昨日は、公益財団法人山田進太郎D&I財団による「STEM(理系)女子奨学助成金」について、アンバサダーのコメントを中心に紹介した。
続いて今日も、もう一人のアンバサダーのコメントなどを紹介しよう。
ブラジルの大学医学部
血管薬理学研究室で研究留学中
N・Hさん(21歳)
――どのようなきっかけでアンバサダーに就任されましたか?
自身が高校生の時に感じた理系の面白さや、女子の理系進学に対するギャップをもとに、「周囲から理系進学を応援されずに悩む女子中高生の背中を押したい」と思い、アンバサダーに応募しました。
大学の研究室は、実験器具がそろい、自分の研究に誇りと好奇心を持って向き合う方ばかりで、胸が高鳴ったことをよく覚えています。
大学での学びは、「女子だから」「入試の理系科目が苦手だから」という高校生の時の懸念とは、かけ離れたところにあり、どの学生も等しく自ら自分の興味があることにチャレンジできる環境があると感じます。
――アンバサダーとしてどのような活動をされましたか?
毎月の中高生やその保護者向けオンライン座談会の企画・運営、財団SNSでの中高生の質問への回答投稿、理系進学の様々な障壁についての学生アンバサダー討論の企画などです。
活動を通して実感したのは、中高生の悩みは受験の勉強法、入試科目の得意不得意、経済的困窮、男女比の偏りへの不安、そもそも自分が何に興味があるのか分からない……など多岐にわたっており、必要なアドバイス、解決に向けたアプローチも様々だということです。
そこで、毎月のオンライン座談会では、アンバサダーそれぞれの専攻や経験を生かし、毎回決めたテーマに合わせ、より深くアドバイスを提供できるように心がけていました。
――学生や保護者の方へのメッセージ
現在、白人と黒人と黄色人が共存して暮らすブラジルで医科学分野の研究留学をしています。実験は多くの条件検討を必要とし、時に失敗の繰り返しですが、研究室の皆は失敗を「次こそ成功できそう!」と前向きで、ポジティブな気持ちで捉えています。
ブラジル人の陽気なイメージのとおり、実験の合間にコーヒー片手によく会話し、冗談を言って笑い合ったり、人目をはばからず歌ったりする姿もよく目にします。
また、そんなブラジル人は日本人と比べ、分類や属性に縛られず、人それぞれ自分の人生を楽しんでいるように見えます。
「女の子なのに理系に進学するなんて」「数学が苦手なくせに理工学部を受験するの?」といった台詞は日本では聞きがちですが、ブラジル人は属性で自分の考えを狭めることなく、堂々と自分の好きなほうを選ぶのではないでしょうか。
進路に悩む皆さんも、ブラジル人のように臆することなくポジティブな気持ちで、堂々と、自分がワクワクできるほうを選択してみてください。
スローガンは「好きなことをやろう!」
最後に、財団のマーケティング・広報担当、大洲早生李さんが、学生や保護者の方へメッセージを寄せてくれた。
「皆さんにはさまざまな可能性が広がっています。
私自身も4児の母でもあり普段から感じていますが、彼・彼女らは未来への可能性のかたまりです。
財団では「好きなことをやろう!」をスローガンとして掲げているのですが、まずは皆さんが多様なテーマに対して興味を持ち「主体性を持って」チャレンジできる環境をいろいろな形で準備できると良いかもしれません。
もちろん新たなことへのチャレンジには勇気が必要です。
こんなことできるのかなと不安に思うのは、皆さんだけでなく保護者の方も同じかもしれません。
でも、皆さんは失敗を恐れることなく、そして保護者の方は一歩踏み出す後押しをそっとしてあげられるといいですね。
私が以前住んでいた米国の西海岸、アップルやGoogle等の名だたるテクノロジー企業が軒を連ねるシリコンバレーでは、“Fail fast”という言葉をよく聞きます。
「誰よりも早く、多く失敗しなさい」という意味なのですが、まさにこの部分が日本では欠けているところだと感じることが多くあります。
失敗からはたくさんの学びがあり、その回数が多ければ多いほど、未来がより楽しくなるでしょう。
財団では、STEM(理系)分野で大学進学する女子学生を特に応援しています。
STEM教育の本質は、科学技術やIT分野に触れることで、主体的に自ら学び、自ら理解していく自律性や創造性、判断力、問題解決能力といった21世紀を生き抜くために必要なスキル(21世紀型スキル)を高めることにあると言われています。
私たちはこのスキルを身につけることが不確実性の高い未来を生き抜くための大きな助けになると考えていて、だからこそ、皆さんがSTEMへの一歩を踏み出すきっかけ作りや支援に力を入れています。
ぜひ財団の活動にご興味がございましたら、イベント等を随時行なっておりますので、ウェブサイトなどを覗いてみてください。
皆さんの未来への飛躍を心から応援しています。」
「STEM(理系)女子奨学助成金」に興味を持った人は、こちら。
(取材・文/小野眞由子)