昨日は中学受験の情報サイト「かしこい塾の使い方」(運営:アクセラレーテッド有限会社)が行った「中学受験生の健康管理」アンケートから、受験生の睡眠時間や塾弁についての調査結果を垣間見た。本日は、「中学受験生がストレスをためないように親が気を付けていること」について見てみよう。
82%の親が子どもにストレスがたまらないように対策
「お子さんにストレスがたまらないように気をつけていることはありますか?」という質問に対しては、「ある」が82%、「ない」が18%、という回答だった。
アンケート回答者の子どものストレス緩和策例
- あまり無理をしないように、無理のないスケジュール管理をするようにしている
- 睡眠やゆっくりお風呂に入る時間を最優先で確保する
- 勉強を強制しない、詰め込まない。充分な自由時間を持たせる
- 一緒に楽しむ趣味を作る
- 気になるけれど休憩時間は本人の好きなように取らせる。学力が下がれば自業自得と考え、親と子どもは別人格と認識する
- 勉強以外のことを話す
- 自由に好きなことができる時間を設けている
- ある程度規則正しい(正しすぎない)生活
- 週に1時間は好きな番組の録画を見るのを許可している。また、受検終了までは塾以外の習い事は休ませ、気持ちのゆとりを作っている
- ポジティブに考えられるような会話を心がけている
- 遊びやちょっとしたお出かけと、好きなことをするよう促す
- 勉強に身が入らない時(やりたくない時)は、無理にやらせずにその日は思い切り好きなことをさせる
- お友達との遊び時間、スキンシップ、外での運動・散歩
- 勉強が雑になってきたり、嫌がるときには潔く量を減らす。本人の様子をよく観察する。たくさん笑えるようなイベント(外出や映画など)を企画する
- なるべく家庭内の雰囲気を明るくする。好きなおやつを買っておく
- 我慢ばかりさせない。疲れがたまらないよう、睡眠で解消させる
- 話をよく聞く
- 感情的な怒り方は避ける
- なんとかなると親があっけらかんとするようにしている
- トランポリンを飛ばせて、少し身体を動かせる
- 体調をいたわる声掛け
- 早寝早起き、好きなスポーツをして体を動かす
- 小さなことでも褒める、ハグする、好きなご飯や本や服を買う、外出する
- 疲れている時は無理に学習に向かわせずに、本人に開始時間だけ聞いて自由にさせている
- 自分の好きなこと(工作、絵描き、読書など)ができる時間を設けている
- 勉強が終わったら子供の行きたい所へ遊びに行ったり、好きな本を買ったりしている。あとは、ゲームやタブレットの時間も設けている
- できるだけ叱らない、自分から行動するように促せるような言葉をかける
- 体を動かす。栄養のある物を用意する
- 日頃からスキンシップと自己肯定感が高まるような声がけ
- ボーッと出来る時間を意識的に作る
- 定期的に十分な睡眠時間を確保させている(例えば、日曜日は起床時間を1~2時間程度遅くするなど)
- 睡眠時間を考えたスケジュール、短時間でも気分転換をする
- 笑わすようにしている
- 前向きな声掛け、お弁当を含む食事の栄養バランス調整、寝具のメンテナンス、肩もみ、勉強以外の会話、勉強の会話も楽しくなど、工夫している
- 改善するべきことの指摘は真剣に、それ以外の話は明るく柔らかいトーンで話す
- 勉強しなさいと言わない
息抜きしながら受験勉強を乗り切ろう!
「かしこい塾の使い方」の主任相談員・辻義夫(つじ・よしお)氏から、子どものストレスをためないようにするためのアドバイスを聞いた。
「お子さんの『できないこと』ばかりを指摘するようになってしまうと、お子さんのモチベーションは下がります。かといって、できないことに目をつぶるというのではなく、伝え方を少し変えるだけで、お子さんのモチベーションを下げずに改善課題を伝えることができます。
また自分のお子さんをけなすことなどないと考える方も多いと思うのですが、ついついやってしまいがちなのが『謙遜する』場面です。知り合いのお母さん、そのお子さんとお話ししている時に『うちの子は勉強もしないし成績も……』のように謙遜する親御さんは意外に多いものです。
謙遜とはわかっていても、お子さんはいい気はしませんし、モチベーションも下がります。ふだんの親子の会話を少し見直すことで、お子さんのモチベーションや親子関係を改善していくことは、そんなに難しいことではありません」
また、ストレス発散のためのゲームやテレビなど「息抜き」の与え方については、次のように語る。
「親御さんからはよくゲームについて相談されますが、ゲームを与えるのがよいとかよくないとか、本質的な問題はそこではないと私は考えています。よくないのは、ルールを決めずに与えてしまうこと。
そして、たとえば漠然と成績が下がったなどの理由で取り上げてしまうと、お子さんの気持ちには大きな不満が残るでしょう。与えるなら最初に『塾の偏差値が◯◯より下がったら、次のテストまではゲームはお休みだよ』『5年生の夏休みくらいから受験勉強が大変になるようだから、いったん受験が終わるまでゲームはやめようね』といったルールを決めるのがよいでしょう。ゲームに限らず、テレビやマンガなどについても同じです。
大切なのは、『ゲームを与えたら成績が下がるのか』ということではありません。ゲーム以外にも、日常の中にはテレビやマンガなどの娯楽は溢れています。それらとどう付き合うかが大切なのです。お子さんの一日の時間を勉強だけで埋めつくせば成績が上がるかというと、おそらく逆でしょう。適度な『息抜き』がなければ、息が詰まってしまいますね。
その『息抜き』の選択肢のひとつとしてゲームを使わせるなら、使い方を親子で話し合って決めることです。無条件に与えてしまったあとで、状況によって制限したり取り上げたりと『場当たり的』に対応するのがもっともよくありません。
お母さんとお父さんの言うことが違ったり、お子さんには『ゲームはダメ!』なのに親が家でスマートフォンをいじってばかりだとしたら、お子さんのモチベーションは上がりません。テレビに関しても同じです。見る時間や番組など、ルールを決めたのなら、大人もそのルールは守るべきです。
適度に息抜きをしながら受験勉強を乗り切っていく工夫を、ご家族で話し合ってみるといいですね」(辻義夫氏)
(取材・文/大友康子)