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「不登校に関する調査」、親子の世代間で大きな違い(後編)

自分の子どもが不登校になったら?

昨日は、通信制高校・サポート校を探せる資料請求サイト「Go通信制高校」を運営する株式会社プレマシード(東京都渋谷区)が親世代と子世代に対して行った「不登校に関する調査」をチェック。親世代の頃より現在は不登校への理解が深まり、不登校という選択をしやすく、相談しやすい環境になったということが読み取れた。

本日も同アンケートの続きで、「もし自分の子どもが不登校になったら、家族として何ができるのか」をテーマにした調査の結果を見ていこう。昨日同様、親世代と子世代を対象に調査したが、今回は世代別でなく自身の不登校経験の有無別で集計を行った。それにより、子どもが不登校になった際に「家族にしてほしいこと、すべきこと」が多少なりとも見える結果となった。

【「不登校に関するアンケート」調査概要】

調査の方法 インターネット調査
調査機関 株式会社プレマシード
調査の対象 全国の10歳~29歳の男女300名、40歳~59歳の男女300名(子世代なども「自分に子どもがいると仮定して」回答)
有効回答数 600名
調査実施日 2023年6月3~5日

半数以上が「ゆっくり過ごすことを勧める」

「もしお子さまが不登校になった場合、家族として何をするか」を聞くと、最も多い回答は「ゆっくり過ごすことを勧める」56.5%となった。とくに不登校経験者は63.8%が回答。自身が求めていたことなのだろうと思われる。

不登校経験の有無でポイント差が大きかった(経験者がより多く回答した)項目は「家庭内のストレス要因を取り除く」「カウンセリングを受ける」「教育機関と連携し支援を受ける」となっている。

「学校だけが学習場所」ではない

「もし子どもが不登校になった場合、どのような進路・学習方法を勧めるか」を聞くと、「自宅での学習」が最も多く45.2%。次いで「フリースクールや通信制高校など」と続く結果となった。「フリースクールや通信制高校など」は不登校の経験の有無にかかわらず高い結果となっており、全日制の学校に通う以外の選択肢を持ちやすくなっているようだ。

不登校を「教室内の人」には相談しにくい

「もし子どもが不登校になった場合、誰に相談するか」を聞くと、最も多い回答は「カウンセラー」34.3%。次いで、「母親」「学校の先生」と続いた。不登校経験者は家族を含め、多くの選択肢で高い数値となった。

逆に不登校経験のない人のほうが多く答えたのが「学校の先生」や「友人・知人」。不登校になるということは、主に「教室で過ごす時間に問題がある」ということ。そのため、経験者は教室内で問題を抱えていることを自分の担任やクラスメイトには相談しにくかったのだ。カウンセラーや保健室の先生に相談する割合が高いのも、教室以外の学校関係者に助けを求めたからだろう。

一般的な進学・学校以外の選択肢が有効

「お子さまが一般的な進学以外(進学せずに就職・通信制高校への入学・転入することなど)を選択したとしても、お子さまの意見を尊重するか」と聞くと、全体では82.5%が「はい」と回答。不登校経験者は93.7%が「はい」と回答した。

不登校を社会全体で支える仕組みづくりを

調査結果に対し、株式会社プレマシード代表取締役・岩田彰人氏は次のよう総括する。

「不登校が悪いことと捉えられず、自分らしい学び方や多様性を肯定する流れになっているのは喜ばしいことです。

誰もが不登校になる可能性があるのなら、不登校になっても本人や家族だけが悩みを抱えるのではなく、第三者が積極的に介入して改善を図る体制をつくらなければなりません。日本では、保健室登校やサポート校の認知度もまだまだ不十分なので、いまある制度や環境をこれまで以上に周知していくと共に、社会全体で支えていける仕組みづくりが求められているのではないでしょうか」

(取材・文/大友康子)