悩んだことはある?ない?帰国生たちの2択
様々な項目についてシンプルに「悩んだことがあるか、ないか」を聞きました。帰国生の答えを%で示し、コメントもあわせて紹介していきます。
宿題について悩んだことは?
ある 50.2%
- 部活後の宿題はハード。TYさん(カナダ6~8年、中2男子)
- そもそも日本語が分からなかったから時間がかかった。HFさん(香港ほか4~6年、高3女子)
- 海外では授業後に宿題の時間があり、みんなでやった。日本では勝手が違う。MWさん(アラブ首長国連邦2~4年、高3女子)
- 中学受験の塾の宿題と公立小の宿題の両立が大変だった。MSさん(中国8~10年、高3女子)
- 考えることより忍耐や我慢強さが必要な宿題が多い。MKさん(フランス2~4年、高3女子)
- 「国語」は得意なのに、帰国生向けだという簡単な課題を出されたことがあってイヤだった。YKさん(アメリカ4~6年、高1女子)
ない 49.8%
- 日本人学校で宿題に慣れていたので抵抗なし。CTさん(タイ10年以上、高3女子)
- 海外でも同じくらい宿題が出されていた。AHさん(ハンガリーほか10年以上、中2女子)
- 適量。YYさん(ブラジル1~2年、高3男子)
- 勉強は好きだから、まったく問題ない。HKさん(中国4~6年、中3男子)
- 宿題を毎日のルーティンに組み込んで、特に疑問を抱くことなくやっている。RMさん(アメリカ4~6年、中1男子)
- 調べものの宿題では知識を深められてありがたい。MHさん(アメリカ2~4年、中1女子)
- 父や姉がいろいろと教えてくれて楽しい時間になるから、むしろ宿題は好き。NKさん(インドネシアほか6~8年、中2女子)
部活について悩んだことは?
ある 39.8%
- アメリカのクラブ活動のノリでバレー部に入ったら、とても厳しくてびっくり。YNさん(アメリカ10年以上、中3女子)
- 途中入部したが、すでに仲のいいメンバーの輪に入るのが大変だった。AFさん(中国6~8年、高3女子)
- 運動推薦組に勝てない。HHさん(イギリス6~8年、高1男子)
- 夏休みにも部活あり。家族旅行より優先という感覚がきつい。Mさん(中国8~10年、中2女子)
- “叱って伸ばす”がイヤ。NIさん(ドイツ6~8年、中2女子)
- 顧問の先生は個々の技術よりも年功序列を重んじる。先輩方は無条件でコンクールに出場決定…納得できない。HNさん(フランスほか4~6年、高1男子)
どんなことで悩んだ?※複数選択可
先輩や後輩との関係・・・・・・・・・・・・41.2%
活動日数・時間の多さ・・・・・・・・・・・40.5%
練習の厳しさ・・・・・・・・・・・・・・・32.7%
顧問の先生との関係・・・・・・・・・・・・21.6%
目標の高さ(または低さ)・・・・・・・・・16.3%
独自のルール・・・・・・・・・・・・・・・13.7%
日本のようにはっきりした上下関係はなかったという国・地域が多く、「先輩や後輩との関係」に戸惑った帰国生が最多。「先輩が注意ばかりしてくる」「先輩への敬語に慣れない」「後輩に敬語を使われるとドギマギしてしまう」といった意見が散見された。
ない 60.2%
- 私の部活は適度な日数と時間なので勉強と両立しやすい。同じ趣味の子と集まれて最高♪ MMさん(タイ2~4年、中2女子)
- 海外では週3、今は毎日部活。思い切り打ち込める。SSさん(ベトナム4~6年、高1女子)
- 部活中にみんなと語ったり遊んだりするのも楽しい。“青春してる!”と感じる LJさん(カナダ4~6年、中3女子)
- 先輩が強くて憧れる。MMさん(アメリカ2~4年、中1女子)
- 環境が整っている。海外で通ったインターにはテニスコートがなかったので。STさん(シンガポール10年以上、高1女子)
- 部活の合宿でしたケンカをきっかけに、仲間に心を開けた。MKさん(タイ6~8年、高1女子)
放課後の過ごし方について悩んだことは?
