帰国後の我が子に寄り添うヒントは、海外から日本に帰った帰国生の経験談のなかにあるはず。そこで今回は日本に住む帰国生812人に、あえて匿名で、日本での学校生活に関するアンケートに答えてもらいました。「海外から帰国したら、○○に悩み、□□には悩まないはず」といった大人の思い込みや先入観を覆す本音も数多くありました。
アンケートに答えてくれた帰国生たちのプロフィール
有効回答数 | 812人(男子378人、女子421人、性別回答なし13人) |
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対象者 | 現在、小学生・中学生・高校生の帰国生(詳細は次の6つのグラフ) |
調査期間・方法 | 2023年6〜7月、Webまたは記入式アンケート |
Q1|ズバリ、日本の学校生活は楽しい?
楽しい 92.5% | 楽しくない 7.5%
- 新しい友達もできて思いっきり勉強して”青春”できている。MYさん(シンガポール 4~6年、中1女子)
- 友だちに価値観の近い子が多くて嬉しい。THさん(カナダ 6~8年、高2女子)
- 部活が最高! NIさん(アメリカ 1~2年、中2男子)
- 文化祭、体育祭などの行事が楽しすぎる。THさん(タイ 8~10年、高2女子)
- 何でも親身になって相談に乗ってくれる先生に感謝。YKさん(アメリカ 4~6年、高1女子)
Q2|日本で暮らす今、帰国生である自分は好き?
好き 94.4% | 好きではない 5.6%
- 日米ダブルカルチャーの考え方が身についたから。RKさん(アメリカ 2~4年、高3女子)
- 海外生活で性格が明るくなったから。TBさん(ニカラグア 2~4年、高1性別無回答)
- 多様性を学んだので、自分も含めて、みんなが素晴らしいのだと思える。AKさん(オーストラリア 4~6年、高3女子)
- 英語を活用して海外の人々と交流できる自分を、日本と世界の架け橋のように感じる。STさん(アメリカ 2~4年、高1女子)
今の学校生活や自分自身に肯定的である一方で…
帰国生812名に、日本の学校に在学している現時点でのことを尋ねた上の2つの質問。
Q1のコメントには「友だち」「青春」「部活」などのキーワードが目立ったが、そのほかで印象深かったのが「日本はホームだと感じる」「ようやく地に足がついた感じがする」など、日本に帰国して通学していることに対する安心感がにじみ出る言葉だった。
またQ2には、「海外生活を通して身も心もたくましくなった」「視野が広がった」「自分に自信が持てるようになった」など、自身の成長を誇るコメントが理由として多く寄せられた。
こうして現在の学校生活や自身に肯定的な気持ちを抱く帰国生が90%を超える結果となったのは喜ばしいこと。ただ、アンケートの結果を日本での学校生活のシチュエーション毎に細かく見ていくと、様相は少し異なる。肯定的な声が多くある一方で、葛藤した経験談も多く見られたのだ。
次からは、双方の具体的な内容を紹介していく。
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取材・文/帰国便利帳編集部・庭野真実 イラスト/Okuta