親子で話し合い、帰国後を見据えて中学受験の勉強を始めたものの、子どものやる気が最近減ってきている……。実はこれ、とてもよくある話だそう。数多くの受験生や保護者にアドバイスをしてきた専門家に防止・対処法を伺いました。
自分で志望校を決めさせる
中学受験は何かと保護者主導で動きがちで、子ども自身が主人公になっていないことが多い。しかしそれでは子どもが「勉強をやらされている」気持ちになり、やる気も落ちてしまう。それを避けるには、なるべく早く子どもの意思で志望校を決め、入学後のイメージを膨らませるよう手助けするのが◎だ。おすすめの方法は、家族会議を開き、「制服がかわいい」「校則が厳しくない」など子どもの希望を吸い上げ、「それならこの学校がいいだろう」と親子で志望動機を一致させること。入学後のイメージを持てていない子は受験直前でもなかなか気合が入らないケースがある一方、自分の意思で学校を決めた自覚のある子はやる気を保つことはもちろん、実際の面接試験にも自信を持って臨めるはずだ。加えて、志望校を早めに決めておくことで、帰国生入試でありがちな急な選考方法の変化にも、いち早く対応できる。
一時帰国を利用して学校見学
子ども自身が自分の意思で学校を決める際は、学校ホームページの閲覧やオンライン説明会への参加だけでなく、実際に学校へ行って肌で感じさせてあげたい。見学をして「この学校に入りたい」と思えたら、子どもの勉強へのモチベーションはぐっと上がる。見学のスケジュールは小5の夏休みに第1志望校を実地見学しておき、6年生の夏は併願校を決定するための見学にあてるといいと言う。その際、直線距離で近いと思っていたら乗り換えが大変で遠かった、ということもあるので、通学路のチェックも忘れずに。
小さな学習目標を設定する
受験が目前に迫る6年生はともかく、5年生以下は受験がまだ先で、やる気が低迷する時期もあるという。そこで活用したいのは、英検や漢字検定など資格試験の合格を目指すこと。目標が近くなってやる気が出るうえ、合格した場合は嬉しさからさらにモチベーションが上がるはずだ。このほか、週ごとにミニテストをしていくのもいいとのこと。家庭内でのやり方は、問題集の範囲を決めて「何%クリアしたらご褒美」というようにゲーム要素を取り入れると、やる気を保ち続けやすいという。
環境&タイムマネジメント
子どものやる気は適切な環境とタイムマネジメントに相関関係がある。環境面では、個室でサボりがちになる子はリビング学習がお勧め。その場合、家族もテレビなどリビングで音のでるものの使用は我慢しよう。塾に通っているなら自習室利用を。頑張っている同級生の様子が刺激になるからだ。また、弟妹がいる場合、夏休みの数日間や入試直前など一定期間、弟妹を実家で預かってもらうのもおすすめだという。勉強に集中できるし、冬ならば外から風邪を持ち込んでくる確率も減少する。親を独占できることで嬉しい気持ちも生まれ、勉強に身が入ることが期待できる。タイムマネジメント面では、23時就寝6時起床で、少し勉強してから学校に行くのが理想。記憶の定着が図れ、一定のリズムで生活することが子どものやる気継続に有効だからだ。
お話を伺った方
株式会社アイウエア JOBA海外・帰国生プログラム
須藤聡美(すとう・さとみ)氏
JOBAにて海外生・帰国生のサポートに携わる。帰国子女入試に関する教育相談やオンライン授業などの情報はhttp://www.joba.jp