「食からさまざまな課題を解決して元気な社会を創造する」ことを理念に掲げる一般社団法人 日本健康食育協会は、全国720人の受験生の子どもを持つ母親(35歳以上60歳未満)を対象にした「受験生の朝食」についての調査結果を発表した。
7割以上が朝食は毎朝食べると回答
受験生の子どもを持つ母親に「受験生のお子さんは朝食を摂りますか?」と尋ねたところ、7割以上が「毎朝摂る」と回答した。
続いて、頻度は問わず「朝食を摂っている」と回答した母親に「受験生のお子さんの朝食の主食は何か?」と尋ねたところ、「お米(ごはん)」が最多となり、パン、菓子パンがそれに続いた。
また、母親全員に「受験前日・当日、受験生のお子さんに朝食を食べさせるか?」と尋ねたところ、8割以上が「前日も当日も食べさせる」と回答した。
「集中力を高める朝食」については、半数以上が「知らない」と回答
しかし、「受験前日・当日に食べると、集中力が高まる朝食があることを知っているか?」の問いに対しては、半数以上が「知らない」と回答した。
以上の結果について、お米先生こと一般社団法人 日本健康食育協会代表理事の柏原ゆきよさんが「朝食を摂るメリットやおすすめの朝食」についてアドバイスを寄せた。
「今回の意識調査を見ると、毎朝朝食を摂る方が圧倒的に多くて安心しました。しかし、4人に1人くらいの方は朝食習慣がないようです。さまざまな研究で、朝食習慣は成績との関係も大きいということがわかっているので、親御さんには、お子さんが朝食を摂りやすい環境を作ってあげていただきたいです。
また、主食についてはお米(ごはん)が一番多い結果でしたが、複数回答のため頻度などははっきりしません。毎日ごはんを食べている方がどのくらいいるのか興味深いところです。」
朝食には咀嚼が増える「ごはん」がおすすめ
咀嚼で集中力がアップ!
柏原さんに朝食を摂るメリットを聞いたところ、「いくつかありますが、代表的なものを」として次の3つを挙げてくれた。
- 体温が上がりやすく、その後の身体の機能(脳の機能も含む)を活性化させやすい。
- 朝食によって自律神経が刺激され、生活リズムが体内からも整えやすい。
- 寝ている間に使ったエネルギーを補給することで、その後の代謝がよくなりやすい。
また、朝食に「ごはん」をおすすめする理由には、「パンや麺類に比べて、意識しなくても咀嚼(そしゃく)が増えるので体内を活性化させやすい。腹持ちもよく、午前中の集中力を保ちやすくなる」ことなどを挙げてくれた。
「咀嚼は、頭頂部から胸までの筋肉を使う運動です。この運動により、脳内の血流が良くなり、脳機能はアップします。最近の研究では、よく噛むとその刺激で記憶力をつかさどる〝海馬〟が活性化し、それが注意力や集中力をつかさどる〝前頭葉〟にも伝わり、血流量を増やすことが明らかになっています。
また、咀嚼や歩行など一定のリズムを刻む反復運動をすると、セロトニンの分泌が高まります。セロトニンが増えると、気持ちが落ち着き集中力を高める、頭の回転を良くして直観力を上げるなど、脳を活発に働かせることができます。よく噛むことは、高いパフォーマンスの発揮に繋がるとも考えられています。」
明日は、朝食のメリットに加え、おすすめの朝食例も具体的に紹介する。
(取材・文/小野眞由子)