Case.3 付属中高×大学
大学研究室や医療現場を体験し大学での学びに繋げる
「東邦大学付属東邦中学校・高等学校」は、大学研究室での体験などを通し、中高の学びとの関連性を知り、学問研究の本質の理解に繋げている。
大学研究室の実験で学問の本質を学ぶ
「東邦大学付属東邦中学校・高等学校」(千葉県習志野市)では「東邦大学」を中心とした連携による「学問体験講座」を実施している。
この講座は中学・高校の希望者が同校に隣接する「東邦大学理学部・薬学部」の大学や大学院の研究室などで実験・実習を体験するもの。
テーマによって他大学の講師も招いているという。
「今、中学・高校で学んでいることが大学の研究にどう関連するのか、その研究がどんな社会貢献に繋がるかを知る機会と捉えています」と広報部長の上野唯一(うえの・ゆういち)氏は説明する。
その講座内容は専門的だ。
例えば「ロボットを作ってみよう」という講座では、ある課題を自ら判断し実行するロボットを作り、それを操作するプログラミングを行う。
このほかにも「放射線の測定」「偏光を使った万華鏡を作る」「解熱鎮痛剤の合成」と、テーマは多岐に渡る。
「”学問とは何か”を理解してもらうことも講座の目的の一つです。知識を生かして実践したり、何を解決すべきかを自分で探すという、学問・研究の本質を知る場でもあります」(上野氏)
大学付属病院で外科手術を模擬体験
医学部への進学率が高い同校では、高校1年生を対象に「東邦大学医療センター佐倉病院」で外科手術を模擬体験する「ブラックジャックセミナー」を開催する。
セミナーでは医学部のインターン生が実際に行う縫合練習やシミュレーターを使った臓器切除などを行う。
最新の医療機器を備える現場での実習は、医学部や病院を有する大学の付属校ならでは。生徒は、実際に医療現場で働く人の話を聞きながら、医療チームの一人としてセミナーに参加する、いわば、職業体験の場にもなっているのだ。
「大学での体験は、将来を考えることにも繋がります。医学部を目指す生徒なら、どんな医師になりたいか、専門分野は何にするかなどを考えるきっかけになる。生徒たちが目的意識をもって進路を考える一助になればと考えています」(上野氏)
※ブラックジャックセミナー…製薬・医療機器メーカーの「ジョンソンアンドジョンソン」が、医師不足解消を目的に行っている社会貢献活動で、日本全国の医療現場で医学に直接触れる機会を学生や子どもたちに提供している
大学病院で外科手術を体験する
実際に医療現場で働いている医師の方々から、普段は体験できないような技術を教えてもらった。(高1女子)
医師にならないと使えない道具に触れられたうえに、AEDなどの生活に役立つ知識も身に付けられた。(高1女子)
抽象的だった医師のイメージが具体的になり、より(医師に)なりたいという気持ちやモチベーションが上がった。(高1男子)
外科医の方たちはとても話しやすい雰囲気で、疑問があればすぐに聞くことができ、いろいろなことを吸収できた。(高1男子)