや理想は持っていても、それに縛られず色々な経験を積むことが大切です。キャリア理論の中に、キャリアの80%は偶然の出来事から創られるというものがあります。目の前の仕事に主体的に取り組む過程でキャリアが形成され、新たなやりたいことが見えてくる。そう考えると、配属ガチャは一見、配属によりすべてが決まってしまうような印象を受けがちですが、自分自身にとってもその配属をどう”当たり”にするかを重要視して仕事に取り組むことが必要ではないでしょうか」
(取材・文/大友康子)