今年度入試の性別による不平等感はいかに?
昨日は、都立高校には全国の公立高校で唯一、男女別定員が設けられており、その結果、同じ点数をとっても男子は合格・女子は不合格、学校によってはその逆の事態が発生するなどし、問題視されてきたことをお伝えした。
昨年2月に行われた今年度入試では男女別定員を設けている都立高校109校が、定員の90%までを男女別の成績順で決め、残り10%を男女合同の成績順で決める「緩和措置」を導入。都教委はその入試結果について、全合格者を成績順で決めた場合と、定員の10%のみを性別関係なく成績順で決める緩和措置の場合の合否結果を比較して発表している。本日は、その結果を見てみることにしよう。
今年度、男女別定員なければ女子284人が合格
男女別定員を定めている都立高校109校全校において、定員の10%を男女合同として合格者を決定した今回の合否結果が、性別による定員なしの「男女合同定員の場合と同じ結果になる学校」は81校(74%)、「男女合同定員の場合、女子合格者が増加する学校」が23校(21%)、「男女合同定員の場合、男子合格者が増加する学校」5校(5%)だった。
109校全校の詳細は都教委の報告資料「学校別数値(男女合同定員と男女別定員との女子合格者数の差、合格最低点の差(女子-男子))」を参照されたいが、「男女合同定員の場合、女子合格者が増加する学校」23校を抜き出して下表にまとめた。
23校における男女合同定員と男女別定員(10%の緩和措置)との合格者数の差を足すと、合計で284人。つまり、10%を男女別なしで成績順で決める緩和策があったものの、本当に男女別の定員がなくて成績準だけだったならば、不合格となった女子中学生284人が合格だったことになる。
合格者数の差が一番大きかった向丘高校は、女子と男子の合格点の差が53点。合格点の差が一番大きかったのは日本橋高校で、59点差だった。
男女別定員で不合格となった男子中学生は15人
一方、「男女合同定員の場合、男子合格者が増加する学校」は下表の5校。男子合格者数の差を足すと、15人。15人の中学生が男子であるがために、不合格となってしまったのだ。
男女合同定員の場合、男子合格者が増加する学校 | 大崎 | 秋留台 | 蒲田 | 駒場 | 足立東 |
---|---|---|---|---|---|
男女合同と10%緩和措置との男子合格者数の差 | 6 | 4 | 2 | 2 | 1 |
合格最低点の差(男子ー女子) | 24 | 156 | 63 | 4 | 83 |
男子募集人数 | 116 | 71 | 45 | 116 | 65 |
緩和措置での男子合格者数 | 127 | 93 | 49 | 129 | 86 |
合同だった場合の男子合格者数 | 133 | 97 | 51 | 131 | 87 |
女子募集人数 | 107 | 66 | 42 | 106 | 59 |
緩和措置での女子合格者数 | 97 | 44 | 38 | 96 | 38 |
合同だった場合の女子合格者数 | 91 | 40 | 36 | 94 | 37 |
出典:東京都教育委員会「学校別数値(男女合同定員と男女別定員との女子合格者数の差、合格最低点の差(女子-男子))」(当編集部にて一部加工)
性別によって有利になったり不利になったりする男女別定員はやはり問題がある、と言わざるを得ない。本決まりではないそうだが、2024年度入試(2024年2月実施)から男女別定員を撤廃する方針とのことで、早期の確定を望む。
ちなみに、来月実施の2023年度入試においては、性別に関係なく成績順で合否判定する枠を前回の1割から2割に広げるという。
(取材・文/大友康子)