教員の過酷な労働環境、どれくらいの保護者が知っている?
教員たちの長時間労働が浮き彫りとなったことで、「働き方改革」が推し進められている日本の教育現場。 改革の一環として、部活動を学校内ではなく地域のスポーツクラブや民間事業者などに移行する取り組み(参考:弊サイト過去記事)や、児童・生徒の悩みを受け止める専門職スクールカウンセラーの導入などさまざまな取り組みがおこなわれているが、保護者は「教員の働き方」をどのように見ているのだろうか?
塾や習い事に関する総合情報サイト「テラコヤプラス by Ameba」は、全国の小学生の保護者500人に対して「教員の働き方」について調査を行った。今日と明日とで見ていこう。
【「教員の働き方」調査概要】
調査期間 | 2023年3月31日~2023年4月14日 |
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調査機関 | 自社 |
調査対象 | 全国の小学生の保護者500人 |
調査方法 | インターネット |
約8割の保護者「教員は忙しそう」と実感
保護者に教員は忙しそうだと感じているかどうか尋ねてみたところ、「とてもそう思う」(34.4%)、「そう思う」(48.4%)を合わせて約8割(82.8%)が、教員は忙しそうだと感じていた。
そう思う理由はどこにあると思うか尋ねたところ、「保護者への対応」が25.4%でもっとも多く、続いて「授業以外の事務仕事」(22.2%)「生徒の個別対応」(13.3%)となった。生の声として、下記のようなエピソードも寄せられた。
- 毎日のように遅い時間まで職員室の電気がついているのに、土曜日曜も部活動で出勤されているのでちゃんと休めているのか心配になります。 (小学2年生の保護者)
- 不安なことがあり学校での様子を聞きたかったが、子どもから「先生、給食を食べる時間に宿題の丸付けしたり、連絡帳のチェックしたりしてるんだよ」と言われ聞くのをやめた。(小学2年生の保護者)
- 子どもが「お腹が痛い」などと月1くらいで早退してくるので、クラスで何かないか相談したいと思いました。しかし、担任が体育の授業中に意識を失って倒れたので、負担になるかと思い相談をやめました。(小学6年生の保護者)
- 電話をかけていただくときにとても恐縮されていて、こちらが申し訳なく感じるほどでした。(小学5年生の保護者)
教員に期待「思いやりの心を育てること」
保護者も痛烈に感じている「教員の忙しさ」、それでも授業以外で先生に力を尽くしてほしい、と思ってしまうことは何だろうか?
授業以外で教員に期待していることとして約5割(49.8%)の保護者が「集団生活における思いやりの心を育てること」と答えた。思いやりの心とは、友だち同士の交友関係だけにとどまらず、異なる意見をもつ相手を尊重することなど多岐に渡っている。
「すべての業務を教員が継続」肯定が約4割!?
反対に、保護者が「教員がしなくてもいいのではと感じている業務」のトップは「部活やクラブ活動の指導」(28.4%)だった。
ただ、「特になし」という回答も約4割(41.4%)あり、今あるすべての業務を教員が継続して行ってもよいと感じている保護者も少なからずいるようだ。教員の働き方改革には、多かれ少なかれ保護者の理解も必要になるはずで、調査担当者は「学校側も保護者側へ理解を促すためにもう一歩踏みこむことが必要かもしれません」という。
明日も調査結果の続きを見てみよう。
(取材・文/大友康子)