ある 24.5%
- どう過ごしていいかが分からない。海外では親が迎えに来てみんなとすぐ別れていたから「放課後」という概念がなかった。SHさん(アメリカ2~4年、中1男子)
- 家が遠く宿題も多いため、まだ充実した放課後を過ごせてない。KYさん(ドイツ4~6年、中1女子)
- 塾があり、夕食もひとり。RAさん(フランス4~6年、高2女子)
- コロナ禍では友だちを遊びに誘っていいのか分からなかった。MMさん(タイ2~4年、中2女子)
- 日本の友だちはお金をどんどん使うので、ついていけないときがある。ゲームの課金など…。MHさん(アメリカ8~10年、中1男子)
- 「公園でボールを使っちゃいけない」など禁止事項が多い。LCさん(アメリカ2~4年、中2男子)
ない 75.5%
- 海外では放課後に友だちと遊んだり気軽に図書館に行ったりすることがなかった。日本ではそれができて嬉しい。RJさん(シンガポールほか2~4年、中1男子)
- 空気がきれいで感動する。外でのびのび遊べて幸せ。NSさん(中国1~2年、中1男子)
- 小6の頃、塾は休日だけで平日の放課後は自由だった。MYさん(シンガポール4~6年、中1女子)
- 部活のある日は全力で部活に打ち込み、ない日は全力で遊ぶ。メリハリのある放課後の過ごし方ができていて満足。TDさん(フランスほか2~4年、中2男子)
- クラスメイトと学校に残り、お菓子を食べながら自習をする時間はワクワクする。STさん(アメリカ1~2年、高3男子)
- 子どもたちだけで友だちの家に遊びに行ったりできて、とっても楽しい。SGさん(ヨルダン2~4年、小6女子)
帰国後の家族との関係で悩んだことは?
ある 19.4%
- 両親は今も海外で暮らしているので、なかなか会えない。SYさん(アメリカ4~6年、高1男子)
- 帰国時期をもっと早くに言ってほしかった。しばらくもめた。RKさん(アメリカ2~4年、高3女子)
- 慣れないことやつらいこともあって、家族にイライラをぶつけてしまった。YSさん(イタリアほか4~6年、高1女子)
- 父親が私の英語力維持のために、張り切りすぎている。YTさん(中国2~4年、中1女子)
- 「日本語の勉強を最優先に」と親に言われるのが苦痛。NEさん(イギリスほか8~10年、中2女子)
- 帰国後、妹が保健室登校に。姉の自分は親に負担をかけないようにと大丈夫なフリをしていた。HFさん(アメリカ4~6年、高3女子)
ない 80.6%
- 度重なる引っ越しで「家族はチーム」「何事も家族みんなで乗り越える」という意識が強くなった。特に弟のことは戦友のように思っている。RHさん(アメリカ6~8年、中1女子)
- 親も環境が変わって大変だと思うけれど、常に私のことを考えてくれていると感じる。衝突することもよくあるが、一番の理解者は確実に両親。HSさん(アメリカ2~4年、高1女子)
- 海外育ちなので、海外でも帰国後も、家族がすべて。困ったときはいつも話をして助け合う。HSさん(タイ10年以上、高2男子)
- 進路に関して親の希望と僕の希望にギャップがあったが、最後は僕の希望が叶うようにしてくれた。NMさん(中国6~8年、高3男子)
- 私は家族がこの世で一番好き。NKさん(インドネシアほか6~8年、中2女子)
家族への「ありがとう」メッセージ
- 海外に連れて行ってくれてありがとう。おかげで、自分を持つことの大切さや英語を通して新しい友だちを作っていく楽しさ、多様性を尊重することの意味を知れました。SNさん(アメリカ2~4年、高2女子)
- 弁当、うまかった。SYさん(中国2~4年、高1男子)
- 帰国後も英語を話せる環境に置いてくれてありがとう。いつも発音がキレイと言われるよ。MAさん(アメリカ4~6年、高2男子)
- 悩んでいるときに励ましてくれて、立ち上がれたことが何度もあります。ありがとう! YSさん(シンガポール6~8年、中3女子)
- 伝えたいことをうまく言葉にできなくて、すれ違ってしまうことがよくある。でも本当はいつも感謝しています。KMさん(アメリカ4~6年、高2女子)
悩んだ帰国生最多|宿題、保護者は帰国後にどうフォローする?
楽しさや達成感を味わえる工夫を取り入れてみよう
例えば、漢字習得が該当学年に追いついてもいないのに、該当学年の漢字練習の宿題が次々と出される――当事者ならうんざりしてしまいそうな状況だが、「保護者の協力があれば子どもの気持ちは前向きになる」と教育研究家の石田氏は話す。
「この場合は、覚えられていない漢字のある学年と該当学年の漢字の一覧表を壁に貼り、1つ覚えるたび赤で消していく方法がおすすめです。お子さんはゲーム感覚で楽しさも達成感も味わえます」(石田氏)。
また、宿題をするにあたり「分からないところは聞けばいい」と「聞く」ハードルを下げておくことも大切だそう。「『聞く』という意識の薄い子や、意識はあってもプライドが邪魔してできない子は意外と多いです。『聞く』メリットを教えてあげてください」(石田氏)。
お話を伺った方
教育研究家教育デザインラボ代表理事
石田勝紀(いしだ・かつのり)氏
学習塾にて5万人以上を指導。勉強嫌いの子をなくそうと、カフェスタイルの勉強会「Mama Café」ほか様々な活動をする。書籍は25冊出版。
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取材・文/帰国便利帳編集部・庭野真実 イラスト/Okuta